簡単な注意書き
家族や親戚を捏造しています
他CPの匂いがします
このシリーズ内では 瑞希は男という設定です
左右はどっちでも大丈夫です
以上が大丈夫な方は本編へどうぞ
青柳冬弥
彰人、聞いてほしいことがあるんだ
青柳冬弥
実は……
冬弥の真剣な眼差しから 目が離せなくて
指一本すら動かせず ただ耳だけに神経を集中させる
青柳冬弥
豆屋さんとは
青柳冬弥
偽装婚約をしようと思っている
青柳冬弥
彼女もそれでいいと言ってくれた
東雲彰人
……偽装婚約?
意味が一瞬解らなくて 思わず聞き返す
青柳冬弥
あぁ、お互いの家族に嘘をつく
青柳冬弥
この縁談は平穏に進んでいると
青柳冬弥
そして結婚間際になったら
青柳冬弥
彰人は俺と一緒に逃げて欲しい
東雲彰人
ちょっと待て
今なんて言った? 一緒に逃げるって言ったか?
あまりに非現実的な発想に つい冬弥の話を止めてしまう
青柳冬弥
どうした?
東雲彰人
あのな、そもそも俺達
東雲彰人
まだ付き合ってないだろ
東雲彰人
告白より先に駆け落ちの話をするな
青柳冬弥
……あぁ、そうだったな
青柳冬弥
彰人と両想いだと思い込んで
青柳冬弥
つい、未来でも彰人と一緒に居ると
青柳冬弥
勝手に想像していた
青柳冬弥
すまない、今のは忘れてくれ
東雲彰人
……はぁ、だから
東雲彰人
まだって言っただろうが
触れられていた手を握り返し そっと手の甲にキスをする
そして握っているのとは反対の手で 意味ありげに冬弥の薬指を触り
ポケットから出したケースを 冬弥に見えるように開く
青柳冬弥
それは……
東雲彰人
ちゃんとしたヤツじゃないし
東雲彰人
効力もそんなに無いかもしれない
東雲彰人
でも、これが俺の覚悟だ
東雲彰人
青柳冬弥さん
東雲彰人
俺と付き合ってください
青柳冬弥
……っ、はい
微かに潤んだ目に 喜びの色が足されて
とうとう涙が零れ落ち 冬弥の頬を伝う
青柳冬弥
コレ、付けてみてもいいか
東雲彰人
あぁ、冬弥のモノだからな
冬弥の薬指で 銀色の指輪が鈍く光ると
俺の胸の痛みが消え 代わりになにかが満たされる
きっとこれを愛と呼ぶのだろう
青柳冬弥
彰人
東雲彰人
なんだよ、って……
俺の唇と柔らかいなにかが 優しく重ねられて時が止まる
冬弥の顔がさっきよりも近くて 頭が追いつかない
冬弥の顔が離れたと共に 唇の感触は消えて
冬弥の声が遠く聞こえる
青柳冬弥
指輪を貰ったなら
青柳冬弥
誓いのキスも必要だろう?
俺は冬弥を少し 舐めていたのかもしれない
だってこんなにも口から コーヒーみたいな苦い味がする
ただ自分が愛するだけの恋なら もっと甘いはずなのに