澪ミオ
私の「風」がまだ残ってるって、気づけたんだろう。
澪ミオ
あの日を境に、全部置いてきたはずだったのに。
3年前
全国大会 女子個人ロード決勝前
監督
……速すぎるんだよ、お前は。
澪ミオ
でも、私……止まれなくて。
監督
どうせ周りにはついてこれない。
——お前は“個”の選手だ。期待してる。
鳴子(中学)
澪(中学)
風、すごくいい感じ。
多分、今日の私は誰にも止められない。
鳴子(中学)
優勝してきたら、焼肉な!
澪(中学)
📢「今、女子個人ロードで先頭を走っているのは——!」
📢「ゼッケン23番、神奈川代表・南澪(みなみ・みお)選手!」
📢「まさに“風の少女”! 登りでの加速が異次元です!!」
📢「後続と40秒差!!これは伝説になるかもしれません!!」
澪(中学)
(私と風がひとつになってる……)
📢「——っと!?南選手、少しバランスを崩したか……!?!」
📢「いや、違う!これは……!」
📢「南選手、バイクを降りて……その場に膝をついた!!?」
澪(中学)
(え……なんで……?)
(まだ……走りたいのに……)
あの時、何かが壊れたの。 足じゃない。——心の方。
無理をして走ってたわけじゃない。 ただ、夢中だっただけ。 ……風になりたかっただけ。
けどあの日から、 私はもう風に乗れなくなった。
??
風が見えてる人の走り方だ。
(……あれは、風そのものだ)
??
ふーん……
(会ってみたいな、いつか)
澪ミオ
あのときの走りを、誰かが見てたなんて。
澪ミオ
もしかして、私を——
澪ミオ
「もう走らない」って決めたはずだった。
でも、止まっていたのは私の身体じゃない。
“あの時の自分”を認めたくなかっただけ。
……でも今、誰かがそれを見ていてくれたとしたら。
私はまた—— 風の中へ、戻れる気がする。






