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ガイド妖精

以上で、リバイブ・サバイバルの全競技は終了した。

ガイド妖精

10ポイントを超えた者は、ブロンズクラスに昇格する権利を得る

ガイド妖精が壁に光を当てて、ぼく達5人の現在のポイントを表示する。

ユウゴ

ぼくが10ポイント?

ユトリ

第4ブロックでクリアできたからですよ

一緒に第4ブロックをクリアしたユトリが、自分のことのように喜んでくれる。

ユウゴ

ごめん、ユトリが協力してくれたおかげなのに、ぼくだけ

ユトリ

いいえ、私は元々2ポイントしかありませんでしたし

ホマレ

私は9ポイントですか。

ホマレ

惜しかったですわー

惜しくも10ポイントを逃したホマレは残念そうだ。

メイカ

やったよ、ショウリ。
あたし達、一緒にブロンズクラスだよ

気持ちが落ち着いたメイカが、ショウリの両手を取って喜びを分かち合っている。

ショウリ

うん。
際どかったけど、なんとかなったみたいだね

メイカ

でも、なんで、あたしの服の右袖が無くなってるの?

メイカが右半分だけノースリーブになった自分の服を見て、不思議そうな顔をする。

魔物熊と対峙していた間の記憶が曖昧なようだ。

ショウリ

あとで落ち着いたら説明するよ

メイカ

ショウリの服も背中がないじゃん。
何があったら、そんな破け方するのよ

ショウリ

あとで落ち着いたら説明するよ

同じことを2回言った。

ここでメイカに取り乱されると、収集がつかなくなりそうだから、こうこたえるしか無いのだろう。

ガイド妖精

ポイントの確認が終わったな? 戻るぞ

ユウゴ

あ、待って。

ユウゴ

ひとついいかな

扉に変形しようとしていたガイド妖精を止めて、気になったことを質問してみた。

ガイド妖精

なんだ?

ユウゴ

ブロンズクラスに昇格するのに必要なのは、10ポイントなんだよね?

ユウゴ

10ポイントをこえた分のポイントってどうなるの?

ショウリ

メイカのポイントの事だね?

ショウリもぼくの聞きたいことを察して、補足してくれた。

ガイド妖精

ブロンズクラスに昇格した段階で、ポイントとペナルティは0にリセットされる

ユウゴ

それって、ブロンズクラスに昇格した段階で、ポイントが無くなるってことだよね?

ガイド妖精

そうだ

ガイド妖精から、ぼくの質問を肯定する期待通りの返事があった。

ホマレ

ガイド妖精が先程言った通りではありませんの?

ショウリ

リバ戦のルールだよね?

ユウゴ

うん

ショウリはもうわかっているみたいだ。

リバ戦の大本のルールを、もう一度みんなと共有する。

・参加した時点で、ペナルティは0にリセットされる。 ・5人1チームとなって迷宮を進む。 ・5つのブロックがあり、競技の前に難易度の2択選択がある。 ・難易度2択で、投票者が少数だった難易度で、投票した者だけで競技を行う。 (1:4の場合1人、2:3の場合2人) ・クリアできればポイント獲得。未クリアでもペナルティ無し。 ・クリア時のポイントは、  第1ブロックは1、  第2ブロックは2、  第3ブロックは3、  第4ブロックは4、  第5ブロックは5。 ・2択の結果が0:5だった場合、そこで終了する。

ユウゴ

この中で注目するべきは『・5人1チームとなって迷宮を進む。』という部分

メイカ

何も変じゃないでしょ?
最初から最後まで、5人で来たんだから

メイカが首を傾げる。

ユウゴ

これって、リバ戦の中でアミ戦をクリアした場合のポイントは、
チームが獲得したポイントってことになるんじゃないか。
って思ったんだ

メイカ

はああ?

メイカがもっと首を傾げる。

ショウリ

要するに、メイカの15ポイントの中から、余る5ポイントを他の人にあげられるんじゃないかってことだよ

メイカ

あー

ショウリの説明を聞いて、メイカもぼくの言いたいことが理解できたみたいだ。

ユウゴ

できる、よね?

一応、ガイド妖精にもう一度確認してみた。

ガイド妖精

この迷宮内においてのみ可能だ

こたえは、肯定だった。

今のポイントはメイカが15、ユトリが6、ホマレが9。

メイカの余っている5ポイントをユトリとホマレに振り分ければ、ちょうど全員10ポイントになれる。

ショウリ

いいじゃん。

ショウリ

みんなでブロンズクラスに昇格できるよ

メイカ

ええ、うう~ん。

メイカ

ホマレはいいけどさ。

メイカ

ユトリはなぁ~

メイカは腕を組んで、苦虫を噛み潰したような顔でこたえる。

ショウリ

そんなイジワル言わないでさ。
結局なくなっちゃうポイントなんだし

メイカ

ホマレはあと1ポイントだけど、ユトリは4ポイントじゃん。

メイカ

アミ戦4勝分ってあげすぎじゃない?

メイカの言い分も一理あるかもしれない。

ユトリ

そうですよね。

ユトリ

私はペナルティがなくなっただけでも、とても助かりましたし、これで

ホマレ

ユトリさまとユウゴさまは、ちょいとツラをお貸しくださいまし

ホマレに手を引かれて、ぼくとユトリだけ、少し離れたところにつれて行かれた。

ホマレ

申し訳ありません。

ホマレ

メイカさまに聞かれないように、お話ししたかったので

ユウゴ

えっと、何?

ホマレ

このままでは、ユトリさまにポイントを譲渡していただけないと思いまして

ユトリ

あの、いいですよ。

ユトリ

メイカさんも言っていますけど、アミ戦4勝分もポイントをもらうのは、他の方にズルい気もしますし

ホマレ

他の方って、どなたですの?

ホマレがユトリをにらむように顔を寄せる。

ホマレ

もらったポイントでブロンズクラスに昇格するのはズルいと誰かに言われましたの?

ホマレ

それとも、言いそうな人の心当たりでもありますの?

ユトリ

そういう事はありませんけど

ホマレの圧に耐えかねて、ユトリが視線をそらす。

ぼくは若干2名、心あたりがあるけど。

風《アエル》の女子とか、水《アクア》の男子とか。

ホマレ

よろしいですか?

ホマレ

アミ戦……アミキティア・サバイバルは、生き残り《サバイバル》の言葉が示すとおり、勝者と敗者を明確にしてしまう戦いです。

ホマレ

その勝者というのは、アミ戦の結果だけには限りません。

ホマレ

アミキティア魔法学校での成績や、より早く正式な魔法使いになれるかも含めてのことだと、私はとらえております

ユトリ

たとえズルだと思っても、自分が上に行けるチャンスは逃すな。

ユトリ

そういう事ですか?

ユトリの答えに、ホマレが力強くうなずいた。

ユウゴ

ぼくはズルだとは思わないな

2人の会話に出てきた、ズルという単語が引っかかった。

ユウゴ

5人の誰が欠けても、リバ戦を第5ブロックまで全部クリアすることは出来なかったと思うし。

ユウゴ

余っているポイントを、足りない人がもらうのは、正当な権利だと思う

ホマレ

ユトリさまが勝手に引け目を感じておられるだけで、私もズルだとは言っていませんわ

ユトリ

ユウゴさんやホマレさんがそう言ってくれても、メイカさんはズルだと思っているんじゃないでしょうか?

ユウゴ

そうだよねぇ

ぼく達はいいと思っても、実際にポイントを分けるメイカがいいと思っていなかったら意味がない。

ホマレ

いいえ。
メイカさまだってポイントを分けること自体をズルだとはとらえていませんわ。

ホマレ

メイカさまがユトリさまにポイントを分けたくないのは、別の理由があると思いますの

ユトリ

別の理由?

ホマレ

嫉妬ですわ

ユトリ

それはないですよ。

ユトリ

メイカさんは、私よりずっと成績良いですし

魔法の才能があるのはもちろんだけど、実は普通学習もぼく達よりもメイカのほうが出来たりする。

普通学習はタブレットで個人向けの学習要項が用意されているんだけど、以前メイカに見せてもらったら、もう高校生レベルの授業を受けていた。

ホマレ

メイカさまが嫉妬しているのは、成績や能力のことではなく、恋愛関係についてですわ

ユトリ

いやいやいや、それこそないですよ。
私とメイカさんで、誰かと三角関係になったりなんてしていませんから

ユトリが顔を真赤にして否定する。

ホマレ

メイカさまの方は、そうは考えてはおりませんわよ

ユウゴ

ショウリのことだね?

入学してすぐのころ、メイカとユトリの間でひと悶着あったことがある。

きっかけはユトリがショウリのことを好きだと、メイカが誤解したことなんだけど。

あの時に話がこじれて、うまく誤解を解くことが出来なかったのが、今も尾を引いているみたいだ。

ユトリ

最近はメイカさんにその話をされることがなかったので、ほとんど忘れていました

ホマレ

ショウリさまの手前、あまり人と揉める姿を見られたくないのでしょうね

ユウゴ

ショウリは争いごととか嫌いだからね

腹黒いところはあるけど。

ホマレ

なので、メイカさまの誤解を解くことができれば、ユトリさまもポイントを分けていただくことはできると考えますわ

ユウゴ

そうか。
ユトリがショウリのことは別に好きじゃないって言えば

ユトリ

いきなりそれを言うのメチャクチャ不自然ですよ

ホマレ

メイカさまの前でショウリさまをおディスりあそばすのは得策とはいえませんわ

ユウゴ

だったら、どうすれば

ホマレ

ユトリさまの矢印がショウリさまではなく別の方に向いていると、メイカさまに思っていただければよろしいですわ

ホマレが両手の人差し指で、ぼくとユトリを指差す。

ユウゴ

ぼく?

ホマレ

はい。入学前からの知人だと聞いていますし、この場で1番相応しいと思いますわ

ユウゴ

入学前って言っても、1日だけだけど

ユトリ

そんなの無理ですよ。急にそんな話ふられても、自然に振る舞うなんて出来ないですし。

ユトリ

いえ、ユウゴさんが無理ってわけじゃなくて

ユウゴ

ぼくもうまく出来ると思えないんだけど

ホマレ

落ち着いてくださいまし。

ホマレ

今だけ、それっぽく振る舞うだけでいいのですから

ホマレがぼくとユトリの手を取ってつながらせる。

手のひらを内側に向けて腕をからみ合わせる、いわゆる恋人つなぎで。

ホマレ

こうしてメイカさまの前に行くだけで、ショウリさまに関する誤解をなくすには十分だと思いますわ

ユウゴ

ええっと、結構恥ずかしいんだけど

女の子とこんな手のつなぎ方をするなんて、もちろんはじめてだ。

手汗をかいていないかとか、体がくっつきすぎていないかとか、すごく気になる。

ちらっとユトリの顔を見ると、口を真一文字にして、向こうもかなり緊張しているんだなというのが伝わってきた。

ホマレ

お2人とも、もっと自然な表情をしてくださいまし。

ホマレ

見つめ合いながら歩いてくと、グーですわ

ユウゴ

あのさ、楽しんでない?

ホマレ

そんな事ねーですわ

口も目も笑っている。

絶対に楽しんでいる。

メイカ

ね~、話ってまだ終わらないのー?

待たされ疲れたメイカがぼく達を呼ぶ。

これ以上時間をかけると、メイカをいらだたせてしまいそうだ。

そうなると本末転倒だ。

ホマレ

メイカさまとは私が話しますから、ユトリさま達は私に合わせて相槌を打ってくれるだけでよろしいですわ

ホマレに背中を押されて、メイカとショウリの所に戻った。

ホマレ

おまたせして申し訳ありません

メイカ

何の話していたの……よ?

メイカの視線がぼくとユトリのつないだ手で止まった。

メイカ

2人って、そーいう関係だったの?

ユウゴ

そういうわけじゃ……

ホマレ

そうなのですわ。

ホマレ

それで先ほど、2人で一緒にブロンズクラスに昇格するにはどうすればいいかと、相談を受けていましたの

メイカ

そうなの?

ホマレの話に、メイカは疑うような視線でユトリの顔をのぞき込むように見上げた。

ユトリ

は、はい、入学する前から一緒にいましたし

1日だけね。

メイカ

ユウゴも?

ユウゴ

うん、まぁ、一緒のほうが嬉しいかなって

これ自体は本音だ。

近くに知り合いがいたほうが心強いという意味でだけど。

ショウリ

それじゃあ、一緒にブロンズクラスに昇格したいよね

ショウリもぼく達の話を、笑いをこらえながら後押しする。

この感じは、だいたいのことを察して半分楽しんでいるな。

ホマレ

ですから、ユトリさまの余っているポイントを、私だけでなくユトリさまにも分けて差し上げてくださいまし

メイカ

ううーん、でもなー

メイカが頭を抱えて考え込む。

頭と心の中で、いろいろなものが駆け巡っているんだろう。

ショウリ

いいじゃん。
今後何かあった時の貸しってことにすれば

メイカ

じゃあ、

メイカ

ホマレは貸し1、
ユトリは貸し4

メイカ

ってことでいいわね?

ショウリの後押しで、メイカも条件付きだけど折れた。

ホマレ

私はよろしいですわ

ユトリ

わ、私も、はい。

ユトリ

あの、それで

ユトリが青い顔でこたえる。

メイカ相手に4つも貸しを作ると、後々どんな要求をされるか気が気じゃないのだろう。

ユウゴ

その貸し、ぼくも持つよ

ユトリ

あの、それは悪いですよ。
私の事ですから

ユウゴ

ぼくのためでもあるから。

ユウゴ

もちろん、ぼくの出来る範囲でだけど

メイカにそれでもいいかと聞いてみる。

メイカ

ふん。ちょっとだけ見直したわ

と返事をもらい、ポイントを分けてもらうことが出来た。

ガイド妖精

あらためてポイントを集計する

ガイド妖精が壁に光を当てて、ぼく達の現在のポイントを表示する。

ガイド妖精

ポイントの移乗により、
ユウゴ、ショウリ、ユトリ、ホマレ、メイカのポイントは10。

ガイド妖精

よって、ユウゴ、ショウリ、ユトリ、ホマレ、メイカはブロンズクラスに昇格する権利を得る

アミキティア魔法学校の闇

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