少年刑務所、という名の牢にぶち込まれて
どれ程の月日が経っただろうか。
いるま
我に返って浮かぶのは、忘れもしないあいつの顔。
遅れてやってきた、頬を伝う何かを拭う。
けれども、止まることはなかった。
拭っても拭っても溢れ出る。
前が霞んで見えない。あぁ、痛い。
泣いて、泣いて。
泣き疲れて。
そして、時は止まることなく過ぎていって
やがて、外。
家に着いた時、俺は無意識にらんの家の方に行っていた。
いるま
ポツリ、とその名を呼ぶ。
いるま
いるま
夏の空を仰いで
いるま
俺のその掠れた声は、セミの鳴き声に掻き消されて
ポタポタと……目尻から大きな雫を零しながら
いるま
嗚咽混じりの、声で
いるま
いるま
いるま
心のどこかでは分かっている筈なのに。
俺は、お前が居ないという現実を受け止めようとしなかった。
コメント
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切な……( '-' )スゥーッ↑(あれれ?感動してんのに涙が出ない)