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翔太

なあなあ、これ見て

涼太

懐かしい

翔太

な?

翔太が一枚の写真を見せて来た

それは幼稚園時代の俺たちの写真だった。 勝気にレンズを睨みつけているのが俺。 今と違って気弱そうにしているのが翔太。

涼太

どうしたの?これ

翔太

こないだ実家に寄ったら出てきた

涼太

貰っていい?

翔太

いいよ

翔太母

じゃあ、翔太、いい子にしてるんだよ

翔太

うん、ママ

翔太母

じゃ、先生よろしくお願いします

渡辺妹

ふぇーーーん

翔太母

はいはい、泣かない泣かない

先生

はい、しっかりお預りします。翔太くん、お母さんにバイバイして

翔太

ママ、ばいばい…

翔太のママは、生まれたばかりの妹をあやしながら、慌ただしく帰って行った。

ママを見送りながら少し涙目になっている翔太の手を取って、俺は一緒に積み木で遊ぼうと誘った。

涼太

しょうた、俺と遊ぼう

翔太

うんっ

涼太

おっきいお城を作るぞ

翔太

作ろう作ろう!!

涼太

じゃあ俺、土台作るから、しょうたは周りを作って

翔太

うんっ

二人で楽しく積み木を組み立てていると、いじめっ子がやって来た。

いじめっ子

おい、何作ってんだよぉ!

翔太

おしろ…

翔太が俺の後ろに隠れる。 その子は体も大きくていつも女の子を泣かせていた。 最近は翔太をいじめている。

いじめっ子

へったくそ!!

ガララッ

翔太

うわあっ

いじめっ子

お前、男のくせにすぐ泣くな

翔太

うぇーーーーん

涼太

しょうたをいじめるな!!!

俺は二回りも大きいそいつに飛びかかった

いじめっ子

うわっっっ!!!!!

涼太

しょうたに、謝れ!!!

翔太

りょうた……ぐすっ

俺は馬乗りになり、全体重をかけてそいつを殴った

いじめっ子

うわあああああん!

いじめっ子

りょうたに殴られたあああああ

涼太

しょうた、もう大丈夫だよ

翔太

りょうた、ありがとう……

涼太

またいじめられたらいつでも俺に言えよ

翔太

うんっ!りょうた、大好き

涼太

俺もしょうたが大好き!

〜夕食〜

涼太

えっ!それ本当???

涼太母

そうだよ。渡辺さん家、今度引っ越すんだって。

涼太

俺、聞いてないよ

涼太母

私もさっき翔太くんママに聞いたばっかりだから知らないんじゃない?

涼太

やだ!やだよ!!

涼太母

私に言われても…

俺は、母親に翔太の家が引っ越すことを聞いて、この世の終わりかと思うくらいに落ち込んだ。

涼太

一緒の小学校に行こうねって言ってたのに…

翔太

えっ!俺んち、引っ越すの?

涼太

やっぱりしょうたも知らなかったんだ

翔太は首をぶんぶん振る

翔太

俺、やだよ、りょうたと離ればなれになるの

涼太

俺もいやだ

翔太

ふぇ……(泣

涼太

よし、家出しよう

翔太

いえで、って、なに?

涼太

しょうたのママにも、俺の母さんにも俺たちが怒ってることをわかってもらうんだ

翔太

うん!
俺もわかってもらいたい!

翔太

でもどうやるの?

涼太

もう家に帰らないんだ

翔太

叱られない?

涼太

叱られたって構うもんか

涼太

悪いのは母さんたちなんだから

翔太

そっか
そうだよね!

涼太

うん

翔太

りょうた、
やっぱりすごい!大好き!

ぎゅっと抱きしめられて、俺は赤くなった

涼太

しょうたは俺が守るからね

翔太

うん、ありがとう

幼稚園から帰った後、俺たちは公園で遊ぶと言ってそのまま近所の神社へと向かった

翔太

どきどきするね

涼太

俺がついてるから大丈夫

翔太

うんっ

俺たちはしっかりと手を繋ぎ、神社の境内に入った。

日はどんどん暮れていき、オレンジ色だった空も真っ暗になっていく

翔太

怖いね

涼太

だ、大丈夫だよ。一緒にいれば

バササッ

涼太

うわっ!!!

翔太

きゃあっ!!!

涼太

…大丈夫。カラスみたい

翔太

うぇーーーん。
帰りたいよぉーーー。

翔太

ママーーー

涼太

しょうた、諦めちゃだめだ

翔太

ふぇ………

涼太

俺たちが頑張らないとダメだよ?

翔太

うう……そうだよね……グス

翔太はずっと俺にしがみついていた

翔太

…寒くなって来ちゃった

涼太

しょうた、これ着て

俺は着ていたパーカーを脱いで、翔太に着せてやる

翔太

りょうたは寒くないの?

涼太

俺は大丈夫(震

俺は、神社の中のお賽銭の奥にある建物の戸を開けてみた

涼太

入れそう

翔太

りょうた、神様に怒られない?

涼太

大丈夫、大丈夫。
しょうたもおいで?

本当はものすごく怖かったけど、凍え死ぬよりいいと思って、俺は翔太の手を引いて中に入った

翔太

りょうたは、すごいね

涼太

何が?

翔太

俺なら、こわくて、しんでた

涼太

これくらいじゃ死なないよ(笑)

二人、くっつきあっているうちに、翔太がウトウトし始めた。

涼太

眠い?

翔太

うん……

涼太

寝ていいよ。
抱っこしててあげる。

翔太

う……ん……

俺は眠った翔太のほっぺにキスをして、破れた障子の隙間から、夜空を見た

空には、それはそれは綺麗な満月が俺たちを見ていた

涼太

きれい。
目が覚めたら、しょうたにも教えてあげよう。

涼太母

バカだねお前は!
翔太くんママに謝りなさい!!!

涼太

ごめんなさい…

次の日。 神主さんにあっさり見つかった俺たちは両親からむちゃくちゃ怒られた。

しかも、翔太は熱を出して寝込んでしまったらしい

翔太母

いいのよ。
うちの子も悪いんだから。

涼太

おばさん、しょうたは?

翔太母

二階で大人しく寝てるよ

涼太母

本当にすみません

涼太

おばさん、引っ越しはいつ?

翔太母

あら?

涼太母

ごめんなさい、翔太くんママに聞いて、涼太に言っちゃったの

翔太母

そう

翔太母

いつも翔太と仲良くしてくれてありがとうね

翔太母

来週には引っ越すのよ

涼太

えっ!来週???

涼太母

本当にお世話になりました

翔太母

こちらこそお世話になりました

涼太母

さっ、帰るよ。
涼太

涼太

おばさん、さようなら

翔太母

はい、さようなら

俺たちは翔太の家を後にした

〜引っ越し当日〜

涼太母

涼太、そろそろ起きる時間だよ

涼太

今日は幼稚園休む

涼太母

どっか痛いの?

涼太

うん、お腹痛い

涼太母

わかった

涼太母

洗濯終わったらお粥作ってあげるから寝てな?

涼太

うん、ありがとう

俺は同じ部屋に寝ている赤ちゃんを起こさないようにして、家を抜け出した

涼太

しょうたーーー

翔太

あっ!りょうた!!!

引っ越しのトラックには荷物が殆ど積み終えていて、もうすぐ出発するところだった

涼太

しょうた、風邪は大丈夫?

翔太

うん、もう平気!

涼太

ごめんね?

翔太

ううん

翔太

それより会いに来てくれたの?

翔太

幼稚園は?

涼太

ズル休みした

翔太

!!!

翔太

りょうたは、やっぱりかっこいいなあ!

涼太

しょうた、引っ越しても俺のこと忘れないで

翔太

うん!俺のことも忘れないで

翔太母

翔太!!
乗りなさい、行くよ!!

俺は翔太ママに見つからないようにトラックの後ろに翔太を引っ張って連れて来た

翔太

りょうた?

涼太

これ

翔太

鶴?

涼太

やっとうまく折れるようになったから翔太にあげる

翔太

青い鶴だ!!
カッコいい!!

涼太

俺のはこれ

翔太

わあ

翔太

赤い鶴も可愛いね

涼太

寂しい時は、これを見て俺を思い出してね

翔太

うん…

翔太

俺、手紙書くね

涼太

俺も書くね

俺は涙が滲んだ翔太にそっと口付けをした

涼太

これからもずっと一緒だよ

翔太

うん……

ブロロロロロロ

涼太

しょうた!!!またねーーー!!!

俺は、いつまでもいつまでも翔太に手を振っていた。

翔太

りょうたーーーばいばーーーーい!!!

翔太も涙を堪えて、俺に手を振っていた

翔太

俺、まだ持ってるんだぜ、あの時の鶴

涼太

マジで!?

翔太

実家の捨てられないものの箱にちゃんと保管してある。

涼太

俺も持ってる

翔太

実家?

涼太

いや

俺は普段使っている革の手帳を見せた

翔太

おお!懐かしい!!

翔太

ものもちいいね、お前

涼太

しっかし、今見ると下手くそだなこの折り鶴

翔太

なーーー(笑)

いつまでもこの時間が続きますように

俺たちは呼ばれてリハーサルへと向かった

この作品はいかがでしたか?

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コメント

22

ユーザー

感動😭 実は3.12卒業式でした それもあいまってずーっと泣いちゃってます😭😭😭

ユーザー

ゆり組♡ほっこりします(◍︎´꒳`◍︎)

ユーザー
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