がみへら短編集

その悲劇は、いきなりだった

何時もの様にロビーで寛いで

何時もの様に大型が来て、対応して

何時もの様にまたロビーで色々話したり…

だけど、そんな何時もが壊れた

何時もの様に、ダウン者が出て、ザキさんが向かってくれた

運び込まれたのは、…意識を失っているヘラシギさんだった

やばい、何も考えられない………

ザキさんの声かけでやっと我に返った。

ふと、見てみれば俺は、目の前でベットに横になって、痛々しい程色んな管や、酸素マスクを付けてるヘラシギさんの手を握っていた

担当の、ヤマモトさんも来てくれた、 さっき声をかけられた時に存在を確認した。

はやく…はやく、帰ってきて。 ねぇ、ウサギってさ、構ってもらわなきゃ寂しくて死んじゃうんだよ？

仮面を、付けていて良かった、 こんな今の俺の顔、見られたくないもん

そう言って、弱々しく俺の手を振り払う……

………………

あれから、俺を連れ出したザキさん。 ほんとに、世界が一気に止まった気がした

今俺は、ロビーの奥の方の、テレビがある所に連れてこられて座ってる

……グダグダしてたって、無意味だもんね、

……懐かしいな、ヘラシギさんが遊園地によく連れてきてくれてたっけ

……ちゃんと、できてるよね。

……次は、どこに行けば良いのかな、？

気が付いたら、知らない病室に居て、知らない兎仮面の奴が僕の手を握ってた

反射的に振りほどいたが…彼奴驚く程力が無かった。 しかもその部屋には警察も居った

兎仮面の奴がもう1人の医者らしき奴に連れて行かれる時、凄く喪失感の目をしていた

警察からの事情聴取を受けたが…僕はなんも答えることは無かった。 なんも無いと言い続けたら開放された

が、代わりに何故かさっきの兎仮面の奴と色んな所に行く羽目になった。 クソ、……なんでだよ

最初はめんどくさいと思ったが…

……何故か、此奴と居ると何故か落ち着くような…懐かしい様な

僕が行ったこと無かったボウリングと言うのにも、教えてくれた

だけど、

顔は仮面が邪魔で見えないが、声色から此奴、全然元気が無い。 ずーっと悲しそうで、悲痛の声色だ

………違う

こんな、悲しそうな声色じゃなくて、寂しそうな、悲痛な雰囲気にさせたいんじゃなくて……

連れてこられた時にはすっかり日が暮れていた。 その場所は街を一望できる所だ。

さっきからズキズキと頭が痛い……なんだよこれ…

顔は見えないが、明らかに寂しそうで、悲しそうな悲痛なな声色をしている

その後ろ姿が、なんだか消えてしまいそうで、弱々しくて、触れば壊れてしまいそうで……

違う、違う、 こんな姿をさせたいんじゃ…ｯ！

………気が付いたら、…いや、自分の意思で、僕はがみともの白衣を掴んだ

何か、引っ張られる感覚があって、振り返ってみたら、ヘラシギさんが俺の白衣を掴んでた

近付いてきたと思えば仮面を取られた、あーあ、辞めてよ、それ取られちゃったら

泣いてるの、バレちゃうじゃん。

上手く、笑えてるかな？

良かった良かった…2人が出かけて何時間も経った後戻ってきて何時もの調子に戻ってた

ヘラシギの方は……

自分の膝にヘラシギを乗せて、お腹に腕を回しバックハグしてるがみともとそれに強く辞めろとは言えず照れ笑いかつ困ってるヘラシギの謎の図が完成している

何時もの調子に戻ってよかった。 正直、記憶が無くなったヘラシギを連れて行くがみともの声色と、後ろ姿が余りにも悲痛で消え入りそうだったから……

この調子なら大丈夫かな？