少年刑務所、という名の牢にぶち込まれて
どれ程の月日が経っただろうか。
いるま
……ぁ…う、あぁぁ…ッッ!!
我に返って浮かぶのは、忘れもしないあいつの顔。
遅れてやってきた、頬を伝う何かを拭う。
けれども、止まることはなかった。
拭っても拭っても溢れ出る。
前が霞んで見えない。あぁ、痛い。
泣いて、泣いて。
泣き疲れて。
そして、時は止まることなく過ぎていって
やがて、外。
家に着いた時、俺は無意識にらんの家の方に行っていた。
いるま
……らん
ポツリ、とその名を呼ぶ。
いるま
………なぁ、らん…ッッ
いるま
……どこ、……行ったん、だよ…ッッ
夏の空を仰いで
いるま
なぁッッ……
俺のその掠れた声は、セミの鳴き声に掻き消されて
ポタポタと……目尻から大きな雫を零しながら
いるま
あ、あぁッッ
嗚咽混じりの、声で
いるま
……らんッッ…どこ、だよ…ッッ
いるま
俺を、置いて…
いるま
どこに行ったんだよ…ッッ
心のどこかでは分かっている筈なのに。
俺は、お前が居ないという現実を受け止めようとしなかった。