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……あの時、ドアを開けなければ良かった。そうしたら、傘はいらなかったのに。
雨佳
空
朝起きたら、
歯を磨いて、制服を着て、
雨佳
そんな私は
███の事を
知ろうともしなかったんだ。
雨佳
ゆっくり、ゆっくりドアを開ける。
まるでそのドアに
鍵でも掛かっているように。
雨佳
そう、呟いた
雨佳
数分歩いただけなのに、
妙な疲れが体を襲う。
雨佳
体から力が抜けて
立てなくなって
目の前を見れなくなった。
……何か音がした。
それだけだった。
雨佳
ただの、ひとりごと。
雨佳
だれにも、聞こえない。
私しか、知らない
聞こえていたとしたら、、。
それはきっと███だ。
グチャッ
雨佳
もう体はいたくない。
一瞬だけ、痛みが襲ったけど。
一瞬 だったから。
雨佳
最期、私が言ったのは
「ばか」なんて
子供っぽい言葉。
その後、叫び声や騒音がして。
きっと私は、車に轢かれて死んだ。
「ばか」
「知りたかった」
「いつもこれだね」
「……███」
雨佳
なんで私は生きているんだろう。
……いや、生きてない。
雨佳
どうやら私は
幽霊にでもなったらしい。
だから何?
雨佳
ポツリと呟いた。
そこには、彼が
空が、いて____
雨佳
空
聞いても答えない。
そりゃそうか。
だって幽霊なんだもん。
ばかみたい。
そう呟きながら、空について行く。
雨佳
空
空
気がついては、くれなかった。
空
空
雨佳
空
分かってる
雨佳
晴れていた空が曇っていく
太陽を雲が覆い隠す
空
雨佳
雨佳
なぜか幽霊になった時から持っていた傘を
空に渡す
空
このまま晴れれば、
このままいなくなれば、
雨佳
その言葉は、雨に飲み込まれて消えていった。
きっとこれは、ただの独り言。
雨佳
ついさっきまで雨が降っていた空が一瞬で晴れる。
そして、《わたし》が消えていく。
雨佳