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ソウ
アイ！
ソウ
このクレカの請求はどういうことなんだ！？
ソウ
チケット代に10万って、聞いたことないぞ！
アイ
あー、ごっめーん！！
アイ
ついついアイドルのライブに通ってたら、そんな金額になっちゃったかあ
ソウ
またかよ…
ソウ
前に注意したの覚えてないのか？
アイ
はあ？
アイ
何のコト～？
アイ
アンタに注意されるようなこと、ひとっつもした覚えないんだけど
ソウ
ふざけるなよ！
ソウ
普段から無駄遣いしないよう言ってるだろ
ソウ
推し活とか言って、どれだけ注ぎこんでいるか分かってるんだからな
アイ
はいはい
アイ
ごちゃごちゃうるさいなあ！
アイ
いっつもしょうもないことで文句つけて、
アイ
アンタにはそれしか能がないわけｗ
ソウ
この散財ぶりがしょうもないだと？
ソウ
推し活で毎月のようにこれだけ使われちゃ家計が苦しいんだよ
アイ
アンタは推し活のことを何にも分かっちゃいないようね？
アイ
いい？
アイ
私がお金をつぎ込まなきゃ、アイドルの彼らが有名になれないでしょ？
アイ
推しを応援するって言うのはそういうことなんだよ
ソウ
それは自分や家族の生活を犠牲にしてまですることなのか？
ソウ
アイがやっていることは趣味の域を超えていると思うんだけど
アイ
ま、趣味というより生きがいね！
アイ
毎日家でアンタの顔を眺めているより
アイ
若い彼らの端正な顔立ちを見ているほうが、気持ちがいいもの
ソウ
それは悪かったな！
ソウ
でもアイは俺と結婚している身だろ？
ソウ
他の男に現を抜かすなんて、どう考えても納得いかないんだけど
アイ
な～に、妬いてんの？
アイ
気持ち悪い！
アイ
いくら夫が良くても、イケメンのアイドルを拝んで現実逃避ってことよ
アイ
だから、私が推し活にハマるのは、アンタにも責任があるってこと
ソウ
なんだよ、その理由は…
ソウ
たしかに日頃のストレスから現実逃避するために
ソウ
趣味に没頭することは良いことだ
ソウ
でもアイのお金の使い方は、家計を苦しめているということが分からないのか！
アイ
別に～、みんなしていることだし～
アイ
ライブだけじゃなくて、グッズを買ったりプレゼントをあげたり、
アイ
一緒にデートするってなってもお金が必要なの！
ソウ
はあ？
ソウ
全くお前ってやつは…
アイ
別にいいじゃないの！
アイ
たくさんお金をかけて推しを応援することに意味があるのよ
アイ
ワンチャン、恋人にしちゃうかもしれないわｗ
ソウ
今度は堂々と浮気発言ですか…
ソウ
アイの軽はずみな考えには正直ウンザリするわ
アイ
アンタが嘆いたところで誰も聞いてくれりゃしないわよ
アイ
私は推しのレンくんがいつも慰めてくれるから、問題ナシ！
アイ
あーあ、レンくんが私の旦那様になってくれないかなあ？ｗ
ソウ
勝手に言ってろ！
ソウ
現実はそんなに優しいもんじゃないからね
アイ
いちいちうるさいなあ！
アイ
アンタは黙って金だけ出しとけばいいのよ！
アイ
そうすればアンタに文句の一つも言うことないわ！
ソウ
そうだといいんだけどな…
ソウ
いい加減にしないとクレカを止めるぞ？
ソウ
いいな？
アイ
はいはい、どうぞ
アイ
アンタは所詮、私の理想とは程遠い存在なんだから
アイ
ひとりで騒いでるといいわｗ
～３日後～
アイ
ご報告！
アイ
ついにレンくんと恋人関係になっちゃった♡
アイ
たくさん応援した甲斐があったわ～
ソウ
それはおめでたそうで何より
アイ
あれ～？
アイ
悔しくないの？
アイ
私はレンくんに本気で乗り換えちゃったんだよ？
ソウ
もちろんアイとはこれで夫婦関係は終わりってことだ
ソウ
悔しいというか、こんな終わり方になって正直ショックだ
アイ
アンタのほうから願い下げしてくれるなんて、話が早いじゃん！
アイ
離婚すれば、レンくんはもう私のものね！
ソウ
そうか、それは良かったな
アイ
なに～、その態度
アイ
とっても私のことおめでたいという気持ちが感じられないわね
ソウ
当たり前だろ
ソウ
お前は正々堂々、浮気をして俺を捨てた
ソウ
こんなの心の底からお世辞でも喜べることはできないだろう
アイ
じゃあ、いいこと教えてあげる
ソウ
何だよ…
アイ
私はレンくんと一緒にこの家で暮らそうと思うの
アイ
だからこの家から出て言ってくんない？
ソウ
冗談じゃねえぞ！
ソウ
自分で別れを切り出しておいて、どうして家まで譲らなきゃなんねえんだ？
アイ
実はね、レンくんは家出してきた身なのよ
アイ
レンくんの家に住むわけにもいかないから、分かるでしょ？
ソウ
だから何でウチになるんだ！？
ソウ
そもそも自分たちでアパートでも見つけて住めばいいだろ？
アイ
だからそれが嫌なのよ！
アイ
レンくんはアイドルなんだから、
アイ
激狭アパートに住むわけにはいかないでしょ？
アイ
だから私が二人で悠々自適に暮らせる家を考えているのよ
ソウ
離婚する相手とその浮気相手のために、そこまでしなきゃなんねえんだ！
ソウ
それにアイドルってたって、生活できるほど稼ぎがあるのか！？
ソウ
アイと駆け落ちするくらいじゃ、とても安定しているとは思えないが…
アイ
そんなのアンタには関係ないでしょ！？
アイ
レンくんはトップアイドルになる素質があるの
アイ
そうすれば私だってセレブになること間違いなしだわ！
ソウ
相変わらず脳内お花畑だな
ソウ
アイの本性を早く知ることができて良かったよ
アイ
私もケチでショボい男と分かって良かったわ
アイ
やっぱり私の推しはレンくんだけね
アイ
彼がトップアイドルになるように、私が支えなきゃね
ソウ
はいはい、幸せそうで何より
ソウ
いつまでその幸せが続くか知らないけどな
アイ
そんなんで嫉妬まがいのこと言ったってムダよ
アイ
私の理想に叶わなかったことを後悔することね
～１週間後～
アイ
じゃじゃーーん！！
アイ
これからレンくんと旅行に行ってきまーす！
アイ
どう？悔しいでしょ？
ソウ
なんだ、アイか…
ソウ
離婚した間柄なんだから、いちいち突っかかってくんなよ
アイ
またそういう態度をとると、惨めさが際立つよ！
アイ
私とレンくんの幸せな様子を目に焼き付けて、悔いることね
ソウ
アイ、ほんとにそのレンとかいうやつと結婚するつもりか？
アイ
当たり前じゃないの！
アイ
何のために離婚したと思ってんの！？
アイ
アンタってやっぱり、いつまでも未練がましいなあ
ソウ
おそらくレンくんとは半年たっても結婚できないよ
アイ
はあ？どういう意味よ！？
ソウ
その彼は1７歳の高校２年生だからね
アイ
へ？
ソウ
まさかアイが未成年に手を出しているとは思わなかったね
アイ
何かの冗談よね？
アイ
どこにレンが未成年だという証拠があんのよ！？
ソウ
レンくん本人が年齢詐称して活動していたらしいじゃないか！？
ソウ
結構、知名度のあるアイドルグループのようだから
ソウ
ネットニュースでも話題になっているぞ
アイ
そんなの誰が信じるのよ！
アイ
レンくんは可愛いけど、大人の男って感じだし
アイ
周りがどう言おうと、私は未成年だなんて思わないよ！
ソウ
でも事実はそうみたいだぜ
ソウ
年齢を隠してファンと交際してたみたいだし
アイ
ファンって…もちろん私のことよね！？
ソウ
残念ながらレンくんと交際関係にあったのは、アイだけじゃないみたいだ
アイ
へ？
ソウ
複数のファンと関係を持っていたみたいだ
ソウ
もちろんこの件もネットニュースで騒がれている
アイ
そんな…
アイ
レンくんは『一生アイのことを大事にする』
アイ
『僕にはアイしかいないんだ』っていってくれたのよ！
ソウ
そんなのただの口説き文句に決まってるだろ
ソウ
そうやって女心を揺さぶって関係を持つのが、彼のやり口なんだろう
アイ
レンくんに限って他に女をつくるなんて
アイ
この私がいるのに信じられるわけないでしょ！？
ソウ
アイのように他の女性にとっても、レンくんは一番の人気だったようだ
ソウ
アフターデートなんてギリギリのサービスをやりすぎて、
ソウ
いろんな相手と関係を持ったんだろうな
アイ
ふざけないでよ！
アイ
私は彼に騙されてたって言うの？
ソウ
その通りだ
ソウ
お前のようなアイドルと交際できると、浮かれた人間が騙されたんだ
ソウ
ま、アイにしては家族を裏切ってまでの行動だから、自業自得だけどな
アイ
でも、私は諦めないわ！
ソウ
は？
アイ
だって、あと１年待てばレンくんも成人よね？
アイ
その時まで結婚は持ち越しってわけで
アイ
１年も経てばレンくんもトップアイドルになってるかもねｗ
ソウ
それは絶対ありえないな
アイ
何でそう言い切れるのよ！
ソウ
今回の年齢詐称の件が表沙汰になって、大変なことになっている
ソウ
レンくんは鑑別所送り、アイドルグループも解散のようだ
アイ
どおりで空港での待ち合わせに来ないと思ったら…
ソウ
きっと今頃は、警察の事情聴取を受けているところだろう
ソウ
関係を持った女性たちも皆、事情聴取を受けているみたいだ
ソウ
アイも他人事じゃないと思うぞ
アイ
ウソでしょ…
アイ
推し活は私の生きがいだったのよ
アイ
それで推しであるレンくんと結ばれたし、幸せな生活もこれからだったのに
ソウ
本能のままに行動するからだ
ソウ
相手のこともしっかり調べすに、結婚しようとしていたなんて情けない
アイ
誰もが羨むトップアイドルの妻になりたかったのよ！
ソウ
その願いも空しく砕け散ったな
ソウ
推しに振り向いてもらえると思って、散々金をつぎ込んで
ソウ
家族を裏切ってまで、求めてきたものは結局ウソだったということだ
アイ
アンタが分かったような口を利くなよ！
アイ
何の恨みがあって、傷だらけの私を追い込むワケ？
ソウ
別に恨みなんてないさ
ソウ
俺はお前ともう赤の他人なんだからな
ソウ
これ以上は関わりたくはないからね
アイ
ちょっと待ってよ！
アイ
私はどうなるのよ！
ソウ
何が？
アイ
アイドルの妻になれると思って、仕事も辞めちゃったのよ
アイ
住むところもないから仕方ないけど、アンタのところに戻ってあげるわ
ソウ
そんな心配はしなくていい
ソウ
お前とは離婚は成立したんだ
ソウ
慰謝料も払わなくていいから、これ以上関わらないでくれ
アイ
ちょっと待ってよ！
アイ
私は今回のことで両親からも見捨てられてしまったのよ
ソウ
しょうがないだろ
ソウ
自分の身勝手な行動のために、俺を裏切ったんだから
ソウ
アイのご両親にはあれから何度も謝られたよ
アイ
じゃあ、私とヨリを戻しましょ？
アイ
そうしたら私の両親も私のことを許してくれるはずよ
ソウ
謹んでお断りします
ソウ
自分を罵倒した相手と暮らせるほど、俺は寛容じゃないからな
アイ
ふざけないでよ！
アイ
わたしはこれからどうすればいいのよ！？
ソウ
新しい推しでも見つけて、幸せになってください
アイ
も～っ！！馬鹿にしないでよ！
ソウ
さようなら
～後日談～
ソウ
アイは私の家に突撃してきましたが、
ソウ
事前に連絡して、来てもらっていた義両親に捕獲され、
ソウ
実家に連れ戻されてしまいました。
ソウ
レンは年齢詐称の他にも、
ソウ
女性ファンとのプライベート写真や過剰な金銭要求が流出し、
ソウ
鑑別所送りになった挙句、交際してきた女性たちから訴えられ、
ソウ
17歳で人生を摘んでしまいました。
ソウ
アイも金銭要求をしていたようですが、すべて私のお金を使っていたので、
ソウ
とっさに私に連絡してきました。
ソウ
私はこれ以上関わりたくなかったので、証拠を出すわけもなく、
ソウ
アイはお金の件では泣き寝入りしたようです。
ソウ
アイドルやタレントを応援するのは人それぞれですが、
ソウ
ついつい深入りしてしまうと、思わぬ落とし穴があることを、
ソウ
今回の件で学んだと思います。
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
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