佐古大和
久我虎鉄
一条の兄貴と舎弟の野島と談笑していたら、別の舎弟である佐古が、爆弾発言をかましながら飛び込んできた。
久我虎鉄
どんな事が起これば、無茶ぶりしてくる守若の兄貴に対して、恋愛感情を抱くことになるのか、佐古の爆弾発言だけでは、全く話がみえてこない。別に聞きたい訳ではないが、とりあえず、ここ最近の二人の間に何があったのか、話を聞くことにした。
『伝説の男、佐古ぉ~お前は魔女だぁ~』と言って、チャリで河川の対岸に飛ぶように言われる。勿論、飛び越えられず、河へと墜落。溺れかけてた所を、たまたま川釣りをしていた釣り人によって救出された。 またある時は『伝説の男~佐古ぉ、第三の目を開眼だぁ』と目隠ししたまま、投げられるダーツの矢を避けるように言われ、見事に全ての矢が命中し、体の至る所が穴だらけになった。 またある日は『いけぇ~伝説の男、佐古ぉ~お前は海のギャング、シャチだぁ!アザラシ捕まえてこぉ~い』と言って、冬の海に突き落とされ、案の定、風邪を引いた。
どう聞いても、とても恋が芽生えそうな話ではない。
話を聞き終えた俺は、一条の兄貴に目配せする。どうやら兄貴も同じ考えに行き着いたようだ。
それは俗に言う、吊り橋効果というやつでは?
吊り橋効果とは、人は不安や恐怖を強く感じた時に出会った人と子孫を残そうとして、恋愛対象だと誤認するのだ。日常的に繰り返される命の危機に、佐古の恋愛感情にバグが生じたんだろう。これぞ、正にヒューマンバグエラーってか。
それを佐古に教えるべきか否か、再度、ちらりと一条の兄貴を仰ぐと、どうやら一条の兄貴も俺と同じ考えに至ったようだ。
一条康明
俺たちの方針は決まった。佐古に真実を告げずに勘違いして貰ったままでいくことに。流石に好意を持って接してくる舎弟に、守若の兄貴も無碍にはしないだろう。守若の兄貴が舎弟の中で無茶ぶりするのは佐古だけで、存外佐古を気にいっている。なら、佐古一人の犠牲で済むのなら安いものだ。
今まで黙って聞いていた野島が
野島翔
真実を伝えようとしたので、咄嗟に俺と一条の兄貴で口を塞ぐ。
一条康明
久我虎鉄
佐古大和
とても嬉しそうな表情を浮かべる佐古に、少し胸が痛んだが、これも京極組として、暴走列車の舵取りをするためだ。必要な犠牲だったのだと、自分に言い聞かせる。
一条康明
久我虎鉄
一条康明
佐古大和
久我虎鉄
久我虎鉄
守若冬史郎
後日、何時もの調子で、守若の兄貴から交際宣言を受けた。見事、佐古の恋?は成就されたのだった。
happy end? 補足 因みに、この吊り橋効果は、一緒に吊り橋を渡る相手が、魅力的でないと効果はないし、反対に作用する。ということは、つまりそういうことなのである。
コメント
6件
ヘェ〜初めて知った吊る橋効果、相手が魅力じゃなかったら恋は叶わないか、、、参考にしよ
好きです😍😍😍😍