鮮やかな青空に
君が邪魔をした。
雲と雲のあいだに、雫が混ざり
静かにぽたり、と
目許を濡らした。
悲しい雨音だった。
すきだったよ、
ほんとうは。
でも、気づいちゃったから
だから、もうおしまい。
全部まるめ込んで、
なかったことにしよう、って。
おわりにしよう、って
きめたから。
きっと、
君は、私じゃない誰かを
すきだったんだね。
全部、なにもかも吹っ切れて
ぷつ、ぷつ、と
気泡のような、細かい笑いがこみあげてきた。
それは、空の中の一瞬に消えた。
一度だけでよかった。
本気で誰かを愛したかった。
でも、君は
やわらかい泡になって
私の見えない場所に、かくれんぼした。
いつか君が放った言葉。
記憶の中に紛れ込んだ言葉が、
泡のように、あいだを難なくすり抜けていく。
胸の奥につまった雫を、
あわだまを。
いつか、君につたえる。
コメント
9件
「悲しい雨音だった」「やわらかい泡になって 私の見えない場所に、かくれんぼした」っていう表現がすごく好きだな…✨ 切なくて、でも表現もストーリーも透き通ってるみたいに綺麗で…素敵だった!( ; ; )
想いに応えてくれない「君」への 主人公の切なさが伝わってくるようでした… ぽつり、ぷつり、という可愛らしい 効果音が水中にいるお花みたいでした!✨
『君』を『泡』に例えているのがすごい✨ このストーリーの中に引き込まれるくらい、言葉の表現が綺麗で、私の君に対する想いや私の感情が伝わってきた🙄💭