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『風の音が恋になる』

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『風の音が恋になる』

4 - 𝕖𝕡𝕚𝕤𝕠𝕕𝕖 4⃣

♥

33

2025年10月19日

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澪ミオ

どうしてあの人は、
私の「風」がまだ残ってるって、気づけたんだろう。

澪ミオ

もう、止まってるはずだったのに。
あの日を境に、全部置いてきたはずだったのに。

3年前

全国大会 女子個人ロード決勝前

監督

澪、お前が前を引くと、全体のペースが狂う。
……速すぎるんだよ、お前は。

澪ミオ

ごめんなさい。
でも、私……止まれなくて。

監督

止まらなくていい。
どうせ周りにはついてこれない。
——お前は“個”の選手だ。期待してる。

鳴子(中学)

おい澪!全国、調子どうや!?

澪(中学)

うん。
風、すごくいい感じ。
多分、今日の私は誰にも止められない。

鳴子(中学)

その言葉、録音して自慢しとくわ(笑)
優勝してきたら、焼肉な!

澪(中学)

ふふっ、鳴子くんってば。

📢「今、女子個人ロードで先頭を走っているのは——!」

📢「ゼッケン23番、神奈川代表・南澪(みなみ・みお)選手!」

📢「まさに“風の少女”! 登りでの加速が異次元です!!」

📢「後続と40秒差!!これは伝説になるかもしれません!!」

澪(中学)

(風が身体に吸い込まれてくる……)
(私と風がひとつになってる……)

📢「——っと!?南選手、少しバランスを崩したか……!?!」

📢「いや、違う!これは……!」

📢「南選手、バイクを降りて……その場に膝をついた!!?」

澪(中学)

……足が、動かない。

(え……なんで……?)

(まだ……走りたいのに……)

あの時、何かが壊れたの。 足じゃない。——心の方。

無理をして走ってたわけじゃない。 ただ、夢中だっただけ。 ……風になりたかっただけ。

けどあの日から、 私はもう風に乗れなくなった。

??

……あの人、速い。
風が見えてる人の走り方だ。

(……あれは、風そのものだ)

??

名前……南 澪。
ふーん……

(会ってみたいな、いつか)

澪ミオ

……まさか、
あのときの走りを、誰かが見てたなんて。

澪ミオ

真波くん……
もしかして、私を——

澪ミオ

(風が——また、私を迎えに来ようとしてる)

「もう走らない」って決めたはずだった。

でも、止まっていたのは私の身体じゃない。

“あの時の自分”を認めたくなかっただけ。

……でも今、誰かがそれを見ていてくれたとしたら。

私はまた—— 風の中へ、戻れる気がする。

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