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フランクリン
忌々しげに呟くフランクリン警部が闇に覆われたロスを窓越しに見詰めた。
すぐそばではトーマスがひたすら、携帯に耳に押し当てていた。
やがて、諦めたようにトーマスは溜め息を吐いて携帯をしまった。
トーマス
トーマス
トーマス
フランクリン
互いに頭を抱えながら、コーヒーを飲んでいたときだった。
自動車事故を告げる通報が届いた。
消息不明の部下のことで頭が一杯のフランクリン警部だったが、
通報を受け付けた刑事の言葉を聞いて思わずトーマスと顔を見合わせた。
慌ててパトカーで現場に急行すると、現場は騒然となっていた。
酒と物の燃える臭いが漂う一通りの少ないスラム通りでの事故のようだ。
フランクリン警部は真っ先に通報したという年配の浮浪者に会った。
浮浪者(自らをグレゴリーと呼ぶ)は冷静に経緯の説明を始めた。
グレゴリー
グレゴリー
グレゴリー
トーマス
グレゴリー
グレゴリー
トーマス
トーマスは少し怒気を含めた声で言った。
もしそうしていれば、通報も早く受けたかもしれなかったからだ。
グレゴリーは無精髭の生えた顔をニヤッとさせた。
グレゴリー
グレゴリー
グレゴリー
トーマス
フランクリン
フランクリン
フランクリン警部が相手から漂う異臭に顔をしかめながら尋ねた。
グレゴリー
グレゴリー
グレゴリー
グレゴリー
グレゴリー
トーマス
グレゴリー
グレゴリーのいう通り、大破した車の助手席から携帯が一つ発見された。
大型トラックが車のバンパーに乗り上げた状態だったため、
潰れた前部座席から携帯を取り出す作業には時間を要した。
発見された携帯を見たトーマスが「あっ」と叫んだ。
トーマス
フランクリン
フランクリン
トーマス
フランクリン警部は険しい眼差して、大破した車に再び視線を向けた。
携帯の発見場所からして、ヴィクターが車に乗っていた可能性は高い。
気になったのは運転していた人間は誰なのか?ということだった。
そのとき、フランクリン警部の前に1人の女性が現れた。
マックスは持っていた注射器を弄んでいた。
彼の目先が自分に向いていないと確認してから、
ヴィクターはナディアを一瞥した。
彼の手話を理解したナディアは、ヴィクターに向かって小さく頷いた。
俄然、ジーナがゆっくりと立ち上がった。
ジーナ
マックス
ジーナ
ジーナ
マックス
ジーナ
ジーナ
マックスは深く息を吸ったかと思うと、大袈裟に吐き出した。
ジーナの射抜くような眼差しがマックスの顔を捉えていた。
ジーナ
マックス
ジーナ
マックス
マックス
マックス
ジーナは困惑気味にヴィクターを見た。
ヴィクター
マックス
マックス
マックス
マックス
マックス
マックス
ヴィクターは無言のまま、じっとマックスを睨んだ。
マックス
マックス
ヴィクター
途端に、マックスは嘲笑を浮かべた。
マックス
マックス
マックス
マックス
マックス
ジーナ
マックス
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
マックス
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
マックス
マックス
マックス
ヴィクター
ヴィクター
マックス
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
マックスの表情は変わらなかったが、息づかいは荒かった。
ヴィクターはジーナたちに視線を向けた。
ジーナのそばにいたナディアはいつの間にかなにかを握っていた。
瓶に入った硫酸だった。
淡々と語るヴィクターにマックスの注意が向けられていた間に、
ナディアはスチールラックから硫酸入りの瓶を手に取ったのだ。
ヴィクター
突然、マックスがヴィクターに向かって迫った。
が、その足はすぐに止まった。
ジーナが震えながらマックスの行く手を塞いだのだ。
マックス
ジーナ
マックス
ジーナ
マックス
ジーナ
ジーナ
ジーナ
ジーナ
ジーナ
ジーナ
ジーナ
ジーナ
ジーナ
ジーナ
ジーナ
ジーナ
マックス
ジーナ
マックス
マックスがイライラした様子で怒声を上げた。
それを合図にしていたかのように、
ナディアが素早くヴィクターの背後に移動した。
マックスは目の前に立ちはだかるジーナ以外はなにも見えないらしく、
ナディアが動いたことに気付いていなかった。
ジーナ
マックス
ジーナ
ジーナ
ジーナ
ヴィクターは突然、手に猛烈な熱を感じた。
と、同時にジューッという音も耳に入った。
ナディアが瓶から流した硫酸が両手首に縛られたロープを焼いたのだ。
ヴィクターは歯を噛み締め、両手に感じる高熱に耐えた。
一方、マックスとジーナの睨み合いはエスカレートしていた。
マックス
マックス
ジーナ
ジーナ
ジーナ
ジーナ
ジーナが発した言葉とも、声とも思えない怒号が響いた。
マックスの中でなにかが切れた。
彼は持っていた注射器を放ると、
ジーナの髪を鷲掴みにし、激しい平手打ちを食らわせた。
ジーナが悲鳴を上げてスチールラックに激突した。
ナディアが声にならない悲鳴を上げて瓶を放り投げた。
硫酸入りの瓶が粉々に砕ける音が響いたのと、
ヴィクターの両手首を縛るロープが千切れたのはほぼ同時だった。
2020.05.31 作