TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

奪われた心

一覧ページ

「奪われた心」のメインビジュアル

奪われた心

1 - 奪われた心

2019年12月19日

シェアするシェアする
報告する

すみれ

私のところには悪魔が来る

すみれ

それは夜になると、ひやりとした肌寒い隙間風と一緒にやってくる。

すみれ

そして今日もその悪魔が来る時間

ガタガタガタ

すみれ

来た

すみれ

あいつだ

すみれ

遠くから見ても、人ではない事をさとらせる大きさ

すみれ

鋭い爪に、全てを見透すような大きな目玉

すみれ

全身が真っ黒なせいで余計にそれらが浮き上がって見える・・・

すみれ

「な、なんのようかしら?」

すみれ

決まってる・・・

悪魔

・・・

すみれ

分かる・・・

すみれ

コイツは何も言っていないのに分かってしまう・・・

すみれ

コイツが感じているものはただ1つ

すみれ

飢えだ・・・

すみれ

そして求めるのは、空腹を満たす為の行為

すみれ

人間で言うところの【食事】だ。

すみれ

食事といっても、人間のように定食やサラダを差し出せばいいのではない。

すみれ

すみれ

食べやすくグチャグチャにした柔らかい肉

すみれ

そして私はそれを持っている

すみれ

持っているというより、取ってきたのだ

すみれ

少しの代償と引き換えに・・・

すみれ

「こ、これでいいんですよね?」

すみれ

私は器にその肉をうつす

グチャ グチャ

ネチャリ

ボト・・・

すみれ

何度やってもイヤな感触だ・・・

すみれ

しかし感触に関してはまだいい

すみれ

問題なのはこの鼻をつく強烈な匂いだ・・・

すみれ

腐っている訳ではない

すみれ

だがこの【人間の食べる物ではない】と思わせる程の匂いには

すみれ

腐っている以上に吐き気をもよおす程の匂いなのだ。

すみれ

しかしそんな私の気持ちをさておいて、その悪魔はただひたすらに肉を頬張っている。

ガツ ガツ

グチャ グチャ

すみれ

汚い・・・

すみれ

しかし私はこの悪魔に、これをあげずにはいられない・・・

すみれ

それは決して恐怖から来る感情ではない・・・

すみれ

本能的にあげたいと思ってしまうのだ

すみれ

悪魔に近づきたい、近づいて欲しい

すみれ

こんな人間とは遠くかけ離れたケダモノを

すみれ

好きになってしまって、好きになって欲しくて

すみれ

愛おしくてたまらないのだ。

すみれ

訳がわからない。

すみれ

こんな感情が込み上げてくる事の方がよっぽど恐怖なのに・・・

すみれ

私はこの悪魔のとりこになっている

すみれ

認めたくない・・・

ガチャリ・・・

すみれ

悪魔が食事を終えたらしい・・・

すみれ

「の、残りは食べないのですか?」

悪魔

・・・

すみれ

今思うと本当に馬鹿だと思う

すみれ

私は悪魔の残したその悪臭をただよわせる肉を・・・

すみれ

食してみたいと思ってしまったのだ

モグ・・・

すみれ

今までに食べた事のない味

すみれ

人間が食べるはずのない味

すみれ

しかし虫や泥などという物ではない

すみれ

やはり肉は肉なのだ

すみれ

【人間が食べるはずのない肉】

すみれ

このキーワードに

すみれ

私はしてはいけない連想をしてしまったのだ・・・

すみれ

【人肉】

すみれ

【人間のひきにく】

すみれ

そう思った瞬間私は言いようのない吐き気に襲われた。

すみれ

しかしそれと同時に、例えようのない幸福感を得たのだ・・・

すみれ

「美味しい」

パクッ

すみれ

やはり美味しい

パクッ

モグ モグ

すみれ

止まらない

すみれ

止められない

すみれ

その時、悪魔は私の方を見ていた

すみれ

あの真ん丸の大きな目で

すみれ

「な、なに・・・?」

悪魔

・・・

すみれ

もう言い訳できない

すみれ

やはり私はこの悪魔のとりこになってしまっている。

すみれ

この悪魔と一緒に食事できることがこんなにも幸せなのだ・・・

すみれ

終わりだ・・・

すみれ

すみれ

そんな私の絶望をよそに

すみれ

その悪魔は私にトドメをさしに来たのだ

すみれ

「止めて・・・」

すみれ

「来ちゃだめっ!」

すみれ

「来ないでっ!!」

すみれ

「これ以上あなたに触れてしまったら・・・」

すみれ

「こ、これ以上あなたの事が好きになってしまったら・・・」

すみれ

「私・・・」

すみれ

「私は・・・」

すみれ

その時、悪魔は私の膝に飛び乗りこう言った・・・

悪魔

すみれ

くそぉ!可愛すぎるんじゃぁぁあ!!
。゚( ゚இωஇ゚)゚。

すみれ

そして、私の心は完全に奪われてしまったのでした♥

おしまい

( ˙ - ˙ )?

loading

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚