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拓海からの手紙は、帰りながら読むことにした。
四葉へ
俺の帰りを信じて待ってるお前には、申し訳ないと思ってるけど
俺は中学の頃、とんでもない不良だった。
今から考えると、自分が馬鹿馬鹿しい。
荒れ狂う日々。喧嘩ばかりする毎日。
自分の思い通りにいかないから、いつも何かに八つ当たり。
その結果、俺みたいなクソみたいな人間が誕生したんだ。
これは、中学の頃の話だけど、現実にあった俺の過去だ。
みっともない過去だ。
いきなりこんなこと言って、信じられないかもしれない。
俺はお前じゃねぇから、お前の気持ちはわからない。
でも俺は、自分の気持ちもわからないんだ。
馬鹿みたいだろ?
馬鹿なんだよ。
馬鹿で馬鹿で仕方ねぇ。
自分を馬鹿以外の、もっとダメな言い方で扱えないことも、
腹が立つ。
こんな過去を知ったら、クラスの奴らも、お前も、
間違いなく俺にひく。
お前も、内心ひいてるだろ?
誰もまだ俺と仲良くしたいとか、話したいとか、
思ってない。
思うわけがない。
こんな俺が言うのもあれだけど、
過去はな、何があっても消せないんだ。
一生消せない罪なんだよ。
頭の中では消せても、俺の今までの行いは、
身体の奥まで染みついてんだよ。
今でも人を殴った、傷つけた感覚が俺の手にある。
今は、誰も傷つけようとは思っていねぇけど、
俺のこの手には人を傷つける時の、痛々しい、血が滲むような、
そういう感覚が残ってるんだ。
こんなんじゃ、誰も俺を認めない。
いずれみんなが俺の過去を知ることとなる。
そうすれば、俺に居場所はない。
この環境にも、
花坂高校にも。
ごめんな、ごめんな。
それから今まで、
ありがとな。
手紙の途中に、涙のあとがある。
四葉
四葉
四葉
私の瞳にも、涙が込み上げてきた。
潤んだ瞳で、手紙の続きを読む。
もうわかってるよな?
俺は、花坂高校を辞めようと思う。
そりゃそうだ。
人を殴ったんだ。
人を傷つけたんだ。
そんな奴が学校に、
教室なんかにいたら、みんなが困るだろ。
怖いだろ。
自分も殴られるのかな。とか、
怒らせないように、接しなきゃとか。
そう思わせたくないし、
どの口が言ってんだ。って思うかもしれないけど、
俺もそうやって関わられたくない。
だから、みんなにも、言っといてくれよ
どういう言い方でもいい。
ただ、俺が『とんでもない不良で、
いずれここにも居場所がなくなるから
学校を辞める』って。
こういってくれたらいい。
こんな俺だけど、最後の頼みだ。
よろしくな。
最後に四葉。
こんな俺を、今まで信じて、
待っててくれてありがとな。
それから。
せっかく待っててくれたのに、
裏切ってごめん。
もう、会うことはないと思う。
さようなら。
四葉と過ごした日々は、
楽しかったよ。
何度言っても足りないと思うけど、
ごめん、ごめん
ありがとう、ありがとう
それから最後に、
さよなら。
拓海より。
四葉
読み終わって、気づいたら、
私は、嗚咽を漏らして泣いていた。
拓海·····いかないで。
いかないで·····。
四葉
四葉
四葉
四葉
住宅街だなんて関係なく、大声をあげて泣いた。
四葉
四葉
この時·····
私の視界は涙でいっぱいで、
前が見えていなかったんだ·····!
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