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まとめ【短編集】

13 - 召喚してみたら、ぜんぜん死神らしくなかった件

♥

240

2020年08月16日

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すべて準備が整った────

床には魔法陣が描かれている

ミノル

(……あいつらがいる限り、おれに希望なんてない)

いじめっ子たちのストレスのはけ口にされるのは、我慢の限界だった

ミノル

(もうたくさんだ!)

手には祖父の蔵で見つけた魔導書(グリモワール)がある

ミノル

(なんで、じいちゃん家(ち)の蔵にあったのかは)

ミノル

(わからないけど──)

ミノルは呼吸をととのえ、呪文を唱えた

そのとたん、魔法陣から蒼白いいなずまが発生し、閃光が走った

ミノル

……!

そして、現れたのは──

大鎌を持ち、目を隠すほどの前髪、手首に傷痕がある黒装束に身をまとった男だった

──ここは?

男が首を傾げていると、ミノルと目が合った

ミノル

ミノル

“冥界の最高位“、《ロード》か……?

《ロード》? ──ああ、“あいつ“のことか

わたしはラ──いや、《ロード》ではないよ

人懐っこい笑みを浮かべた

ミノル

《ロード》、じゃない……?

ミノル

ミノル

そんな……

ミノル

魔導書(グリモワール)の通りに

ミノル

やったはずなのに……!

魔導書(グリモワール)?

──すまないが、それを貸してもらえるかな?

ミノルは魔導書(グリモワール)を手渡した

ふむ

確かに“冥界の最高位“の召喚について、日本語で書かれてるね

魔導書(グリモワール)と魔法陣を交互に見比べる

ん? ──これは

本来なら三重の円を描くところを

二重しか描いてないね

あとは…………

この文字と記号、──図形も違う

ミノル

…………

合計、13個の間違いが見つかった……

ミノル

(……ちくしょう)

ミノル

(……おれはなんで、いつもこうなんだ…………)

ミノル

(《ロード》を召喚するつもりが…………)

ミノル

ミノル

一応、訊くけど──

ミノル

死神……なのか?

いかにも死神だよ

にこ

あ、申し遅れたね

わたしはジェラト・I・モール

ジェラト

みんなからは『ジェラト』と呼ばれているよ

ミノル

(……やっぱり、死神には見えない)

ジェラト

きみは?

ミノル

……ミノル

〜〜♪ 〜〜♪

そのとき、スマホの着信音が鳴った

ジェラト

失礼

懐からスマホを取り出し、画面をタップした

ジェラト

わたしだよ

ミノル

スマホ使うのかよ!?

思わずツッコんでしまった

ジェラト

ん? ちょっとね

ジェラト

──うん、大丈夫だから

ジェラト

──万が一、“あいつ“を発見してもわたしが駆けつけるまで

ジェラト

あまり近づかないようにね

通話を切るとスマホを懐へ入れた

ミノル

……死神がスマホを使うなんて、思ってもみなかった

ジェラト

わたし以外にも、スマホを使っているものはいるよ

ミノル

マジか

ジェラト

便利だからね

ミノル

…………

ミノル

(この際、仕方ないか……)

ミノル

ジェラト

そろそろ、おいとま…………

ミノル

待ってくれ……!

ジェラト

ん?

ミノル

あいつらに──

ミノル

おれをいじめたあいつらに、仕返しがしたいんだ!

ジェラト

……

ミノル

あいつらの魂を──狩ってくれ!!

ジェラト

──それは、できかねないね

苦笑いをする

ミノル

なんで?!

ジェラト

呪詛だからさ

ミノル

……呪詛?

ジェラト

他者の死を望んだ時点で

ジェラト

立派な呪詛だよ

ジェラト

ジェラト

わたしは

ジェラト

きみの呪詛に加担するつもりは、ない──

ミノル

……!

笑ってはいるが、前髪の隙間から覗く目は笑ってはいなかった…………

背すじが凍る

ジェラト

──失礼

ジェラト

少し驚かせたかな

ジェラト

とにかく、呪詛は受けつけないからね

ミノル

…………

ジェラト

きみがなぜ──

ジェラト

“冥界の最高位“を喚ぼうとしたのかはわかった

ミノル

……

ジェラト

《ロード》は危険だよ

ジェラト

──人間を見下しているから

ジェラト

(ただ、ひとりを除いて)

ミノル

もし、おれが召喚を成功させてたら…………

ミノル

どうなってたんだ?

ジェラト

ジェラト

召喚者はもちろん……

ジェラト

半径1㎞圏内の人間の命を、奪う

ミノル

……!

ジェラト

“あいつ“は人に召喚されることを非常に嫌う──

ジェラト

八つ当たりみたいなものだよ

ジェラト

さて、もう行かないと

ジェラト

──その前に

ジェラト

これ、もらい受けてもいいかな?

魔導書(グリモワール)を指さす

ミノル

……ああ

ミノル

それ、どうするんだ?

ジェラト

しかるべき処置をするさ

ジェラト

うつし世には不必要だからね

後日

いじめっ子たちは廃墟の不法侵入で警察に補導されたと、耳に入った

誰もいないはずの廃墟に、目元を前髪で隠した人影が現れたかと思うと、ふっと消えた

いじめっ子

まさか、幽霊?!

パニックに陥った彼らは悲鳴を上げ、そのまま外へ逃げ出した

ちょうど、そこへパトロールしていた駐在に見つかったという…………

ミノル

ミノル

──まさかな

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コメント

7

ユーザー

めっちゃ間違えてて笑っちゃいました笑 あと、間違いを全部数えてくれるの、ちょっとかわいいです😆 すごく面白かったです!!

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