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白色の約束

第10話 - 第十話

2023年08月03日

#恋愛

#学校生活

#青春恋愛(多分)

#一次創作

望月風香

奏達

ただいま

奏達の妹

お兄ちゃんおかえり！

奏達の妹

ご飯できてるよ！

奏達

あぁ、ありがとう？

奏達

やけにテンション高いな

奏達の妹

だって最近お兄ちゃんが暗かったもん

奏達の妹

お母さん心配してるよ？

奏達の妹

2週間後には修学旅行なのにって

奏達

あぁ、そっか

奏達

なぁ、そのことなんだけど

奏達

俺、修学旅行行かない、かも

奏達の妹

え！？なんで？

奏達

いや、その

奏達の妹

歌織ちゃんと何かあったの？

奏達

……いや、別に何も

奏達の妹

お兄ちゃん

奏達の妹

話したくないなら話さなくて良いよ

奏達の妹

けどお兄ちゃんも歌織ちゃんも元気がないから私は心配だよ

奏達の妹

2人が元気ない時は決まって喧嘩してる時だから

奏達

もしかして今まで気づいていたのか？

奏達の妹

当たり前じゃん

奏達の妹

お兄ちゃんの妹だよ？

奏達の妹

気づくし、心配するし

奏達

最近、うまく行かないんだよ

奏達

いろいろ考えてるけど

奏達

歌織の気持ちがわからなくてさ

奏達

俺なりに考えるけど

奏達

結局は歌織を傷つけるし

奏達

どうすれば正解なんだろうな

奏達の妹

私は歌織ちゃんじゃないから分からないけど

奏達の妹

歌織ちゃんは嫌なんじゃない？

奏達

嫌？

奏達の妹

お兄ちゃんがそうやって自分のために悩んむところを見るのが嫌なんじゃない？

奏達

奏達の妹

昔2人が大喧嘩したの覚えてる？

奏達の妹

お母さんの物を割って怒られて

奏達の妹

仲直りにって家族同士で遊園地に出かけたの

奏達の妹

その時お兄ちゃんずっと険しい顔だった

奏達の妹

私がお兄ちゃんどうしたのって聞いたら

奏達の妹

お兄ちゃんは『俺が悪かったのに歌織まで怒られちゃった』って言ったんだよ

奏達

そんなこと言ったっけ

奏達の妹

言ったよ

奏達の妹

仲直りした後に歌織ちゃんに話したの

奏達の妹

私はその時限りの話題だったけど

奏達の妹

歌織ちゃんはずっと覚えてたよ

奏達

なんでそんなことわかるんだよ

奏達の妹

最近歌織ちゃんと話して聞いたの

奏達の妹

え！？

奏達の妹

歌織ちゃんまだ覚えてたの？

歌織

覚えてるよ〜

奏達の妹

なんで？

歌織

だって奏達にしては珍しいもん

奏達の妹

それは、そうだけど

歌織

大喧嘩する前の奏達ってさ

歌織

自由で主張強めだったよね

奏達の妹

まぁ、たしかに

奏達の妹

うんざりして歌織ちゃん家に逃げたし

歌織

でもさ、大喧嘩した後は

歌織

めっちゃ丸くなったの

奏達の妹

優しくなったよね

歌織

なんでだろうって考えてたの

奏達の妹

まさかその時に私が話して

歌織

うん

歌織

奏達が優しくなり始めた頃と

歌織

仲直りした日が近いから

歌織

もしかしたら私のせいなんじゃないかって

歌織

ネイルを割った原因は私にもあるのに

奏達の妹

歌織ちゃん……

歌織

その時にね、少し苦しくなったの

奏達の妹

苦しくなった？

歌織

私が性格を変えたんじゃないかなって

奏達の妹

いや、変わって良かったけど

歌織

でも1人で抱え込むようになったじゃん

奏達の妹

あー確かに

歌織

私のお願いも1人で背負うし

奏達の妹

私には話してくれなかった

歌織

奏達は私と違って

歌織

まだ80年も生きられる

歌織

そんなに期間があるなら

歌織

やりたいことをさせたいの

歌織

今まで我慢してたのは私のせいなんじゃないかなーって思ったから

奏達の妹

そんなことないよ

奏達の妹

歌織ちゃんといる時のお兄ちゃんは幸せそうだったよ

歌織

でもね、喧嘩した時、すぐ謝った

奏達の妹

それは……

歌織

友達にイジワルされてたことも隠した

歌織

幼い頃の奏達からは考えつかない

歌織

1人で抱え込むようになった

歌織

もしその原因が私にあるなら

歌織

近くにいる限り変わらないって

歌織

気づいた

歌織

100歳まで生きられたとして、

歌織

私たちは今は17歳

歌織

まだ80年以上もあるけど

歌織

高校2年生はもうあと半年以下

歌織

楽しく過ごせる期間なのに

歌織

私のことでいっぱいになるのは嫌だなって思ったの

歌織

縛りつけてるみたいで……

歌織

だから10個だけお願い事して

歌織

早く叶えて

歌織

あとは私だけで楽しもうって

歌織

でもなかなか予定が合わず、

歌織

夏が過ぎて……

奏達の妹

歌織ちゃん

歌織

ごめん！

歌織

何言ってるか分からないよね！

歌織

私も何言ってるか分からない！

歌織

まぁ、とにかく

歌織

私のせいで奏達の楽しみを奪いたくないの

歌織

それが言いたかったの！

歌織

あはは、気にしないで！

歌織

あ、ジュース入れてくるね

奏達の妹

あ、うん

奏達の妹

って、そう言ってたよ

奏達の妹

お互いがお互いのことを大事にしてる証拠だね

奏達の妹

大事じゃないなら相手のことで深く悩まないもん

奏達

歌織も、そんなこと思ってたんだな

奏達の妹

お兄ちゃん、愛されてるね〜ふふ

奏達

なんだそのニヤけ顔は

奏達の妹

いやなんでもないよ？

奏達

そうか

奏達

でもおかげで決心がついた

奏達

ありがとな、さくら

奏達の妹

どういたしまして、お兄ちゃん

修学旅行当日

歌織

ごほっごほっ

歌織

あ〜あ

歌織

今頃みんなは旅行か

歌織

楽しいだろうなぁ

歌織

……奏達も行ったのかな

歌織

少し、寂しいなぁ

歌織

自分で旅行に行けって言ったのに

歌織

この気持ちはダメか

歌織

それにしても、

歌織

最近息が苦しいな

歌織

病気のせいかな

歌織

先生、驚いてたもんな

歌織

元気なのはすごいって

歌織の母

歌織？大丈夫？

歌織

あ、お母さん

歌織の母

熱は、下がったみたいね

歌織の母

まだ安静にしてなさいよ

歌織

うん

歌織の母

まったく……

歌織の母

奏達君と喧嘩しただけで体調崩すなんて

歌織の母

どんだけ好きなのよ

歌織

喧嘩のせいじゃないもん

歌織の母

喧嘩した日に大泣きした人は誰よ

歌織

う……

歌織の母

しかも修学旅行の日まで引きずるって

歌織の母

今回はどんな喧嘩をしたんだか

歌織

それは……

歌織の母

あなたたちはいつもくだらない事で喧嘩してたものね

歌織

くだらなくないもん

歌織の母

くだらないじゃない

歌織の母

なんでクッキー1個食べられただけで言い合いになるのよ？

歌織

それは最後の1個だったからだもん

歌織の母

まだ在庫あったんだから譲ればよかっただけでしょ？

歌織

だって……

歌織

（だって、クッキー食べようとしたら奏達が悲しい顔したんだもん）

歌織

私の分だったのに

歌織の母

分けてなかったじゃない

歌織の母

とにかく変な意地とか張ってないで素直になりなさいな

歌織

……私は素直だもん

歌織の母

素直じゃない

歌織の母

きっと奏達君も気づいてるわよ

歌織

ピンポーン

歌織の母

あら誰かしら？

歌織の母

少し待っててね

ガチャ　バタン

歌織

私は、素直だもん

歌織

ずっと昔から

歌織

（でも、なんでかな）

歌織

（いま、すごく奏達に会いたいよ）

歌織

寂しいよ……

奏達

歌織！

歌織

！

歌織

この声、奏達？

奏達

そうだよ。入ってもいい？

歌織

……うん。いいけど

奏達

……お邪魔します

歌織

何しにきたの？

歌織

修学旅行は？

奏達

俺はやっぱり行かない

歌織

なんで？

奏達

歌織が心配だから

歌織

私の言った事覚えてる？

歌織

そうされるのが私は嫌なの！

奏達

しっかり覚えてるよ

奏達

歌織が言ったことも

奏達

なんでそんなこと思ったのかも

歌織

じゃあなんで来たの！

歌織

覚えてるなら来ないでよ！

奏達

言わないとわからない

歌織

え……？

奏達

なんで口では拒絶してるのに

奏達

涙が出てるんだ？

奏達

なんで寂しそうな顔をしてるんだ？

歌織

あ

歌織

（私、泣いてる？）

歌織

（どうして……）

奏達

俺は、歌織といる時が1番楽しい

奏達

歌織がいないと寂しい

奏達

でも1年後には歌織はいない

奏達

そんなの耐えられない

奏達

だから、せめて残りは一緒にいたい

奏達

歌織は？

奏達

歌織の気持ちを聞かせて

奏達

歌織の本当の気持ちを

歌織

（私の、本当の気持ち）

歌織

……寂しい

歌織

この2週間ずっと寂しかった

歌織

喧嘩しても

歌織

気にしないようにしたら

歌織

寂しさが募るばかり

歌織

このままだったらどうしようって思った

歌織

1人でいくのは嫌だなって

歌織

その時は奏達と一緒にいたいって

歌織

そう思った

歌織

今も、奏達に会いたいって思った

奏達

歌織……

歌織

……ごめんなさい

歌織

奏達を責めるようなこと言って

歌織

本当にごめんなさい……

歌織

迷惑かけて、ごめんなさい……っ

奏達

もういいよ、歌織

奏達

顔あげて

歌織

……わがままで、ごめんなさい

奏達

いいよ。

奏達

歌織の本当の気持ちが聞けてよかった

奏達

それに歌織は笑顔が1番似合ってる

奏達

だから笑って？な？

歌織

そうた……

歌織

うぅ　そうたぁ〜〜

奏達

歌織がわがままで寂しがり屋なことくらい知ってるから

歌織

うわぁあああん

奏達

まったく、世話の焼けるやつだな

奏達の妹

よかった〜仲直りできて

歌織の母

そうねぇ

歌織の母

2人とも世話の焼ける子供ね

歌織の母

高校生とはいえど、中身はまだ幼い子供ね

奏達の妹

そうですね

奏達の妹

お母さん、聞こえる？

奏達の妹

お兄ちゃんと歌織ちゃん

奏達の妹

仲直りできたよ

お母さん

『えぇ、聞こえたわ』

奏達の妹

もう安心だね

お母さん

『そうね』

お母さん

『そろそろ切るわね。また夜に』

奏達の妹

はーい。バイバーイ

歌織の母

さて、一階でお茶でも飲みましょう

奏達の妹

わーい！やったぁ

歌織の母

あれ？さくらちゃん学校は大丈夫なの？

奏達の妹

あ、大丈夫です

奏達の妹

休みをとってるので

歌織の母

ふふ、抜かりないわね

奏達の妹

新井家の娘ですから

白色の約束

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望月風香

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