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ワァ
カチカチカチ、と秒針を刻む音
ナワーブ
フードを被り、臨戦状態にも見える格好のナワーブは厨房へと歩みを進めていた
ナワーブ
優雅なディナーなんて割に合わない症の彼は、棚に入っていたバケットを取り出した
ザクッザクッ
ナワーブ
鶏肉、トマト、香辛料…玉ねぎも欲しいところだが無いものは仕方ない
食欲をそそる匂いに耐えながら 煮詰めていく
具材がドロっとしてきたら火を止め、 バケットに挟む。
ナワーブ
我慢の限界を主張するお腹に 暖かい故郷の味が染み渡る
「サベダーさんお夕食食べないの?」
お夕食。そんな優雅な食べ方を俺は知らない
ナワーブ
座って食べるよりは立って食べる方が好き
フォークやナイフ、スプーンを使うより手で食べる方が好き
人と話しながら食べる飯よりも1人で食べる飯が好きだ
ガタンッ
ナワーブ
イライ
厨房の入口から物音を立てながら たしか…占い師、だったか? 怪しげな風貌の男が入ってきた
イライ
ナワーブ
イライ
まだ湯気の出ている鍋を指さす
イライ
ナワーブ
イライ
占い師は嬉々として皿を取り出し、 鍋の中身をよそって食べ始めた
食前の祈りをして、しっかりとスプーンを使って
イライ
どうやらお気に召したようで
ナワーブ
イライ
ナワーブ
イライ
ナワーブ
イライ
ナワーブ
指に付いてしまったソースを舐め、椅子の上に乗る
イライ
大分もっそりとした食べ方に若干の苛立ちを覚えながら鍋を片付け始める
イライ
ナワーブ
信じてみなよ、とでも言う風に布越しにこちらを見据える
ナワーブ
興が乗ったので、片付けをやめて再び椅子に戻る
ギィ…
ナワーブ
本当に人が入ってきた
トレイシー
随分大きい独り言を漏らしながら厨房に入ってくる
トレイシー
イライ
人差し指を口元に持っていき占い師は機械技師?を静める
トレイシー
イライ
スプーンを皿に戻し、人の良さそうな笑みを称えて占い師は答えた
トレイシー
ナワーブは鍋を指さした
トレイシー
イライ
トレイシー
機械技師は棚からバケットを取り出しナワーブと同じようにして口に運んだ
トレイシー
リスか何かのように頬袋にバケットをパンパンに詰める
トレイシー
ナワーブ
正真正銘空になった鍋を流しに持っていく
トレイシー
イライ
ゴクン、とバケットを飲み込んだ機械技師はふいに口を開いた
トレイシー
ナワーブ
トレイシー
ナワーブ
トレイシー
ここ、時間に厳しいし……とブツブツと呟いてる
トレイシー
ナワーブ
トレイシー
鍋を洗い、乾いた布で拭く
占い師は皿の中を空にする気が無いらしい
ナワーブ
イライ
カタンッ
イライ
ナワーブ
占い師が皿をもって扉を開ける
トレイシー
イライ
犬に餌付けしている後ろ姿は、こうなることが予め分かっているような感じがした
あらかた食べ終わった犬は満足気に帰っていく
機械技師がお茶を淹れた
トレイシー
トレイシー
イライ
ナワーブ
ホッと一息をつく
時計の針が1:26を指している
イライ
ナワーブ
トレイシー
イライ
ヒラヒラと手を振って厨房から出ていった
トレイシー
ナワーブ
トレイシー
ナワーブ
まぁ、確かに怪しいところはあるけど
ナワーブ
トレイシー
その後もポツポツと話していたが2:45を回った頃、占い師の言葉を思い出し、イソイソと自室に戻った
午前3時はナニカが起こる それを占い師は天眼で見ていた
fin