紫耀 目線
○○
紫耀
いつもより少し早く帰るとぎゅっと玄関先で抱き着かれる。
な、なに!? なんで抱きつかれてんの!? てか……やわらか……俺と同じ匂いがする……
…じゃなくて! ○○をよく見て見れば赤い顔に潤んだ瞳。俺もあまり飲めない、アルコールの匂い。
紫耀
○○
抱きつかれたままリビングに向かうと、机に転がる缶が3本。
3本でここまで酔えるとは俺より弱そうだ。
っていうかよかった。ちゃんと成人してたんだ、この子。
ソファーに座れば、まるで俺が膝枕してあげてるみたいになって。
頬を撫でれば甘えた様な顔をするから、なんだか切なくなって。
…………本当に名前以外、お互いのこと何も知らないんだなぁ。
○○
紫耀
○○
紫耀
○○
つまりはかなりのお嬢様。 てか、本当に許嫁とか、居るんだ。
なんだか現実離れしていて、俺にはよく分からない世界。
○○
"連れ戻されちゃう"
そう呟いた○○は粉れもなく泣いていて。
……どうしよう、どうすればいいんだろ
○○
すがりつくように俺の腰に抱きつく○○。 この前だって雷の時に初めてあんなにくっついたのに。 あの、スパンが短いですお嬢さん。
紫耀
○○
紫耀
○○
少し投げやりにそう言う彼女は間違いなくお酒が回っていて、いつもより口数が多い。
紫耀
○○
紫耀
○○
より一層潤んだその目に何故か意地悪したくなって。 彼女なんていないし、○○をここから無理やり出す気もないのに。
紫耀
不安げにこちらを見上げる○○はモジモジしていて、答えを急がしたくなるけどぐっとおさえる。
○○
紫耀
○○
紫耀
○○
紫耀
○○
紫耀
それは、それは反則だと思う。 そんなのちょっとした告白みたいなもので、だけど本人は全くそれに気づいていないようだ。
○○
紫耀
え、このまま寝るの? いや、俺どうすればいいの(笑)
……あぁ分かった、明日になればもう忘れてるんでしょ?
自分の身の上話も今の爆弾発言すらも忘れてるんでしょ?
紫耀
弱ーーーーく本当に弱く手加減して デコピンをすればすりすりと擦り寄ってくる。 まるで実家にいた、猫みたいだ。 ……そういえば、あの猫も拾ったんだっけな。
まだどこか幼さを感じさせる寝顔。 そして何より無防備。 触れようと思えばどこでも触れられてしまう。
…さっきの事を忘れるならさ。 これもちゃんと忘れろよ。
○○の唇にそっと触れる俺の唇。 やわらかくて、お酒に入った甘い果実の匂いと、やらかしたとばかりに訪れる背徳感。
そっと離して頭を撫でれば、ふわりと微笑んだ感じがした。
コメント
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こちらこそコメント、♥ありがとうございます!
ありがとうございます、
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