元貴…今日、夕飯食べて帰ってくるんだっけ。
夕飯、カップラーメンでいいか。
藤澤
思えば、元貴と一緒に暮らし始めて初めて1人で食事を取る気がする。
朝は僕が用意したものを一緒に食べて。 昼は仕事が仕事が忙しくて食べなくて。 夜は、バイトがない日もある日も元貴の帰りを待って一緒に食べていた。
藤澤
友達の影もなかったのに、いつの間にかご飯行くくらい仲良い友達が出来ててさ。
そのうち彼女とかも出来ちゃうのかな…
一緒に暮らし初めて少し経った後に、 元貴が恥ずかしそうに小さい頃、僕の事を女の子だと思ってたと聞かされた。
あぁ、だから引越しを手伝いに来てくれた時、様子が変だったんだと理解した。
小さい頃のアルバムを一緒に見た時も反応薄かったし…
藤澤
一緒に住めばもしかしたら… なんて思ってたけど、そんな上手くいく訳ないよね。
元々、違う人と一緒に住もうと思ってたけど、駄目になったのは本当の話。 でも、一つだけ嘘をついた。 元貴には、僕と元貴の母親同士が盛り上がって、いつの間にか一緒に住む事になってしまったと説明したけど、元貴と一緒に住む提案を母にしたのは僕からだ。
父の実家に引っ越す前に、同居話が無くなって、すごく落ち込んでいた所に元貴に会った。
自分でもすごく単純だと思うけど、 15年振りに会った元貴は、小さい頃の思い出の中の“もっくん”と全然変わっていなくて、胸がときめいた。
単純にまた仲良くなりたいと思ったのもあるけど、下心があったのも本当。
藤澤
僕の事を女の子だと思ってたと言う時点で、 希望はなくなったようなもんだ。
それに… 初恋は上手くいかないって言うしね。
でも…まだ、諦めたくもないな。
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