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➰ ✿ nrkr
32
りおん
5,264
みかんのかんずめ
246
昨日、三人が見つけた部屋のことは、誰にも話さなかった。
広場に集まっていても、いつものように笑っている。
けれど、三人ともどこか落ち着かなかった。
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いるまは持っていた本を閉じた。
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呆れたように言いながらも、いるまは立ち上がった。
三人は看護師や先生に見つからないよう、いつも使っている廊下をゆっくり進んでいく。
昨日と同じ場所。
白い扉は、今日も閉まっていた。
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なつが先に扉へ手をかける。
ゆっくり空いた隙間から、冷たい空気が流れてきた。
昨日と同じ白い部屋。
机の上には、いくつものファイル。
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三人は昨日見つけたファイルを探した。
けれど、見つからない。
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昨日まで置かれていた場所には、別のファイルが並んでいる。
こさめはその中から、一冊を取り出した。
表紙には、また数字が書かれていた。
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ページをめくる。
そこには、日付と数字。
その下に、いくつもの記録が並んでいた。
『経過』
『反応』
『投与』
『処置』
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いるまがページの端を指差す
そこには、三人が見慣れた名前が書かれていた。
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三人とも、言葉を失った。
そこに書かれていたのは、間違いなく自分たちの名前だった。
けれど、病院でもらっている診察の記録とは明らかに違う。
いつ、何をしたのか、どんな反応だったのか。
まるで、自分たちを一人の人間ではなく、何かを観察する対象として書かれているようだった。
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いるまは黙ったまま、ページをめくる。
すると、一番最後のページに赤い文字があった。
『次回の処置予定_______』
その下には、日付。
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空気が止まった。
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その瞬間。
廊下から足音が聞こえた。
三人の顔が強張る。
コツ、コツ、
昨日と同じ足音。
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慌ててファイルを閉じる。
なつが机へ戻そうとしたその時。
ファイルの間から、一枚の写真が落ちた。
ひらり。
床に落ちた写真には、白い部屋とベッド。
けれど、誰が写っているかまではわからない。
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三人は写真を拾わず、部屋を飛び出した。
扉を閉め、近くの角へ身を隠す。
足音が近づいてくる。
そして。
カチャ。
扉が開いた。
白衣の人物が部屋へ入ってくる。
顔は見えない。
しばらくして、扉が閉まる。
三人は息を潜めたまま、動けなかった。
やがて、足音が遠ざかっていく。
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その言葉に、こさめは黙り込んだ。
らん。
すち。
みこと。
いつも優しくしてくれる三人の顔が浮かぶ。
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こさめは小さく頷いた。
三人は何事もなかったように広場へ戻る。
いつものように笑って。
いつものように話して。
何も知らないふりをして。
その頃。
病院の奥では、三人の先生が一枚の記録を前に立っていた。
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らんは黙ったまま、記録を見つめている。
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白い部屋に、重い沈黙が落ちた。
誰も。笑っていなかった。
コメント
1件
うわあ……第22話、不気味さがじわじわ来ますね。三人の名前が記録に載ってて、しかも「投与」「処置」「反応」って言葉が並ぶと、もうこれはただの病院じゃない感じがする。最後の先生たちのシーン、誰も笑ってなかったのがすごく怖かったです。あの写真に写ってたの、誰なんだろう……。伏線が貼られてるのがわかりやすくて、次が気になりすぎます。