テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
放課後、喫茶店、扉をくぐればそこは、探偵俱楽部への入口だ。
スバル
俺は大きなあくびをしながら、 書記担当のユミに確認する。
ユミ
ほら、と見せてくれたのはピンク色の封筒だった。
スバル
ユミ
聞いたことがある名前だ。 どこで聞いたのだろうか。
ユミ
つまりは幽霊、 そのような事実にユミは全く動揺していない。
ユミ
じっと俺を見つめる瞳には、 きらきらと光るグラスが反射している。
スバル
俺はそう言いながら、 手に持っていたアイスコーヒー入りのグラスを、 テーブルに置いた。
スバル
ユミ
スバル
中学二年生の俺たちが探偵俱楽部を立ち上げてから、 もうすぐ一年が経とうとしている。
俺の祖父が経営している喫茶店、 そこを拠点に身近な依頼を解決している。
推理担当の俺と書記担当のユミ、 残りの二人は捜査班だ。
喫茶店の扉が開いた。
カイ
アスカ
調査担当のカイと撮影担当のアスカだ。
スバル
俺はユミから手紙を受け取り、封を開けた。
『探して』
手紙の内容はたったそれだけ。
ユミ
スバル
亡くなったミイコからの突然の手紙。
それは俺たちに何か、 伝えたいことがあるからなんじゃないのか。
カイ
アスカ
ユミ
どうもこいつらは否定から入りたがる。
スバル
俺の髪が、夕日で赤く染まる。
スバル
俺以外の三人はまたか、 というように同時にため息をついた。
ユミ
スバル
俺はアイスコーヒーを飲み干し、 そう指示を出した。
翌日、喫茶店にて話し合い開始。
ユミ
ユミはテーブルに資料を広げ、 調べ上げた内容を発表していく。
ユミ
場の空気が一瞬凍った。
ユミ
スバル
ユミ
彼女に何があったのか、 まずはそこだろうな。
スバル
思わずにやけてしまった。
カイ
スバル
カイ
スバル
アスカ
スバル
ユミ
それぞれが謎の解明へと動き出す。
さて、俺もやるとするか。
三年前、ミイコという一人の生徒が亡くなった。
そして都市伝説はそこから始まる。
夜に起こる数々の不可解な現象、 その真偽はきっと重要になってくるはずだ。
彼女の死は自殺、 とは限らないだろうな。
『探して』の意味、 それは彼女自身のことではないのだろう。
死体は見つかっていて、 事件は表面上は解決している。
これがもし他殺だとしたら、 犯人? 証拠?
それともまた別の何かなのか。
スバル
ユミ
スバル
俺は喫茶店を後にした。
向かうところは原点だ。
???
スバル
女性は涙をうかべて、 優しく俺に微笑む。
ミイコの妹
俺は軽く会釈をして家に上がった。
翌日、話し合い二回目。
カイ
ほとんどが噓、ということは、 誰かが意図的に噓を混ぜた可能性が高い。
カイ
調べるべき場所が定まった。
ユミがホワイトボードにまとめていく。
アスカ
もしも自殺だとしたらそれはおかしい。
あの海に寄るのは観光客より地元民のほうが多いはずだ。
海に入るところを誰も見ていないとなると、 見ていない間に突然死体が現れたことになる。
スバル
カイには噂と事件について先生への聞き込み、 アスカには海につながっている川の撮影、 ユミと俺は情報の整理、 あとはもう一人協力してもらわないとな。
休日、昼の定食屋にて。
スバル
ミヤモト
この街の担当刑事、 ミヤモトさん。
日曜日の昼食はいつも、 この定食屋のとんかつを食べにくる。
スバル
ミヤモト
スバル
ミヤモトさんは少しむせて、 慌てて水を飲み干した。
ミヤモト
スバル
ミヤモト
当然の答えだ。
それならこっちにだって考えがある。
ただ確認したいことがあるだけなんだ。
スバル
ミヤモト
スバル
ミヤモトさんの目が泳ぐ。
スバル
ミヤモト
スバル
明らかに動揺しているミヤモトさんに、 俺は追い打ちをかける。
スバル
賑やかな定食屋で、 俺たちの間にだけ静寂が走る。
ミヤモト
スバル
それだけ言い残すと、 俺は定食屋を後にした。
店を出る前少しだけ振り返ると、 ミヤモトさんは完食した皿を見つめ、 考え込んでいた。
翌日、放課後の話し合い三回目。
アスカ
アスカから写真を受け取り、 ユミがホワイトボードに張り付けていく。
スバル
アスカ
アスカは満足した様子で、 オレンジジュースを飲み始めた。
カイ
カイの言葉に少し引っかかった。
スバル
カイ
スバル
カイ
ビンゴだ。 真実への道は開かれた。
スバル
カイとアスカはすごく驚いて、 開いた口が塞がらないみたいで、 ユミは顔色一つ変えない。
スバル
解散後、俺は窓から差し込む夕日に照らされながら、 一人でアイスコーヒーを嗜んでいた。
ミヤモト
待ち望んでいた人がやってきた。
スバル
ミヤモトさんは照れ隠しのように髪をいじる。
ミヤモト
スバル
ミヤモト
スバル
そう言うと、ミヤモトさんは目を真ん丸にして固まっていた。
翌日、放課後の理科室。
ここには俺ともう一人、 向かい合わせで立っていた。
スバル
キリシマ先生
スバル
先生は余裕の笑みで答える。
キリシマ先生
スバル
キリシマ先生
スバル
一瞬口をつぐむ先生。
反応はまずまずだ。
スバル
キリシマ先生
理科室の出入口に向かう先生に、 俺は躊躇なく話し始める。
スバル
キリシマ先生
スバル
先生の動きが止まる。
そして静かに振り向いた。
キリシマ先生
笑顔の裏に怒りが見える。
スバル
キリシマ先生
スバル
先生の拳が少しずつ握られていく。
スバル
もうそろそろ、潮時だろうか。
スバル
キリシマ先生
先生は大声で俺の推理を制止した。
スバル
キリシマ先生
ため息をついた先生は、 今度は俺の方へと近づいてくる。
キリシマ先生
先生は俺の肩に手を置いて、 それをゆっくりと俺の首にまわす。
キリシマ先生
そう来ると思ったよ、 俺だってバカじゃない。
スバル
俺の声と同時にドアが開く。
ミヤモトさんが先生を取り押さえ、 俺はその場に座り込んだ。
終わったんだ、 真実を見つける推理が。
その後、キリシマ先生は現行犯逮捕され、 俺が録音していた証拠が決定打となった。
俺はいつもの喫茶店で仲間たちと話していた。
カイ
スバル
カイ
スバル
三人が一斉に俺の方を向く。
スバル
三人は同じようにため息をついた。
また一人で喫茶店に残っていた俺のもとに、 聞き馴染みのある声が届く。
父
スバル
口はきいても、 お互い目は合わせない。
父
それだけ言って、 親父は行ってしまった。
探偵倶楽部はまだ終わらない。