夕夏
春ちゃんに、水着姿みられちゃった……
牡丹の家での勉強会の最中、夕夏がポツリと小さな声で呟いた。顔を真っ赤にしながらシャープペンシルを握りしめて肩を震わせている。
咲子
……夕夏?
夕夏
咲子ちゃんどうしよう…私、お嫁にいけないよっ
咲子
は?
日菜子
夕夏ちゃん、どうしたの?
牡丹
お茶飲みますか? 落ち着きますよ?
牡丹が立ち上がると、部屋の端にいた付き人が近づいてきた。
付き人
牡丹お嬢様、私が用意致します
牡丹
いえ、私が夕夏さんの為に淹れ直したいので下がって結構ですよ
咲子
(家もお部屋も広いけど)
日菜子
(まさか付き人さんまで居たなんて)
まゆ
(気が付かなかった…)
萌奈
はいはーいっ牡丹ちんあたしも紅茶のおかわり欲しーっ!!
夕夏
(萌奈ちゃん相変わらずマイペースだなぁ)
牡丹
はい、今淹れますね
萌奈
ありがとー! ぼたりんが淹れてくれる紅茶美味しいから、あたし大好き!!
牡丹
ふふ、嬉しいです。夕夏さん、おかわりどうぞ
夕夏
あ、ありがとう……
淹れてもらった紅茶を一口飲めば、胸がほうと温かくなり夕夏は瞳を閉じた。
夕夏
美味しい…
咲子
で。日向が、なんだって?
夕夏
っ、あ、あの…この前、新しい水着を買って…着てみたんだけど、そしたら春ちゃんがお部屋に入ってきて…見られちゃって…
日菜子
…そう言えば、夕夏ちゃんと日向くんも幼馴染だったっけ?
夕夏
うん。でも、私たちは小学校からだから…日菜ちゃんや松下くんは赤ちゃんの頃から、だもんね
萌奈
あのねーゆうりん、あたしイイコト思いついたの!
咲子
なんだかイヤな予感が…
萌奈
お嫁に行けないなら、はるりんのお嫁さんになればいーんだよ!!
夕夏
え、ええええ?!
まゆ
もなちゃん、それはちょっと無理やり過ぎるよ…
萌奈
えー、なんでー? はるりんゆうりんのこと好
日菜子
ま、まあっ、水着姿見られたら恥ずかしいよねっ
夕夏
うん…それに、春ちゃん下着って言ったの…!
咲子
日向デリカシーなさ過ぎ
夕夏
あ、でも、普段の春ちゃんは優しいから、だから…ね、悪い人じゃないんだよ?
咲子
ハイハイ、ごちそーさま
牡丹
……だからですか
まゆ
?
牡丹
執拗にメッセージが送られてきて、困っていたんです
日菜子
メッセージ?
牡丹
はい。変た……いえ、筒井さんから、「君の水着姿が見たい」と
萌奈
(今、変態って言いかけた!)
日菜子
そ、それは……
咲子
アイツらしいわね
牡丹
筒井さんにだけは、知られたくなかったのですが……
日菜子
っ、あ、ごめん私が文和に言っちゃったから、多分そこから漏れちゃったんだと思う…
牡丹
いえ、日菜子さんが松下さんに秘密にしていたとしても、筒井さんにはいつかバレてしまっていたとは思うので…気になさらないでください
夕夏
筒井くん一体何者…
萌奈
さすがぼたりんのストーカー
牡丹
旅行中も問題ありませんわ。邪魔者は始末するように伝えてありますので
咲子
ははっ…アンタってホント筒井だけには容赦無いわよね…
萌奈
そう言えば、あたしもゆっきーからメッセージ着てた!
まゆ
寺島くん、なんて?
萌奈
迷子にならないで、って!
日菜子
(不器用すぎる…不器用すぎるよ寺島くん…! でもっ、そこが萌えポイント!!)
まゆ
ひなこちゃん、鼻血出てる…!
日菜子
だ、大丈夫…ちょっと萌えただけだから…
まゆ
……燃え?
夕夏
……仲直り、しようかな
日菜子
うん、それがいいよ。多分今頃日向くん後悔しているんじゃないかな?
萌奈
仲が良いのが、いちばん!
夕夏
うんっ!
咲子
……ハァ、羨ましいというか何というか…