19:21
車の中
りん
…。
さとる
…。
りん
(家まで送ってやると言われて着いてきてしまったけど、)
りん
(祖チンやら何だのあぁあ…。)
りん
(言い過ぎたのは申し訳ないと思ってますが、)
りん
(空気が重すぎますよ…社長さん…。)
りん
…。
りん
(嗅いだことのある匂いがする……。)
りん
(きっと順子さんの香水だろうけど、)
りん
(関係が上手くいかなくて秘書を辞めたんだとしたら、)
りん
(もう離婚してるのかな…?)
りん
(…けど、)
さとるの薬指の指輪を見る
りん
…。
さとる
詮索するな。
りん
…!
りん
すみません…。
さとる
…。
りん
…あの、
りん
失礼だとは承知の上ですが、
りん
詮索するなと言われてしまいましたので単刀直入にお聞きします。
さとる
なに。
りん
…順子さんとはお別れしたんですか?
さとる
…んっ、
さとる
痛いとこ突いてくんね。
りん
すみません…。
大きな建物の前に止まる
りん
…?
りん
ここ…私の家じゃないんですが、
りん
道…間違えちゃいましたか…?
さとる
間違えてない。
さとる
ここであってる。
りん
…?
さとる
これから仕事のパーティーがある。
さとる
大事な契約会社だ、
さとる
くれぐれも変な真似はするなよ。
りん
え、私も出席するんですか!
さとる
…当たり前だろ。
さとる
秘書として最低限の仕事はして貰えないと困るし、
さとる
足でまといは会社の重荷になるだけだから。
りん
…。
りん
分かりました、
会場に入ろうとする
さとる
あ、これ。
ドレスの入った紙袋を渡す
さとる
順ちゃんのサイズだからピッタリかはわかんねーけど。
りん
…え、
りん
このままの服装で大丈夫ですよ…っ!
りん
それにこれ…、
りん
(順子さんにプレゼントするために買ったのかもしれない、)
りん
(だとしたらっ、)
さとる
…。
さとる
お前の為じゃなくて俺のためな。
さとる
そんな格好で隣を歩かれたらうちの会社も地に落ちたと思われんだろ。
りん
…っ、
さとる
あ…あと、
さとる
会社内と仕事先以外は敬語やめろ。
りん
え、
りん
なんでですか?
さとる
なんか、
さとる
…。
さとる
ムカつくから。
りん
…!
りん
分かりましたよ着替えてきます。
りん
(皮肉ったらしい…。)
数分後
更衣室
りん
(敬語がムカつくってなに…!?)
りん
(そっちが馴れ馴れしく話してくんなっつったんじゃん、)
りん
(ほんとムカつく…っ、)
ドレスに着替える
りん
…。
りん
…丈が長い、
りん
(ヒール履いてるのに…。)
りん
順子さん、
りん
身長高くてスタイル良かったからなぁ…。
りん
(順子さんの隣に並んだ私なんて、)
りん
(さとるの眼中にすら無かったはずだよ…。)
りん
はー…。
りん
…っ、
りん
(けど、)
りん
(今はさとるに見合う秘書になるのが最優先。)
りん
(またあの皮肉ったらしい顔で会社の恥だなんて言われないように…。)
りん
絶対うまく乗りきってやる…。
パーティー会場の扉前
りん
お待たせしました…っ、
さとる
遅い。
さとる
いつまで待たせてん…の、
りん
…。
りん
ドレス、
りん
サイズが合わなかったからちょっと手直ししてみたの。
さとる
…。
さとる
…時間が掛かったのも無理ないな、
りん
あっ、けど!
りん
穴を開けたり破いたりはしてないから…!
りん
安心して…!
さとる
…。
さとる
そうか。
りん
…。
りん
(ノーコメント…なんだ。)
さとる
…。
さとる
有難うな。
りん
へ…?
さとる
俺がそのドレス順ちゃんのだって言ったから、
さとる
手直しのときも気をつかってくれたんだろ。
りん
…っ、
りん
それは…っ、
さとる
…。
さとる
お前は昔よく着てたピンク色の服装より、
さとる
ブルーのドレスがよく映えるな。
りん
…?
さとる
…似合ってる。
りん
…!
りん
(私が喜ぶとか…嬉しがるって分かってる言葉は、)
りん
(使って欲しくなかったよ…。)
りん
…。
りん
(私って…こんなクズでも、)
りん
(さとるのこと、)
りん
やっぱり大好きなんだ……。
好評でしたら続編書きます🙇