夢
わたし 屋上で
靴を脱ぎかけた時に
三つ編みの子
三つ編みの先客に
声をかけてしまった
夢
口をつけて出ただけ
ホントはどうでも 良かった
先を越されるのが
何となく癪だった
三つ編みの子は、語る
どっかで聞いたようなこと
三つ編みの子
三つ編みの子
ふざけんな!
そんなことくらいで
私の先を越そうだなんて!
欲しいものが
手に入らないなんて
奪われたことすらないくせに!
三つ編みの子
って
三つ編みの子は
消えてった
さぁ、今日こそは と
靴を脱ぎかけたら
そこに
背の低い子
背の低い女の子
また声をかけてしまった
背の低い子は語る
クラスでの孤独を
背の低い子
背の低い子
背の低い子
って
ふざけんな!
そんなことくらいで
私の先を越そうだなんて!
それでも
うちでは愛されて
あたたかいごはんも
あるんでしょ?
背の低い子
と 泣いて
背の低い子は 消えてった
そうやって
何人かに声をかけて
追い返して
わたし自身の痛みは
誰にも言えないまま
初めて見つけたんだ
似たような悩みの子
何人目かに会ったんだ
黄色いガーディガンの子
黄色いガーディガンの子
黄色いガーディガンの子
黄色いガーディガンの子
黄色いガーディガンの子
黄色いガーディガンの子
と 言った
口をつけて言っただけ
ホントはどうでもよかった
思ってもいないこと
でも
声をかけてしまった
夢
ああ
どうしよう
この子は止められない
わたしには
止める資格がない
それでも
ここからは消えてよ
君を見ていると
苦しいんだ…
黄色いガーディガンの子
って
目を伏せたまま
消えてった
今日こそは誰もいない
わたしひとりだけ
誰にも邪魔されない
邪魔してはくれない
夢
カーディガンは脱いで
夢
三つ編みはほどいて
夢
背の低いわたしは
今から
飛びます
終わり
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