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廃刀令にて 多くが刃を捨てた明治の今… 人知れず繰り広げられた夜更けの合戦… 勝利を手にしたのは柳生の子孫と 付き従う妖三人 そして、数奇な戦に巻き込まれた街娘
直枝
ただいま、敷き藁の上にて横になる雅道が先程受けた負傷… それを直枝が見事なまでに手当して見せた。
猫又「銀少将」
柳生十兵衛雅道
脇腹と下腕をさすり 直枝に対して深々と頭を下げる雅道
柳生十兵衛雅道
直枝
柳生十兵衛雅道
柳生十兵衛雅道
直枝
猫又「銀少将」
「ポンっ!」 音を立てると同時に小さく煙が立ちこめ 黒猫姿となった銀少将もご主人に習って 深深と頭を下げる。
ぎんしょーしょー🐱
その姿… 令和の者達で言うところの
「ごめん寝🐾」
である
直枝
そんなやり取りのさなか 周囲の偵察を終えて戻ってきた助六と帰蝶が不思議そうな目でみる
ろくろ首「助六」
のっぺらぼう「帰蝶」
ろくろ首「助六」
直枝
一人と一匹が頭を上げてくれないので話を強引にそらすべく 直枝が慌てて聞きに行った
ろくろ首「助六」
のっぺらぼう「帰蝶」
2人の報告を聞いて雅道が頭を上げた。
柳生十兵衛雅道
そうして、ひとまずの危機は去った為直枝が当たりを見回した
直枝
死屍累々が積み上がり… 地面には朽ち果てた武具や甲冑の破片が散乱… どこからどうみても凄まじい戦の痕跡と読み取れる有様である…
直枝
ぎんしょーしょー🐱
直枝
柳生十兵衛雅道
直枝
ここで、直枝が一つの疑問を思い浮かべる
直枝
ぎんしょーしょー🐱
直枝
柳生十兵衛雅道
直枝
ろくろ首「助六」
のっぺらぼう「帰蝶」
直枝
ぎんしょーしょー🐱
「ポン!」 再び銀少将の体を煙が包み 人の姿に戻る
猫又「銀少将」
直枝
柳生十兵衛雅道
直枝
柳生十兵衛雅道
直枝
柳生十兵衛雅道
直枝
柳生十兵衛雅道
直枝
「それは少し寂しいモノがある…」 そう感じるものの… 1歩間違えれば今頃死んでいたかもしれない… その恐怖にまた耐えられるかは分からなかった… ほんのり、寂しさを表情に残し、微笑みを向けて直枝が一同を見た
直枝
「ハァ…ハァ…」
柳生十兵衛雅道
猫又「銀少将」
柳生十兵衛雅道
のっぺらぼう「帰蝶」
ろくろ首「助六」
直枝を中心に、一同が守りの姿勢を取る
直枝
柳生十兵衛雅道
緊張の面持ちで周囲を警戒していると…
直枝
直枝が真っ先に気がつく…
直枝
柳生十兵衛雅道
直枝が指さした方を見ると…
亀梨
息の正体は、全身が細切れになりながら虫の息にて地面に転がる 亀梨のものだった
直枝
両腕が切り落とされ 残るは胸から上のみとなる凄惨な姿… 唯一、その姿は人間であることだけ
直枝
不意に、直枝が地面に転がる元知人の元へ駆けつけた
猫又「銀少将」
銀少将のそんな声も聞こえず 直枝は地面に転がる亀梨を抱き抱えた
直枝
亀梨
直枝
ろくろ首「助六」
指の鉄線を1本伸ばして攻撃体勢に入った助六を、帰蝶の手が静止した
のっぺらぼう「帰蝶」
ろくろ首「助六」
鉄線を元に戻し 直枝のやり取りを見守る
その次に、雅道が直枝のそばに来てしゃがみ込む
亀梨
亀梨のその顔は、雅道に対してなんの感情も抱いていない様子で見つめていた
亀梨
柳生十兵衛雅道
亀梨の言葉に反し、雅道の顔は 拒絶するでも許容するでもなく ただただ見守るのみだった
柳生十兵衛雅道
亀梨
目を泳がせて、亀梨が何かを思い返そうとしていた…
亀梨
柳生十兵衛雅道
亀梨
その問いに、雅道は冷徹に話す
柳生十兵衛雅道
亀梨
柳生十兵衛雅道
直枝
柳生十兵衛雅道
亀梨
雅道を見る亀梨の目に憎悪が宿った
亀梨
空を見上げ…うわ言のように口を開く
亀梨
再び邪悪な目で雅道を見つめる
亀梨
それは… 亀梨の脳裏によぎる記憶…
1868年… 会津若松のとある峠の獣道…
ブンッ!!!
ザァッシュ!!!!
新政府兵
唐突に変貌した… 後方という戦場…
シュファァァン!!!
ズバァァ!!!
新政府兵
突然に訪れた… 現れるはずのない強敵の奇襲…
亀梨
地面にヘタリ込み… 震える手で握る歩兵銃… その銃口を強襲者に向け 引き金を引く…
ーーーーっ!!!
当たらない… 標的となった男が 撃たれる直前に 得物にて銃そのものを弾き飛ばしてしまったのだ…
亀梨
襲撃をしかけてきた敵が 握る得物を亀梨に向ける。 切っ先を向けるは 黒い戦装束を身に纏い その背に「誠」の一文字を背負う 京の都の死神「新撰組」剣豪が一人 斎藤一だ…
亀梨
斎藤一
鋭い眼光を宿した眼にて 斎藤一が真っ直ぐに見下ろす
斎藤一
亀梨
斎藤一
ブンッ!!!
ザァァッッシュ!!!!
亀梨
斎藤一
亀梨
心臓を一突き… 飛び散る鮮血を一瞥し 刃に着いた亀梨の血を振るって 背を向ける…
若武者
若武者
亀梨が崩れ落ちるさなか、2人の若武者が斎藤一のほうへ駆けつける
斎藤一
若武者
斎藤一
若武者
斎藤一
若武者
若武者
斎藤一
三人がその場から姿を消した
亀梨
しかし亀梨のその声に答えるものは無く… 周囲のもの達は斎藤一の凄まじい斬撃によって死に絶えていた…
亀梨
直後からだから力が抜ける… 死が差し迫っていた…
亀梨
新政府兵
亀梨
虫の息ながら這いつくばる味方が目に飛び込んだ…
新政府兵
徐々に… 視界が暗くなる そんな中聞こえた
「アイツを食えば助かるぞ…」
亀梨
もはや正気でいられる 心持ちではなかった… 襲いかかる激痛と死への恐怖… 亀梨が這いずりながらその味方の元へ迫る…
新政府兵
亀梨
新政府兵
亀梨
気がついたときには既に… あたりの惨状はより一層凄惨なものと化していた…
亀梨
事切れた同胞の亡骸 至る箇所に歯型が尽き… その表情はより恐ろしい化け物に 襲われたと言うことを如実に語るものだった
口元に血をつけたまま… 亀梨が亡骸にたいし、土下座と祈りを混ぜたような姿で贖罪する
亀梨
「おぉい!」
亀梨
「誰かいないかぁ!! 幕軍の城が落ちた! 俺達がかったぞぉ!! 誰かいないかぁ!!!」
それは、新政府軍側の味方の勝鬨とも取れる声… 口元の血を脱ぐって慌てて声のする方へ向かう 既に身体の痛みはなく… 刺された心臓の傷もふさがっていた
亀梨
転がっている戦友の遺体もそのままに… 亀梨は無我夢中で味方の声の方へと走り出したのだった。
かつての自分を思い浮かべ… 苦しみを伴う呼吸のまま亀梨が口を開く…
亀梨
直枝
柳生十兵衛雅道
亀梨
口から鮮血が流れた… もはや命の灯火が途絶えるのも時間の問題だ…
亀梨
柳生十兵衛雅道
雅道が懐から一振の短刀を引き抜く
直枝
柳生十兵衛雅道
直枝
柳生十兵衛雅道
直枝
柳生十兵衛雅道
亀梨
直枝
柳生十兵衛雅道
直枝の説得を受け、呆れた表情のまま短刀を収めた
柳生十兵衛雅道
そうして懐から、先程自分の奏でた横笛を取り出して口元に当てた
直枝
柳生十兵衛雅道
直枝
柳生十兵衛雅道
♪〜
亀梨
その場に響き渡る美しい旋律… それは聴くものの心を癒すに足る どこか悲しみを宿したものだった…
直枝
やがて亀梨の顔に安らぎが訪れ… 切られた体がゆっくりと蒸発し始めた…
亀梨
やがて、亀梨の頬にいくつもの涙がこぼれ落ちた…
亀梨
そう言い残し… 髑髏と化したその男は 身体ごと夜の闇に消え去った…
騒動が決着し… 自宅のある通りから少し離れた位置で 雅道を始めとした妖怪達を見送る
猫又「銀少将」
直枝
ろくろ首「助六」
のっぺらぼう「帰蝶」
直枝
柳生十兵衛雅道
直枝
柳生十兵衛雅道
雅道の言葉にみな首を縦に降って 歩き出していった
その背を見つめる直枝… 表情に憂いを残して 両手を握る
直枝
柳生十兵衛雅道
背中越しに足を止める雅道
直枝
柳生十兵衛雅道
翌日、昼時 牛めし問屋 中では沢山の客にお給仕や板前が忙しなく 仕事に勤しんでいた
直枝
「すみませ〜ん注文いいか〜い」
直枝
牛めし問屋 店主
直枝
慌てて、注文を摂るべく呼びかけられたお客の方へ駆け出した
牛めし問屋 店主
直枝
一礼した後、厨房の方へ進む直枝
牛めし問屋 店主
直枝
牛めし問屋 店主
直枝
牛めし問屋 店主
直枝
牛めし問屋 店主
直枝
厨房の中で注文を伝えた後、食事の終わったテーブルの後始末をする。
直枝
すると、4人の新しい客が店の暖簾をくぐって直枝のいるテーブルに進んだ
猫又「銀少将」
直枝
猫又「銀少将」
直枝
猫又「銀少将」
ろくろ首「助六」
のっぺらぼう「帰蝶」
直枝
そうして… もう1人、和装のよく似合う色男が直枝の肩に触れた
柳生十兵衛雅道
直枝
柳生十兵衛雅道
直枝
慌てて口元を抑えられ、直枝の声がくぐもった…
柳生十兵衛雅道
直枝
雅道がウィンクしながら笑みを向けると 直枝の顔もそれにつられて笑みを浮かべた
直枝
真宵歌ー維新剣録妖滅伝ー いかがだったでしょうか? 最初短編もので3話で仕上げる予定が 文章が想像以上に多くなり 4話構成上という形で収まりました。 拙い文章ながら 多くの方に拝読頂けたの 光栄の至りでございます! また別の作品にて… お会いできれば! 拝読、心よりの感謝を申し上げます 城二城一