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桜
桜
教室に入るなり 桜は高らかに不良になると 宣言した。 その手にはタバコの様な物を 持っており、クラス全員が 桜へと注目を集めた。
楡井
楡井
桐生
桜は手に持っているタバコの様な物を咥えて見せた。その表情は、どこか挑発的な笑みを浮かべており、 あの眼帯男が見れば怖い顔をするだろう。
安西
クラスメイト達の思考が一時停止したが、その中で安西が声を上げた。 桜はバツが悪そうな顔を浮かべ、 そうだけどそうじゃねぇ。 と矛盾する様な言葉を言っている。
楡井
桜
桜
桐生
桜はクラスメイト達に蘇枋を泣かそうとしている事は伝えていない。 この状況は、クラスメイト達からすれば、訳が分からない物だろう。 桜の言い分を聞いても、皆首を傾げるだけだ。
楡井
楡井が顔を青くしながら、 恐る恐る尋ねている。 体がフルリと震えているのは、 あの眼帯がこの姿を見れば、どうかるかが予想できるからなのだろう。
桜
この前駄菓子屋のおばあさんに偶貰ったとポケットからシガレットの小箱を取り出してみせる。 タバコの煙こそでていないが、傍からみれば、タバコそっくりなお菓子なので、遠くから見れば見間違えてしまうだろう。
桐生
安西
クラスメイト達は、皆胸をなでおろした。不良になると急に言い出した時はどこか頭でも打ったかと思ったが、 本物のタバコを吸うのは良くないと、ちゃんと頭は働いている様だ。
教室の窓から見える外は、 絵の具で塗りたくったほど綺麗な青空で、平和を知らす小鳥がチュンチュンと鳴いている。 小鳥はあんなにも鳴いているのに、 桜の想い人は、苦しそうにただ顔を歪めるだけ。 さっさと、泣いてしまえばいいのに。あの苦しげな表情を思い出す度に、桜の心臓もキュッと掴まれた様に痛くなった。
蘇枋
教室入れないんだけど… と、桜の背後に気配無く誰かが立った。急に聞こえてきた声に、びっくりしたのか、猫が飛び退く様に、桜は扉の近くから慄いた。
桜
蘇枋
桜の正面を見た瞬間に、 蘇枋は赤い隻眼を鋭く細めた。 周りを溢れるオーラは、 絶対零度の様に冷たく、 クラスメイト達は方を震わせる
桜
蘇枋
桜
蘇枋
ねぇ、誰に唆されたの? 桜が口を開く度、蘇枋の怒気は増してゆく。クラスメイト達は、何故桜があんな嘘をついているのかがわからず、 ただ2人を心配そうに見ている。
桜
蘇枋
訳が分からず、蘇枋はちらりと視線だけをクラスメイトに動かした。 微栗と身体を震わせたあと、 首をブンブン横に振る姿を見て、 誰に貰った桜の思惑が分からないのだと言うことを悟る。
桜
蘇枋
不穏なオーラを放ちながら、 蘇枋は確実に桜との距離を詰めていく。ゴクリと唾液を飲み込んだ桜は、 手に持っているシガレットをタバコを吸うかの様に口つけた。
蘇枋と桜との距離が縮んだところで、 白く大きな蘇枋の手が、強引に桜の頬を掴んだ。予想外の行動に、桜は、双眸で色の違う瞳を、ギョッと驚かせて、スローモーションの様に動く蘇枋の顔をじっと見つめた。
蘇枋
桜の加えていたシガレットをひょいと奪い、自分の口に付けた蘇枋は、 素っ頓狂な声を出した。 先程まで細められていた瞳は、丸々となっており、驚きを隠せない様子だ。
桜
蘇枋に正体がバレてしまい、 桜もいつも通りの態度になった。 ていうかお前、それ本物だったらどうするつもりだったんだよ。なんて、悪態すらついている。
蘇枋
蘇枋
それに、桜君が本物のタバコなんて吸わないって信じてたからね。 と、ニコリいつも通りの胡散臭い笑顔で笑った蘇枋に、桜は頬を赤らめながら、 その隻眼から視線を逸らした。
桜
楡井
桐生
桜
蘇枋
桜
桜の答えに 何度聴いても訳が分からないとクラスメイト達が、頭を傾げるが、 蘇枋は1人だけ納得した様に 頷いていた。 この2人はどこまでもめんどくさい。 そう呆れたクラスメイト達は、もう大丈夫だろうと、それぞれ元の場所に戻って行った。
蘇枋
桜
それならいいけど。と、 蘇枋はどこか不貞腐れた様に 桜に抱きついた。 おい!ここ教室だぞ!!という桜の声が、廊下にまで響いていたが、最早いつもの日常だと、クラスメイト達は気に止める素振りもしていない。
蘇枋
桜
ニコリと悪戯げな笑顔を浮かべた蘇枋に、桜はメラメラ火が燃えているのではないかと思うほどには、決意した様に拳を握りしめている。 果たして、本当にあの男が泣くところを見られるのだろうか。
2日目、失敗。
コメント
3件
「桜の親泣かせ(?)可愛すぎやろww反抗期かしらw」ってツッコミつつ、これにノンアルコール持たせたらどうなるんだろうと想像してしまったw🤦♀ かぁわいいなぁꉂꉂ(´꒳`* )