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はー、好き

マドル兄弟とは別の意味で複雑な兄弟だなと思いました。続き楽しみにしてます!
通知こなかったんだが??は??んでもって最高好き
兄さんの優しさが痛かった
それを"優しさ"と呼べなくなったのは、いつからだろう。
季節は冬の終わり
僕らの家の窓からはまだ雪がちらちらと降っていた
暖炉の前で兄さんが父から魔導書を受け取っている
両親
両親
母は笑っていた。
両親
その言葉に、僕は笑えなかった
僕は同じ部屋の隅で、ノートを握りしめていた
上手く書けない僕の魔法陣はいつも歪む
上手く書けない僕の魔法陣はいつも歪む。何度書いても光らない。
父が一瞬、僕に目を向けて言った
両親
母がため息をついて言う
両親
まただ、また僕だけ見えない
そんな時、兄が僕の方に駆け寄ってきた
ユリウス(幼少期)
ユリウス(幼少期)
その言葉に両親は微笑んだ。
だが、その笑みは"同情"だった
両親
胸の奥がキリキリと痛む
兄の優しさが "俺の方が上だ" そう突きつけてくるように感じた
リセル(幼少期)
どうして兄さんの声だけが痛いんだろう
外では雪が積もっていた。
僕はひとりで庭に出て、氷の上に魔法陣を描いた
何度も、何度も
指が凍えても描き続けた
リセル(幼少期)
でも、何も起きなかった
涙が頬を伝う
雪の冷たさと一緒に、悔しさが溶けていく
そこに兄さんがやってきた
マントを羽織って僕に手を伸ばす
ユリウス(幼少期)
僕はその手を振り払った
リセル(幼少期)
ユリウス(幼少期)
リセル(幼少期)
兄は一瞬驚いた顔をしていた
それでも優しく微笑んで僕の頭を撫でた
ユリウス(幼少期)
ユリウス(幼少期)
その瞬間、心のどこかで"何か"が切れた
リセル(幼少期)
時は流れて─
僕と兄は同じイーストンに入った
校門の前、ユリウスは微笑んでいた
ユリウス
けれど、僕はもう
"兄さん"とは呼ばなかった
リセル
その呼び方に兄の笑顔が揺らいだ
リセル
リセル
魔法適性検査
ユリウスの杖が輝く
二本線が絡み合い、光が会場を満たした
そして、僕の番。
杖を握りしめ、深呼吸をする
─でも、魔力は反応しない
空気が。冷たく固まった
リセル
試験官のため息が聞こえた
周囲の視線が刺さる
後ろの方でユリウスの声がした
ユリウス
優しい声
でももう僕には違う響きに聞こえる
可哀想な弟を慰める兄の声
それが何よりも、惨めだった
僕は答えた
リセル
心の中で毒を吐いた
リセル
あの時、僕の中で生まれた影は、
もう誰にも止められなかったんだ