テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

一覧ページ

LINE442

第1話 - あ

2023年03月29日

#恋愛

#スカッと

田中俊樹

ミツコ

ちょっと、あんた鍵変えたの！？

ハチオ

どなたさま？

ハチオ

鍵を持ってるって…、警察呼びますよ？

ミツコ

ちょちょちょ、待ってよ！私！ミツコ！

ミツコ

早く開けて！外寒いの！

ハチオ

え、ミツコ？

ミツコ

そうよ！わかったなら、とりあえず開けてってば！

ミツコ

玄関！

ハチオ

今インターホン鳴らしたのって

ミツコ

だから、私だってば！何回も言わせないで！

ミツコ

警察とかやめてよね！

ハチオ

ってかなに

ハチオ

もう、俺とは終わったはずだが。

ミツコ

戸籍上、まだ夫婦よ！

ハチオ

紙切れにはな。

ミツコ

だからさ？妻が帰ってきたのよ？

ミツコ

中に入れてちょーだい？

ハチオ

何の用？

ミツコ

何の用って言い方ないじゃない！

ミツコ

戻ってきてやったのに！

ハチオ

やったって、なんだよ。

ミツコ

大好きな妻が、戻ってきてよかったじゃん！

ハチオ

上から目線なところは、何も変わっちゃいねぇな。

ミツコ

うるさいわねぇ！

ハチオ

戻ってきた理由は？

ミツコ

そんなことどっちでもいいでしょ！

ハチオ

どっちでもいい？

ミツコ

とりあえず入れてほしいなぁ。

ハチオ

勝手すぎ。

ハチオ

俺には理解できないんだけど。

ミツコ

おーねーがーいー

ハチオ

何で急に来た？

ミツコ

あーもー！

ミツコ

事情は中で話させて！こんなところで話せるようなことじゃないわ！

ハチオ

はぁ？

ハチオ

そんな簡単に入れるわけないだろ。

ミツコ

なんでよー！

ハチオ

俺は許してねぇからな？不倫のこと。

ミツコ

ちょ、それは本当にごめんってば。

ハチオ

ごめんで済まさせるとか

ハチオ

軽々しいにもほどがあるわ。

ミツコ

私とあなたとの仲じゃなーい。

ハチオ

意味不明

ハチオ

で？要件はなんなの？

ミツコ

あ、いやー、それがさぁ。

ミツコ

ちょっと別れちゃってさ

ハチオ

別れた？

ミツコ

うん、彼と喧嘩して…

ハチオ

彼って、不倫相手か。

ミツコ

他にも言い方あるでしょう？

ハチオ

本当のことだろ。

ミツコ

その彼が、突然別れようって…

ミツコ

相手の奥さんのところに、戻っちゃったの…

ハチオ

なんだ、振られたのか？

ミツコ

う、うるさいわね！

ハチオ

へー、そりゃ残念だったなぁ。

ハチオ

で？

ミツコ

でって

ハチオ

振られたから、なんなんだよ。

ミツコ

ハチオなら…

ハチオ

俺が何？

ミツコ

話でも聞いてくれるかなぁって。

ハチオ

へー。

ミツコ

へーって！

ハチオ

話とか聞いてくれて

ハチオ

慰めてもらえるとか、思ってた？

ミツコ

優しいあなたなら、頼りなるかなって♡

ハチオ

うざ。

ミツコ

ちょ、なんか冷たくない？

ハチオ

不倫相手の相談だが、なんだか知らねぇが

ハチオ

俺には全く関係のない話だ。

ミツコ

全くはないでしょう！

ミツコ

そんな切り捨てなくてもさー？

ハチオ

俺はとっくに切り捨てられたが？

ミツコ

そんなん昔の話じゃなーい？

ハチオ

そもそも、俺という旦那がいるうえ、さらに

ハチオ

手を出す相手も既婚者とか？

ハチオ

やってること、最悪なことわかってる？

ミツコ

今はそんな話、どーでもいいの！

ハチオ

おい、今どーでもいいだと？

ミツコ

ハチオー、おねがーい

ハチオ

そういう態度をとりますか。

ハチオ

そこへ管理人を呼ぶので、お帰りください。

ミツコ

わかった、わかったから！

ハチオ

認めるんだな。

ミツコ

現在進行形で、あなたしか見れなくて困ってるわ…

ハチオ

やっぱ、あんた壊れてる。

ミツコ

ハチオも、私がいなくて寂しいんじゃないかなぁって！

ハチオ

寂しい？

ミツコ

そうよ～、大好きな妻が戻ってきたのよ？

ハチオ

お前、頭おかしいんじゃないか？

ミツコ

ひっどいわねぇ！

ミツコ

そんな言い方ないでしょう！

ハチオ

俺という夫がいながら、不倫していたのはどこのどいつだよ？

ミツコ

それはそれよ～？

ミツコ

振られちゃったんだもの、しょうがないじゃない？

ハチオ

しょうがない？

ハチオ

言ってること、めちゃくちゃじゃねぇか。

ミツコ

私、ハチオのこと大好きよ？

ハチオ

へー

ハチオ

響かないのはなぜかね。

ミツコ

どうしてよ？

ミツコ

あんなに、私のこと大好きだったじゃない。

ハチオ

それをぶち壊した、張本人がよく言えたもんだな。

ミツコ

この一件ですごく気付いたの…

ハチオ

なにが気づいただ。

ミツコ

ハチオがどれだけ私のことを見てくれていたか。

ハチオ

あー、すごく見ていたのになぁ。

ミツコ

それに、どうして私もその優しさに目を向けれずにいたのか…

ハチオ

ほんと、どうしてかねぇ。

ハチオ

あー、こわいこわい。

ミツコ

怖くないじゃない？

ハチオ

今度は何？そういうのやめて？

ミツコ

どういうことよ？

ミツコ

こんなにも反省してるっていうのに！

ハチオ

あのな？

ハチオ

本当に反省してる人が、自分から反省してますなんて言わねぇんだわ。

ミツコ

えー、そうなの？

ミツコ

そっかー

ハチオ

お前、ほんと何考えてるんだよ。

ミツコ

なにって、ただハチオに会いたくて来ただけよ？

ミツコ

今どんな顔してるかなって。

ハチオ

帰ってくれ。

ミツコ

えー！

ミツコ

どうしてよー

ハチオ

迷惑だ。

ミツコ

大好きなミツコが、こんなにも懇願してるっていうのに？

ハチオ

そのキモさをどうにかしてくれ。

ミツコ

もう！

ミツコ

入れてくれないなら、玄関で泣き叫ぶからね！

ハチオ

勝手に泣いてろよ。

ハチオ

今から管理人を呼んで出ていくよう言うわ。

ミツコ

あーあー、泣き叫ばないからさ！

ミツコ

とにかく、このかよわい女の子を中に入れてくださいな！

～翌日～

ミツコ

ねぇ！なんで一緒の家にいるのに口きいてくれないわけ？

ハチオ

お前と話したくないからだ。

ミツコ

私たち、夫婦よね！？

ハチオ

まずは、部屋に上げさせただけでも、感謝してほしいくらいだが？

ミツコ

それは、どうもありがとうね♡

ハチオ

で、用件はこれだけか？

ミツコ

ちょっと、ここずっと冷たすぎじゃない？

ミツコ

戻ってきたんだから、これまで通り仲良くしようよー

ハチオ

これまで通り？

ハチオ

なにを想像してこれまで通りと言ったのか、理解できないわ。

ミツコ

私の手料理だって食べてくれないし、同じベッドにだって寝てくれないし…

ミツコ

部屋にだって、わざわざ鍵までつけるじゃない？

ハチオ

お前と関わりたくないからな。

ミツコ

こんなに寂しいのに、酷いじゃない…

ハチオ

ほんと、少しは自分を見つめなおしたらどうだ？

ミツコ

どういうことよ？

ハチオ

これまで自分がやってきた素行。

ハチオ

なんで、俺がこんな態度をとることになってしまったのか。

ミツコ

なんで、そんなことを考えなきゃならないの？

ハチオ

おいおい、ここまでヒントを言ってもわからないのか。

ミツコ

全然、何が言いたいのかわからないんだけど？

ハチオ

マジかよ、正真正銘のやばいやつ出現じゃねぇか。

ミツコ

なんかディスってない？

ハチオ

もう、何を言えばいいかわからねぇわ。

ミツコ

私はただ、やり直したいだけなのよ。

ハチオ

やり直す？

ミツコ

そう？ただ、それだけ。

ハチオ

何か勘違いをしてないか？

ミツコ

勘違い？

ハチオ

俺らはもう、普通の夫婦じゃねぇこと、わかってる？

ミツコ

え、違うの？

ハチオ

本当に、お前が怖いわ…

ハチオ

どうあがいても、もう以前の俺らに戻る気は一切ないから。

ミツコ

え、そんな…

ハチオ

戻れると思ってる、あんたのその頭が怖い。

ミツコ

今はとりあえず仕事場だから、ちゃんと話せないけどさ。

ミツコ

帰ったら、またこれからのこと話そう？

ハチオ

無理。

ミツコ

せっかく戻ってきた妻に対して酷くない？

ミツコ

またハチオのことを選んだ私に、嬉しいって思うのが普通じゃない？

ハチオ

あのさ、ちょっと言わせていただきたいんだけど

ミツコ

うんうん！なになにー？

ミツコ

あ！また惚れ直しちゃったって？♡

ハチオ

ほんと、きもいんだけど。

ハチオ

マジでやめてくれる。

ミツコ

はぁ？

ミツコ

喧嘩売ってるの？

ハチオ

お前こそ、何言ってるの？

ミツコ

こんなにハチオのことが好きでしょーがないのに…

ミツコ

何がいけないっていうの！

ハチオ

今度は被害者面ですか…

ミツコ

当たり前じゃない！

ミツコ

家にいてもいるだか、いないだかのような対応されるし

ミツコ

ラインしても、冷たくされるし！

ハチオ

冒頭からずっと同じことを言い合ってる気がするんだが、

ハチオ

気のせいか？

ミツコ

気のせいじゃないかしら？

ミツコ

とにかく、私はハチオと普通に会話して、食事して

ミツコ

一緒のベッドに寝て、楽しいことを共有したいだけなのよ！

ハチオ

そんな夢物語、もうできませんね…

ハチオ

残念…

～翌日～

ミツコ

ちょちょちょ！

ミツコ

ちょっと！ハチオ！

ミツコ

これはいったいどういうことよ！？

ハチオ

なんだ、どうかしたのか？

ミツコ

どうかしたのかじゃないでしょう！

ミツコ

部屋がすっからかんじゃない！

ハチオ

すっからかん？

ミツコ

家具は？私物は？なんにもないんだけど！

ミツコ

どういうことなのか、説明してよ！！

ミツコ

私がちょっと出かけてる間に、何があったわけ！？

ハチオ

俺の私物は全部回収してるからないよ。

ハチオ

そして俺、今社宅にいるんだわ。

ミツコ

へ？

ミツコ

しゃ、社宅！？

ハチオ

そ。

ハチオ

だから、もうそこには帰らないからよろしく。

ミツコ

ちょ、なんでよ！

ハチオ

お前ともう会いたくないからに決まってんだろ。

ミツコ

は？

ハチオ

それと、その家の名義俺なんだけど

ハチオ

後数日以内売り払うから、そこにいても追い出されるぞ。

ミツコ

え、マジ？

ハチオ

おー、まじまじ。

ハチオ

だから、早く新居探せよー

ミツコ

いいわ、あなたの会社に行って待ち伏せるわよ！

ハチオ

そんなことしたって無駄だよ。

ハチオ

俺、転勤もしたから、以前の会社に行ってもいないよ？

ミツコ

転勤までしたの！？

ミツコ

どこに！？

ハチオ

教える訳ねぇだろ。

ミツコ

妻が夫の仕事場がわからないなんて、おかしな話じゃない？

ハチオ

俺らの今の関係を、まだ夫婦とみてるあんたと関わりたくない。

ハチオ

それとひとつ、気になってたことがあるんだが

ミツコ

な、なによ？

ハチオ

お前、まだあいつと会ってるだろ？

ミツコ

ど、どういうこと？あいつって？

ハチオ

不倫相手のやつと。

ミツコ

な、なんでそのこと知ってるの…！

ハチオ

探偵を雇って、わざわざ探ってもらったんだわ。

ミツコ

え、探偵！？

ミツコ

話が付いていけないんだけど…

ハチオ

しかも、一人だけはなくて、他にも新たに数人と遊んでんのか？

ハチオ

ほんと、懲りないやつだよなぁ。

ミツコ

いつから探偵なんて…

ハチオ

お前が俺の家にいる頃からずっと。

ハチオ

ま、しょうがないよな、慰謝料を請求することになるけど。

ミツコ

慰謝料！？

ミツコ

なんでよ！？戻ってきたんだからそんなの無いでしょ！？

ミツコ

何のために戻ったか、わからないじゃない…

ハチオ

最初からそれが目当てか。

ハチオ

腐った女だ…

ミツコ

酷い！

ハチオ

もー、なんとでも言え。会うことはないだろうしな。

ミツコ

お、覚えてなさいよ！

ハチオ

あ、それと、これは探偵が探って発覚したことなんだけど

ハチオ

不倫男、他にもあんた以外に女性関係あるらしいぞ？

ミツコ

え

ミツコ

そ、そうなの？

ハチオ

あれ、その反応は知らなかった感じか？

ハチオ

可哀そうに…

ミツコ

私、不倫されてた？

ミツコ

どうしてよ…

ハチオ

何回振られれば、気が済むんだろうね？

ミツコ

余計なお世話よ！

ハチオ

もう、意味が分からん。

ミツコ

でも、まぁいいわ。

ミツコ

私は彼と結婚するっていう話までしてるのよ。

ミツコ

あんたは一人で無様に生きてな！

ハチオ

お気遣いありがとう、お幸せに～

～後日談～

ハチオ

その後、彼女は不倫男と結婚の話までしていたそうだが、破談という形に。

ハチオ

諦められず男にすがるが、「お前は四番目ぐらいだから無理と」

ハチオ

断られ、一度は振られたというが、何とか頑張って結婚をしたらしい。

ハチオ

しかし、不倫男に複数人の女性が絡んでいた件で、その夫たちは激怒。

ハチオ

慰謝料を請求され、彼女自身の総額慰謝料代は多額な借金地獄となる。

ハチオ

言葉も出ない、間抜けな女性だったと、本当に思う。

ハチオ

別れて正解でした。

ハチオ

俺はというと、引っ越し先である社宅で幸せな暮らしをしています。

ハチオ

まったりと誰にも邪魔されない生活って、こんなに素晴らしいものなんだと。

ハチオ

転勤先の新しい部署でも、人間関係はばっちし。

ハチオ

上司も良い人ばかりで、仕事も成果を上げっぱなしで気持ちが良い。

ハチオ

いろんなことが上手く行き過ぎて、大丈夫か心配なくらいです。

この作品はいかがでしたか？

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

田中俊樹

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

LINE442

第1話 - あ

作者の他の作品すべて見る

#恋愛の新着小説
一覧

関連するタグ

LINE442

第1話 - あ

作者の他の作品すべて見る

#恋愛の新着小説一覧

関連するタグ

#恋愛の新着小説
一覧