虚構の世界で出会った彼

その日、私はいつも通り自転車を走らせ、学校に向かった

キーンコーン…

ホームルーム開始5分前のチャイムが校舎から鳴り響いていた

私は自転車を停めて、教室へ走った

ガラッ

ギリギリ1分前のところで教室に入り、席に着いた

ぐったりした感じで机に顔を置いた

私は聞き慣れていないその声の主を確認すべく、パッと目を開けた

目を開けると、しゃがんで、私の机の上に手を置いてこちらを見つめて微笑んでいる男の子がいた

微笑している彼を見た私の心には何かが引っかかっていた

じっと彼を見つめていると

私は苦笑いを浮かべながら彼にペンを差し出す

仕方ないなぁと言いながら、彼はノートの端に名前を書いた

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ー柚木普ー

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からかうように笑う彼

私は頑張っていつもの顔を作ろうとしたが、その「いつも」がちゃんと思い出せなかった

私は不安そうな顔で彼に目線を合わせた

彼が口を開くと同時に、彼の友達らしき人が彼を呼んだ

彼は瞬きして私から目を逸らして、その人に応えた

彼は立ち上がって

私は彼に軽く手を振った

放課後

私は上靴を下駄箱に入れて、ローファーを履いた

トントン

誰かが私の肩を軽く叩いてきた

私は少し考えて、

柚木くんは唖然とした顔になって

柚木くんは少し黙って

そう言って頭の後ろで手を組んで、前を歩き始めた

私は小走りで彼に追いついて

私は少し驚いたが、直ぐに頷いて

微笑む彼の耳は、夕日のせいか、少し赤かった

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しばらくして

「じゃあ俺、こっちだから」 「またね」 と言って、普くんは帰ってしまった

私は自分の胸に手を当ててその音が速くなるのを感じた

頬を抓ってみたが、やはり痛かった

そうして私は、彼のことを考えながら

ゆっくりと家へ向かった