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花梨
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この草原にたたずむ 一輪のちいさなスミレが おじぎをしている人知れず。 それは、愛らしいちいさなスミレ。 そこに来たのはひとりの女の羊飼い。 軽やかな足取りで発刺と。 あちらのほうからこちらへ、 こちらへと、 この草原を進む、 歌いながら。 ああっ! このちいさなスミレは考えました。 私が、この自然界に在って唯一の いちばんの美しい花であったなら。 ああ、ほんの少し ちょっとの間だけでいいから、 あの愛しいひとが 私を摘み取ってくれるまでは、 綺麗なお花になれたなら。 そうしてあのひとの胸に、 微かに押し付けてもらえたなら! ああ、ただ、ただ、 ほんの一瞬だけでいいから! ああっ! それなのに、ああ! やって来たこの愛しい乙女は、 あのちいさな スミレに気を払うこともなく 踏み躍られた気の毒なちいさなスミレ。 醜く押し潰され息も絶え絶え、 それでもなお、スミレは喜ぶのでした。 私は潰れて死んじゃうけれど、 こうして潰されちゃったけれど あなたのせいで、あなたのおかげで、 あなたの足もとで 死ぬことができるなら、 それでいい。 「すみれ」 ゲーテ