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テラーノベル(Teller Novel)

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どうして、恋は始まってしまうんだろう。

朝の昇降口は、けっこう混み合う。 少し茶色がかった髪をかき上げて、右耳のピアスを見せながら

モブ

果歩ちゃん、オハヨー

と言ってくるのは、この前、亜矢にフラれてた、隣のクラスの…

果歩

あ、サコタくん。おはよう

モブ

あの、果歩ちゃん、
今日帰りにさ…

果歩

ん?

……! 果歩の背後に大きな影。

モブ

か、帰りも、は、晴れてるといーねー!
はは、はははっ!

果歩

?サコタくん?

……

慎吾

おはよう。サカタくん!

モブ

お、おはよう、慎吾くん。あ、あと、サコタです。僕

慎吾

あー悪りぃ!覚え悪くて。
……で、まだナニか?

モブ

い、いやー、じゃっ!
僕は先に教室へ…

瑞樹

慎吾、威圧すんなよ

慎吾

立ってただけだぜ?

瑞樹

それでかよ 笑

慎吾

瑞樹、
お前の視線も刺さってたぜ、サカタ君にな 笑

果歩

…サコタ君、
どうしたんだろう?

慎吾

変なヤツだな、サカタ 笑

瑞樹

…どうしたんだろーな。笑…さ、行こうぜ

上履きに履き替えて、階段を上る。

果歩

じゃね、瑞樹

瑞樹

おう。
しっかり勉学に励めよ
2人とも

慎吾

励まないよーん

瑞樹はB組の教室に入って行った。 私と慎吾は、C組のドアを開けた。

亜矢

おっはよー!果歩

果歩

亜矢!おはよ

今日も平和な スクールライフの始まりです。

…昼休み

果歩

迷うーっ!

亜矢

いっつも同じので迷うよね、果歩は。
たかが学食のアイスでさ

果歩

うーん。
どっちも好きだからー

亜矢

チョコミントとストロベリーじゃ、全く違うんだから、気分で決まらないの?

果歩

んー

亜矢

…なんかさ、
瑞樹と慎吾で迷ってるみたいだよね

果歩

なーーにそれっ‼︎ なにそれナニソレっっ‼︎

亜矢

クールでスイートなツンデレ王子か、
天真爛漫フレッシュスイーツ君か

果歩

はあ?…味ってよりカップか棒か、みたいなとこよ?

亜矢

包容力と行動力ってとこ?

果歩

ますますワカンナイわ…
あ、ソーダにしよう。
ガリガリっと噛み砕きたいわ。
うん、たまにはっ…さ…

と、ソーダアイスを手にしようとした時、 背後から突然

これ、オススメ!

果歩

えっ??

決められないなら、コレ、どう?

すんなり伸びた腕の先に 端正な顔がこちらを見ていた。 襟章は2年生。

キレーな顔…女…の子?

ラムレーズン、
僕、好きなんだ。

果歩

…はい

モブ

圭ーっ!行くぞーっ!

はーい!

圭と呼ばれた2年生はニコッと笑うと、 呼ばれた方へ駆けていってしまった。

そのままボーッと ラムレーズンのカップを持って 亜矢につつかれて、 代金をオバちゃんに渡した。

亜矢

果歩、さっきの人、知り合い?

果歩

いや、全然知らない

亜矢

あれ、確か最近編入してきた…2年の山田 圭?

果歩

そういえば圭って呼ばれてたね。
亜矢、何で知ってるのー?

亜矢

文化祭実行委員がウワサしてた。
文化祭の前に編入してきてたら、ミスコンも大荒れだったかもって

果歩

あー、確かに。
キレーな顔してたね

我がN高校 文化祭の最大イベントは、 ミス&ミスターコンテストだ。 なんと今回、亜矢は2位に選ばれている。

果歩

ラムレーズンって初めて食べるなー。
…あ、おいしーい!なんかオトナってカンジ?

亜矢

単純ね…風味付けのラム酒入ってるだけで…
瑞樹と慎吾以外のオトコも、案外いいかもー?ってカンジ?

果歩

もうっ!何よそれっ!さっきから!

亜矢

…アンタけっこう女子から恨まれてるのよ、
気付いて無いみたいだけど

果歩

えっ?どういう事?

亜矢

イケメン2人といっつも一緒

果歩

瑞樹と慎吾?
だってしょうがないじゃん。幼なじみだもん、家も近いし。
イケメン、は疑問だけど

亜矢

またそんなこと言って。
2人とも、ミスターN高の上位独占でしょ!

そうだった。 今年のコンテストは上級生を差し置いて、 1年生の幼なじみコンビが1位と2位を獲得してしまったのだ。

果歩

瑞樹の1位はともかく、
2位の慎吾は何かの間違いだよー

亜矢

瑞樹のイケメンは認めるんだね 笑

果歩

そりゃ、あの王子様フェイスは幼少からの。
性格は、黒王子だけどねー。
小さい頃は、カワイかったのに

亜矢

アハハ。性格はミスコンに関係ないからねー。写真判定、見た目重視。

慎吾だってあの身長にベビーフェイスのギャップでファンが激増中だよ

果歩

頭の中と顔はガキのまんまよ。
身長は…あんなに伸びるとはね。瑞樹も大っきいしなー

亜矢

長身もイケメンのプラス要素だよね

果歩

あーあ。
てことは、私の周りはみーんな美形⁈引き立てちゃってるなー、私! 笑

亜矢

果歩は手入れしないから悪いのよ。素材はいいのよ?肌なんかキレーだし。

亜矢

…その重たいロングをもう少し軽くして、マユ毛ちょっと整えたら…来年はノミネートされるよ⁈

果歩

ありがとー。
ま、自分も周りも、私には興味ないから、笑

亜矢

そんな事言わないで、今度メイクしたげるよ。盛ってみよう!

果歩

えー、やだよハズカシイしー

亜矢

やりたい!やろーっと!

果歩

人の顔で遊ぶつもりね

亜矢

うん。面白いから 笑

昼休み終了のチャイムが鳴った。

9月の終わり 夏の終わり。 でも、 何かが始まる予感。

5限目の英語は自習だった。

果歩

食後の自習は助かるー

亜矢

果歩はプリント終わってるの?

後ろの亜矢は、とっくに終わって、前髪をくるくる指に巻きつけては戻してる。

果歩

んー、もうちょっと

亜矢

頑張れー、帰国子女

果歩

あーそれ、地雷!

亜矢

うふふっ

果歩

誤解を招くからっ!だいたい、幼稚園のとき3ヶ月行ってただけだし

亜矢

3ヶ月でよかったよね、英語苦手だし 笑

果歩

亜矢は最近、慎吾たちから、変なネタ仕入れ過ぎ!

幼なじみって、なんでも知ってて厄介。

昼休みの後なので、机に突っ伏して寝ている生徒も多い。

あ、慎吾も寝てる。

果歩

はい、終了。ふーっ

亜矢

…果歩、知ってる?ミスコンのジンクスあったじゃん?

果歩

?当事者じゃないので、ちょっと…

亜矢

同じ順位同士で付き合うと、幸せになれるってゆー

果歩

そうなの?…えー?それってことは?!

亜矢

あー、果歩聞いてないのね? 瑞樹、1位のレミ先輩の申込み、断ったらしいよ

果歩

うわーっ!…でも、瑞樹はそうかも。
いつも断るし

亜矢

なんかさー、『俺、あなたに興味持てません』って言ったとか

果歩

うわうわうわ、言いそう!黒王子

亜矢

さすが幼なじみね、よくわかってる

果歩

…ん?てことは…あれ?
慎吾と亜矢は?

亜矢

…まあ、周りが騒ぐから、一応どうするっ?て聞いたんだけど…

果歩

聞いたの⁈うわ、知らなかったー!それでそれで?

亜矢

……『オレ、そーゆーのわかんないからパス』って、ソッコー言われた 笑

果歩

っ!えーっ!何それ慎吾ったらー!もったいない!亜矢なのにぃ!

亜矢

アハハ。それはどうも 笑
まあ、単なるジンクスだからね。今年はカップル不成立で、周りもガッカリしてたけど。

果歩

へー、そんなことあったんだー

…… 2人とも、何にも言わなかったなー

……何だろう。 胸の奥にちょっと冷たい風が吹いた。

放課後

あ、山田 圭

下駄箱の向こうに、キレーな顔発見。

一度見ちゃうと忘れられない美形だな

《バシッ!》

突然、頭に衝撃。

果歩

痛ーっっいっ!

慎吾

なーにイケメンに見とれてんだよっ!

この、ノー天気なハイトーンボイスはっ!

果歩

ちょっとぉ!いきなり頭ハタかないでよっ!
慎吾のバカっ!

慎吾

うっせー!誰がバカだって?このチビがっ!

チビなんて、チビなんて、 コイツにしか言われないから とっさに反撃のコトバが出てこない。

私の身長は163㎝だっ!

果歩

なっ!何ですってっっ!

山田 圭に見とれてたなんて! 163㎝をチビだなんて!

慎吾に突っかかられると、今でもムキになってしまう。

果歩

ゔー

とりあえずカラダ中の筋を伸ばして、 爪先立ちしてやる。

…ガキっぽいけど、相手はガキだからねっ

あっ、西陽眩しいっ…

ギュッと目を閉じた。

果歩

……⁈……

一瞬、何かが、頬に触れたような?? 手?

《ドスッ!》

慎吾

グホッ!…ってーな!
あ、瑞樹?

瑞樹

なにジャレあってんだ。
公共の場で

慎吾

あーっ!ひっでーな、
背中にー!

慎吾のブレザーの背中には、 クッキリと見事な27.5㎝の 瑞樹の上履きのあと。

《パンパンパンパンっ》

慎吾

あーもー、ヒデーな。落ちっかなー

慎吾はブレザーを脱いで、 白い上履きのあとをパンパンはたいてる。

瑞樹の視線が私に刺さる。

果歩

なーにーよー⁈

瑞樹

果歩…男の前で目を閉じて上向くのは…
キスしてくださいって言ってる?

何を言う?は?瑞樹?

果歩

えっ?ちがっ!あのっ! @#/&?!@?☆$%*→♪%

混乱してコトバにならない。

瑞樹

違うのか?

え? さっきの…手…って?

深呼吸して やっと…

果歩

瑞樹っ!これはね、
慎吾がチビって言うから背伸びをっ…

瑞樹

おいおい、3歳児かよ 笑

ぐっ!痛いところを!

果歩

だって、チビなんて言われないもの!……
私、163㎝なんだからねっ!

瑞樹

なんだ、違うのか。

……慎吾はするつもりだったみたいだけどな

果歩

‼︎‼︎…何言って!

瑞樹

じゃあ、俺とするか?また…

果歩

またって‼︎…誤解を招くこと言わないでーっっ‼︎

下駄箱からローファーを取り出し、 即座に引っ掛けると、 昇降口を飛び出してしまった。

2人とも変っ!絶対へんっっ!

続いて瑞樹も昇降口を出てくる。

2、3歩行ったところで、 ローファーのかかとを入れ直す。 結果、瑞樹と並んで歩き出すことに。

慎吾

あーちょっと!2人ともーっ!オレを置いて行くなよーっっ!

なんか、話題を変えよう…

果歩

…あのさ、瑞樹、今日は補講、なかったの?特進クラスの

瑞樹

ん、今日はナシ。毎日あるわけじゃねーからな、まだ1年だし

果歩

剣道部も?

瑞樹

ああ。人数集まらなくて個人練習だから

N高は一応、進学校なので、入試の点数でクラス分けされる。 A・B組が特進クラスで瑞樹はB組。 C組以降は普通クラスで、私と慎吾はC組。 亜矢とは一緒のクラスになって 仲良くなった。 部活も、勉強に支障がない程度にしか活動していないところが多い。

瑞樹

果歩も部活ないのか?
ケーキ部

果歩

ケーキ部なんて無いよ 笑。家庭部。こっちも人数集まらなくて、縫い物してたから、いいやって

《バタッ!バタバタバタッッ》

慎吾

置いてくなってばよー!

けたたましい足音で 慎吾が追いついてきた。

瑞樹

弱小サッカー部のエースがやっと追いついたな

慎吾

弱小言うなよー!
いちおーみんな頑張ってんだからさー

果歩

慎吾がエースじゃ、あんまり期待できないよねー

慎吾

果歩まで、なんだよー!
おまえらホントにひっでーなっ!

あれ⁈いつもの帰り道の会話。 2人ともいつもと同じ… だよね?

瑞樹と慎吾とは、いつも一緒だった。 たまたま私が女の子だけど、 関係なく同じ遊びをしてた。 小学校からは、 なんでも男女分けられるので、 私は仲間ハズレな感じで、 つまらないことも増えたけど。 中学生になると、 グングン背が伸びた2人は 女の子にモテはじめて、 さらにつまらなくなった。 でも、そんなのお構いなしで 私にまとわりついてくるから、 また楽しくなった。 そして、高校生になった。 ……このままでいられるよね? ずっと…

それが恋だとわかるまで

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