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奏達

歌織、大丈夫か?

仲直りの後、奏達は私が少しでも楽しめるように、一緒にお泊まりすることになった

歌織

少し息苦しいかな

奏達

そっか

歌織

お願いごと、叶えて?

奏達

お願い?なんのお願いなんだ?

歌織

奏達とご飯を食べに行くこと

奏達

外に出ても大丈夫なのか?

歌織

ご飯くらいなら大丈夫だよ

歌織

風邪でも熱でもないから

歌織

お母さんには、もう言ってある

奏達

わかった

奏達

じゃあ今日の夜食べに行こう

歌織

やった!楽しみにしてるね

奏達

あぁ、任せとけ

お願いごと8個目 一緒にご飯を食べに行くこと

歌織

ここ、高級店じゃない?

奏達

歌織は気にしなくていいよ

歌織の思い出がいいものであるように 頑張った

歌織

でもメニューはどれも美味しそう

奏達

好きなの頼んでいいよ

歌織

言ったね?

歌織

好きなだけ頼むよ?

奏達

はは

奏達

いいよ。好きなだけ

歌織

やった〜何にしようかなぁ

歌織はメニューを頼むとワクワクしながら最近の嬉しいことを話し始めた

その姿は幼い頃の歌織と全く変わらなかった

しばらくしてメニューがきた。歌織は「美味しい」と言いながらたくさん食べていた

あっという間にデザートまで食べ終わって会計をした

奏達

うわ、ギリギリの金額だ

奏達

相変わらず容赦ねぇな

歌織

だって奏達が言ったんだもん

奏達

それもそうか

店を出て家まで帰る途中、

歌織

もう少し夜風にあたりたい

と言ったので遠回りして帰宅することにした

歌織

ここに寄っていこうよ

奏達

いいよ

歌織

公園なんてひさしぶだな〜

歌織

最後に行ったのっていつだっけ?

奏達

覚えてないなぁ

奏達

だいぶ昔な気がする

歌織

だよねぇ

他愛ない会話をして時間が流れていく

歌織

ねぇ

奏達

なぁ、

奏達

あ、ごめん。先に言って

歌織

……もし旅行に行くならどこに行く?

奏達

旅行?

奏達

そうだなぁ

奏達

行きたい場所はたくさんあるけど

奏達

歌織とならどこでもいい

歌織

え、私?

奏達

うん

歌織

なんで?

奏達

一緒にいて一番気が楽だから

奏達

それに、一緒にいたいし……

歌織

奏達……

歌織

ふふ

歌織

私も奏達とならどこでもいいよ

奏達

そっか

歌織

で、奏達の話したいことって?

奏達

いや、歌織と同じ

歌織

そうなんだ

歌織

似てるね

奏達

そうだな

歌織は旅行に行きたかったのか、とそう思った夜だった

奏達

おはよう、昨日は眠れたか?

歌織

眠れたよ

歌織

ねぇねぇ、今日の夜は花火したい

奏達

なんでこんな時期に?

歌織

私のお願い事だから

奏達

わかった

奏達

準備しとく

歌織

ありがとう!

歌織

また公園に来るなんてね

奏達

そうだな

奏達の妹

本当に私もいいの?

奏達

歌織がそうしたいって言うから

歌織

人数多いほうが楽しいでしょ?

奏達の妹

たしかに

歌織のお願い事9個目 花火をすること

歌織

さ、何からやる?

奏達の妹

じゃあ私はこれ

歌織

ん〜私はこれかなぁ

奏達

……これ

歌織

うそ!?

奏達の妹

え、それからやる?

奏達

何か悪いのか?

歌織と奏達妹

線香花火は最後でしょ!

奏達

あはは、息ぴったりだな

奏達

そういうもんなのか?

奏達

じゃあ俺はこれにするわ

奏達の妹

それならまぁいいけど

歌織

私も

奏達

そうか

三人で顔を見合わせて笑った

歌織

今日から学校か〜

あっという間に修学旅行は終わった

帰ってきたその日の夜に歌織の友達がお土産を持ってきていた

奏達

お土産おいしかったか?

歌織

うん。美味しかったよ

奏達

そっか

12月半ば。冬休みまであともう少し

奏達

それで、どうだった?

奏達

定期検査は

歌織は病気が発覚してから月に一度、検査をしている

今の所見る限りは元気そうだが、実際のところはわからない

歌織

ん〜病気は進行しているって

奏達

そうか

歌織

でも元気はあるから大丈夫

奏達

そっか

歌織は病人とは思えないほど活動している

毎日学校に通い、放課後は友達と遊びに行く

病気が進行していないのではと思うほどだ

奏達

(いっそのことそうだったらいいのに)

そんなことを願ったところで変えられない

今日も最高の思い出になるように、頑張ろうと思った

昼休み

いつものように歌織と屋上に向かっていた最中だった

奏達

ーーだと思うんだよな

歌織

奏達

歌織?

歌織

え、あ、何?

奏達

大丈夫か?

歌織

大丈夫、大丈夫!

ぼーっとしていた歌織の顔色が悪く見えた

奏達

体調悪いのか?

歌織

ううん

歌織

なんでもなーー

奏達

奏達

かおり!!

言いかけたところで歌織は体勢を崩し、後ろに倒れていった

生徒

きゃー!

生徒

うわっ!大丈夫か!?

歌織の手を掴むとつられて倒れた

歌織の下に入り、階段を滑り降りた

ドン、と衝撃が背中から伝わった

奏達

っいって……

奏達

(歌織は?)

奏達

歌織、大丈夫か?

歌織

奏達

歌織?

歌織からの返事はなかった

奏達

歌織、おい、返事しろって

奏達

歌織、歌織!

歌織はただ苦しそうな顔をしていた

歌織

ここ、どこ?

歌織

(私、何してたっけ)

歌織

そうだ

歌織

奏達とお昼食べるために階段を上っていたんだ

歌織

それで、急に頭痛がして

歌織

目の前が真っ暗になって

歌織

気がついたら、ここにいた

私はその時ここは夢の中なのだと悟った

歌織

この森、なんなの?

歌織

なんで夢の中で森にいるの?

歌織

…寒いなぁ

歌織

……少し、怖い

ガサッ

歌織

歌織

なに、誰?

何かがこちらに近づいてきた

私は怖くなってただただ前に走り続けた

歌織

(怖い、怖いよ)

なんでかわからないけど、追いつかれたら終わると肌で感じた

歌織

はぁ、はぁ、はぁ

歌織

(助けて……奏達!)

歌織

歌織

……あれ

歌織

(ここは)

奏達

歌織!

横に奏達がいた

歌織

(保健室だ)

歌織

……っ

現実とわかると一気に怖い感情がなくなって、安心して、奏達に抱きついた

奏達

歌織? どうした?

奏達

どこか痛い?

奏達は戸惑っていたが、優しく背中をさすってくれた

その手が温かくて優しくて余計に涙が溢れて離れたくなくなった

数分後

奏達

水飲む?

歌織

ううん

歌織

大丈夫

私は泣き終わると奏達に夢のことを話した

奏達

その夢、怖いな

歌織

だよね

奏達は何も言わなかった

だけど心配されすぎるよりこっちの方が安心する

歌織

私、何時間くらい寝てた?

奏達

4時間くらい

歌織

そっか

歌織

……帰ろう

奏達

もう大丈夫なの?

歌織

大丈夫だよ

そう言って起き上がった

歌織

ただいま〜

家に帰るとお母さんがいた

お母さんに今日会ったことを話すと明日にでも病院に行こうと言われた

歌織

(病院か)

歌織

(私はあと何日生きられるかな)

別れへのカウントダウンはすでに始まっている

あとどれくらいだろうか

そう考えると闇の中に入りそうで強制的に考えを変えた

歌織

(お願い事、叶えてもらわなきゃ)

最後のお願い事

それはーー

歌織の母

ご飯よ

歌織

はーい

歌織

(明日話してみようかな)

歌織の願い事 残り1個

別れまで 残り約4ヶ月

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