文ストBL短編集！

※BL ※太中 ※付き合ってます ※時間軸22歳

コツ…コツ…と響く足音。

廃病院の一角。中原中也は森鴎外からの指令で、此処の視察に来たのだ。

云い乍ら中也は書類庫の扉を開けた。

目に入った光景は、中也にとって信じたく無い物で在った。

元相棒、現敵手、現恋人。

武装探偵社員、太宰治である。

彼の様子を詳細に云うとすると＿＿＿

散らばった書類の真ん中に置かれたドラム缶の中に嵌って居る、というのが正しいだろう。

笑顔で云う太宰に、中也はげんなりとする。

呆れながらも、太宰をドラム缶から出してやる。

中也が喧嘩腰に云った其の時、 二人とは別の声が響いた。

姿は見えない、人間の気配すら無い。

幼女の声。

何処かで聞いた様な、高い声。

太宰が口角を上げる。

ふるふると軽く震え乍ら、中也が此方を向く。

心無しか、声がはっきり聞こえてくる気がする。

愉し気に揶揄う太宰。

怖くない、と云うと置いて行かれそうで、本音を云う中也。

目を片手で押さえて悶える太宰。

太宰が指差したのは大きめのチェスト。

人二人、ぎりぎり入れる程度だろうか。

座った太宰の上に馬乗りの状態になって居る中也。 謎の気恥ずかしさが込み上げてくる。

そんなの、心臓が保つ訳が無い＿＿＿とは云えずに、外方を向く。

反論しようと涙目で太宰の方を向く、と途端

中也の口が塞がれた。

太宰の接吻に依って。

太宰が悪戯気に笑む。

チェストの蓋が開き、中が光で満たされる。

視界に入ってきたのは、金髪の可愛らしい幼女。

森鴎外の異能、ヰタ・セクスアリスに依って生み出される異能生命体＿＿＿エリス。

彼女は先刻とは打って変わってツンとした態度で云う。

其れは、中也が探していたK25薬品の書類。

彼女は長い髪を揺らして去って行く。

頬を染め、潤んだ目で捲し立てる中也。

其の姿を見て、太宰が中也を姫抱きにする。

中也は抵抗しようとしたが、思ったよりも顔の距離が近く、何も出来なくなって仕舞う。

明日、予定が入って居ない事に不安混じりの安心を感じた。

…終わり方むずい

終