ドレスって美しいと思わない?
誰だってドレスを着ればお姫様の気分になれると思うの
分かります?
・・・
わからない?そう。別に良いわ
私、洋服以外にオシャレにするのあまり好きじゃないの
この部屋がシンプルな壁紙なのはその為よ?
少し長いお話になってしまうけど、聞いてくれないかしら?
あら、ありがとう
飽きてしまったらごめんなさいね
あのね、私、ずっと男の子のような服を着ていたのよ
親が買ってくれる服は全てボーイッシュな服。
だから、可愛い服に憧れていたの
分かりやすい憧れ方でびっくりしました?
図星ですね
まあ、聞いて下さい
初めて可愛い服を買って頂いたのは、幼稚園の頃1度だけ
1つ着せてみたら、親の中で合わなかったみたいで、
そんな事で私の買って頂ける服を左右されちゃたまったものじゃないわ
まあ我慢したわよ、ええ
私の小学校は1年生の1学期は私服で登校するの、何故なのかしら
そしたら、まあ想像出来るでしょうけど馬鹿にされたわ
当たり前よね?
授業参観で親の方から聞こえるのは
あの子、女の子?
可哀想に、可愛い服を欲しがる年なのにね、
漫画のような会話だったわ、逆に面白かったくらいね、今思えば
反論の意思?無かったわよ、小学校1年生ですもの、
そこからは、まあ制服があったのでその時だけは、スカートとか履けましたけどね
そうじゃないのよ、わかる?
その洋服の違和感に皆徐々に気づいて、周りの子からも馬鹿にされ始めて、浮いてたわね。
そんな感じのが小学校。
中学校では、制服とジャージとなので普段は同じ小学校だった子が言わなければバレなかった
それで仲良くなった子と遊びに行くことになったの
中学校では、髪は短かったけど、言動、行動はいかにも女子というような事をしていたから、ビックリしてたわ。
でも、優しい子だったから、
そんな格好も似合うわね、可愛い
って、
返事はありがとう。程だったけど内心とても嬉しかったのよ?
わかります?男の子のような服を着させられてるのに、可愛いって言って頂ける嬉しさ。
その時に、私はまだ女子としてやっていける確信を持ったわ
単純ね
中学校では特に面白いお話は、ないわ
・・・
1つだけ事件があったわね。事件
確か、不審な男が学校に入った。っていう事件。
私の学校大袈裟すぎたのよね、対応がどうとか、なんとか。
私にとっては関係ないわ、気にならない。
で、中学校のお話は終わり。
あ、高校の話は特にありませんので、大学のお話になります
あら、飽きてきてしまいました?そろそろ本題に入れと?
分かってますよ、洋服のお話に必要な昔話ですから。そんな嫌な顔なさらずに、
大学1年生は大忙しでした。特に何が忙しかったかは、覚えてませんけど、なんででしたっけ...
ええっと、本題に入ります。
私が大学2年生の時。お友達に旅行に誘われたのよ。イギリス旅行
2泊3日の旅行でした。
2日目、ドレスを着る予定で、試着出来るお店に行ったの
今までボーイッシュな服ばかり着ていて、抵抗心が少しばかりあったわ、昔からに囚われて大学に入っても男の子のような服ばかり着ていたから
でもね、それよりね、やっぱり嬉しさとか高揚感というか、とりあえずワクワクしてたわね
いざ着てみたら、びっくりね
ドレスの輝きに目が眩む程よ?
さっきも言ったけど、びっくりしてたわ
なんて美しい洋服があるの?って
スタッフさんが何か言っていたけれど、よく覚えてないし、聞いてなかったわ、というか聞こえなかった。
あまりにも見とれていたから、ドレスに
お姫様になれた気分だった。
ずっとこのままで居たいと思った。
人は心を奪われるとその時はそのものの他に何も考えられなくなるのね。
ああ、素敵だった。
その後の予定も、次の日もあまり楽しめなかったわ、ドレスの事ばかり頭にあって、
帰国して、1日2日たったら、やっと物事を考えられるようになった
凄い時間がかかったと思いました?
私も思ったわよ
それから、日本でも、ドレスの試着出来る所を探して行ったりしたけど、どうも違うのよねぇ
やっぱり、あの時のドレスが1番だわ
あ、その時のドレスは真っ白の生地に青い花のコサージュが付いたドレスだったの
とってもとっても素敵だった。
これが私の洋服の話よ、面白いものではなかったでしょ?
あ、そうそう、あの中学校の事件だけどね、犯人は友達のお父さんだったわよ。
ねえ、全て話した後で今更って感じだけれど、貴方って、
いいえ、なんでもないわ。大丈夫。
じゃあ、さようなら、面白くもないお話を長々とありがとうございました。
またね。
コメント
27件
アイス姉!!!!
あーちゃんのお話って見た人を引き込むようなお話書けるよね…。 あーちゃんのペースでいいからね。待ってる(*´︶`)ノ
コンテストに参加して頂きありがとうございます。女性がスラスラと過去について語る描写が「清流」を彷彿させられました。誰かと会話をしている訳では無いのに、女性の語りに夢中になってしまいました。個人の服を誰かが縛り付けるのは良くないですね.......。少し不思議で、沢山の事を考えさせられる素晴らしい作品でした。 また、戻っていらっしゃるのをお待ちしていますね。