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慎吾

果歩ー。オレ今日、食堂

果歩

行ってらっしゃい。私、お弁当だし?

慎吾

サイフ忘れたから来て

果歩

なっ?

慎吾は、私の腕を掴んで廊下に出る。

果歩

亜矢ーっ!

亜矢

行ってらっしゃーい

私の手にランチバッグを握らせると、 亜矢は笑顔で手を振った。

果歩

ちょっと、慎吾、痛いからっ!

腕を離した、と思ったら …手をつなぐなーっ!そうじゃない!

あれ、ドキドキしてる?

果歩

違うよ、それも!

慎吾

急がないとN高スペシャル無くなる

1番人気の定食ですね、ハイハイ

あきらめて、引っ張られた。

あ、これだな、この視線

亜矢の言ってた『女子に恨まれてる』 のカンジが伝わってきた。

そして、私の心臓は、 ずっと ドキドキしてた。

慎吾に500円玉を渡して、空席を探して、お弁当の包みを開いて待つ。 …なんか彼女っぽい。

慎吾

間に合ったぜ!N高スペシャル!

慎吾が前にトレーを置いて座った。

果歩

あのさ、慎吾

慎吾

んー。唐揚げ大きめー

果歩

こーゆーの、やめないと

慎吾

ん?どーゆーの?

果歩

その、手をつな…引っ張ったりとか

慎吾

ああ、ゴメン、痛かったか?

果歩

じゃなくて。
つ、つなぐと、なんか彼女っぽい?

慎吾

なんだそれ?幼稚園のときは、つないで通ったろー

果歩

…今、高校生です

慎吾

…果歩がイヤならやんねーよ

果歩

イヤ…とかじゃないんだけど、その、

慎吾

イヤじゃないなら、いいじゃん

そうなんだけど…

慎吾は、ストレートに、いつも正しい。

果歩

…カン違いされるから、やめなきゃ

慎吾

…ふーん。わかった

果歩

あと、こうやって2人で食べたりとかも

慎吾

ダメなのか?瑞樹も呼ぶか?

それはもっとマズイ気がする

果歩

周り見て。そーゆーのは、付き合ってる同士だよ

慎吾

じゃ、付き合えばいーのか?

果歩

違ーう!

慎吾のストレートなもの言いは、 最近、私の心臓を直撃する。

慎吾

付き合ってるよーなもんじゃねーか。ガキの頃からこーなんだから

そうなのか?いや違う

慎吾

果歩、あと200円貸して

果歩

まだ食べるの?

慎吾

今日は焼きそばパンがスペシャルなんだよ。
タマゴが載ってんだぜ!

果歩

もう無いんじゃない?

慎吾

オバちゃんキープがあるから大丈夫!

仕方なく、サイフから200円渡した。

慎吾

焼きそばスペシャルゲットー!果歩にも買ったぜ、きなこパン。オレのおごり

果歩

オレのおごり?私の200円ですけど?

慎吾

明日返すよー。この分も。だからオゴリ

果歩

いいけど、こんなに食べれないよ

慎吾

そう思って、半分食ってやる

慎吾は、 きなこパンを半分に割りはじめた。

自分が食べたいんじゃん?… 相変わらずだなー…楽しい…

モブ

あの…

気付いたら、慎吾の後ろに女の子。

慎吾

はい?

モブ

昼休みに、待ってるって書いたんですけど

こ、これは、ヤバいやつ

慎吾

ああ、アンタなのか、あれ

モブ

ゴメンなさい、お食事中に

と、わたしを見る目は結構キツめだ。 私はそーっと弁当箱を片付けはじめた。

慎吾

悪りぃな、腹減ってたから、食ったら行こうと思って

モブ

いえ、いいんですけど …彼女なんですか?

ほーら、来た!

慎吾

あー、これ…

果歩

違いますっ!ただの幼なじみですからっ!

慌てて弁当箱を掴み、きなこパンをもったまま席を立つ。

果歩

じゃあ、明日、お金返して下さい。失礼します

と、不自然な他人行儀でその場を去った。

どーすんだろ、慎吾…

きなこパンを持ったまま食堂を出ると、 自販機で瑞樹がコーヒーを買っていた。

果歩

あ、私も欲しい。
カフェオレ

瑞樹は黙ってもう一度ボタンを押した。

瑞樹

果歩、両手に何を…
座らないと飲めないな

弁当箱ときなこパンで、 両手がふさがっている私。

自販機の前の花壇の縁に座る。 弁当箱を横に置いて、 瑞樹からカップを受け取った。

果歩

サンキュ。
わ、瑞樹はブラックなんだ

瑞樹

5限が日本史だからな。
眠気防止策

果歩

私は、きなこパン対策。
水分無いと、詰まっちゃう

瑞樹

なんでそんなもん持ってんだ?しかも食いかけ

果歩

実はさー…

今のことを話す。

瑞樹

それは大変だな。
巻き込まれる前に出てきて正解だ

果歩

そ。
でも、どーすんだろ、慎吾

瑞樹

今までも、そーゆーのは全部断ってたしな

果歩

全部って、そんなにあったの?

瑞樹

まあな。
数は俺の方が多いと思うけどな 笑

果歩

へーー。

少し離れた所から、視線を感じた。

果歩

あ、あの人

瑞樹もそっちを見て…軽く会釈した。

果歩

ミスコン1位の先輩だよね

瑞樹

そうだったかな

間が悪いなー。私

瑞樹

果歩、きなこ

と言って、瑞樹の指が 私の口角あたりを拭った。

果歩

あーいいっ!
自分でやるっ!

慌てて自分の手で口の周りをはたいた。

今まで、なんでもなかったのにな…こーゆーのも

誰かに見られてないかと、 ハラハラしたり。

さっきの女子が、食堂から出てきた。

瑞樹と並んで座っている私を、呆れたように睨むと、走って通り過ぎた。

…慎吾も、食堂から出てきた。

慎吾

お、食後のコーヒー!
オレも!果歩

瑞樹と2人で 同時にボディーブロー入れた。

慎吾

おうっ!なになに!なんかした?オレ?

果歩

アンタは、さっきの女子に何を言ったのよ!

慎吾

え?ああ、付き合ってくれって言うから、付き合わないって

瑞樹

また、ストレートに言ったな

慎吾

あ…あと、なんで果歩といっつも一緒にいるのかって言うから、生まれた時から一緒だって。

…間違いでもないが…

…誤解を招きそう。

慎吾

で、好きなのかって言うから、考えたこともねーよって。だってそーだろ?
瑞樹?

瑞樹

あ? ああ

慎吾

考えて下さいっていうから、アンタよりは
だいぶ好きだな、果歩の方がって。間違ってる?オレ

うわ、心臓!不謹慎だぞ。このドキドキは

慎吾は、 難しいコトをシンプルに答えるのが スゴイとこ。

瑞樹

でも、その言い方はマズイだろ

慎吾

じゃあ、何て言うんだよ!

瑞樹

…その言い方じゃ、果歩の立場がまずくなるだろ

慎吾

…だってよ、今日初めてしゃべったヤツと、いつも一緒の果歩と、どっちかって言われたらよー

瑞樹

その子だって、どっちか選べって言ったわけじゃないだろ?ちょっとは考えてモノを言えよ

慎吾

…瑞樹は、いつも、なんて答えてんだよ

瑞樹

果歩は引き合いに出さないことだ。あくまで、本人についてコメントするんだよ

果歩

あ、『あなたに興味持てません』とか?

瑞樹が冷た〜い目で私を睨む。

わ、余計なこと言っちゃった、コワ!

瑞樹

そうだよ。それが、その後の会話を阻止するからな

慎吾

瑞樹は言えるけど、オレはなー。黒い王子じゃねーからな!

《ダンッ!》

瑞樹が慎吾の足を踏む。

慎吾

イテーよ!

瑞樹

とにかく、果歩を巻き込むな

慎吾

わかったよ!で、オレのコーヒーは?

瑞樹と2人で、小さくタメイキをついて、慎吾に100円玉を渡した。

慎吾

サンキューです!

慎吾は自販機に向かった。

瑞樹

…だいぶ面倒になってきたな

瑞樹がつぶやく。

……

果歩

じゃあ。行くね…

空になったカフェオレのカップを手に取り ゴミ箱に落として1人で教室に戻った。

瑞樹

…慎吾、俺たち、もう今までみたいに、いられないのかもな

慎吾

なんでだよ。クッソ!めんどくせー!

瑞樹

仕方ないさ。
仲良しの幼なじみも、カウントダウンだな

慎吾

…瑞樹…お前、何考えてんだよ

瑞樹

…さあな。

果歩

…ということが、ありました

亜矢に聞いてもらう。

亜矢

…大変だね。イケメンと幼なじみってのも

果歩

私、
男の子に生まれたかった

亜矢

え?そこ? 笑

果歩

だって、一緒にいたいんだもん。2人と

亜矢

…果歩は、どっちかと付き合いたいとか思わないの?

果歩

…考えたこともないな

あ、でも、昼の食堂、楽しかった

慎吾と2人が楽しかった? 瑞樹と2人だったら?

ますます、混乱する。

亜矢

じゃあ、
2人が誰かと付き合ったら?

果歩

考えたこともない…けど…

亜矢

けど?

果歩

2人がいなくなるなんて、想像できない

そうだ、2人が私から離れることだって、 あるかもしれない。

初めてそんなこと考えて、 すごく怖くなった。

亜矢

あ、ゴメン、果歩。変なこと言っちゃったね。
でも、あの2人はモテるから…

亜矢

子供の頃みたいに、シンプルに付き合えればいいのにね

果歩

…やだなあ、
大人になるのって

亜矢

せっかく仲良しなのにね

果歩

もうやだな…3人で…いたい…

亜矢

よしよし

いつまで、幼なじみでいられるんだろ。

壊れちゃうのかな、もうすぐ。

考えれば考えるほど 苦しくて 悲しくなった。

中学生までは、みんな、 昔から私たちのコトを知ってるので、 告白騒ぎなんかも、当事者同士の問題だった。 そう、 誰も私を女子として、 カウントしないでいてくれた。 高校生になって、 昔からの知り合いはほとんどいなくなって… そして、周りから見れば私は、 イケメン2人を独り占めしてる、 冴えない女子だ。 その事を今日、思い知らされた。 幼なじみの距離を、微妙に計りながら でも、あまり変わることなく 毎日が過ぎている、と、思ってた。

あんなこと (慎吾の告白騒ぎに巻き込まれる) があっても、 何をどうしたらいいのかわからずに、 朝の登校も相変わらず一緒だった。

校門前あたりから、 それぞれの友達と混ざることが多い。

《ドンッ!》

いきなり、前の慎吾が立ち止まったので

果歩

あっっ!

と、私は後ろにヨロけた。

《ガシッ》

後ろから両肩を掴まれて、止まった。

振り向くと、キレイな男の子。

あ、また…山田 圭

果歩

す、すみませ…

慎吾

あー悪りぃ。大丈夫っす

振り向いた慎吾が、私の両腕を引っ張る。 強すぎて、慎吾の胸に飛び込む格好。

わっ!心臓がっ

軽く慎吾の胸を押して、 なんとか少し離れた。

果歩

ゴメンなさい

後ろに向かって言った。

僕は、大丈夫だよ。

君は、大丈夫?

何か、心を見透かされてるような、 言葉の響きだと思った。

慎吾

果歩、行くぞ

また、慎吾が左腕を引っ張った。

もうしないって言ったのに、 こんなに、みんなが見てるのに。

途中、また、手のひらにつなぎ直して、 ワザとみたいに私を引っ張って歩いた。

私の中で何かが溢れているように、 慎吾の中でも 何かが止まらなくなってるような… そんな気がした。

瑞樹

果歩、付き合えよ

昼休みに、不穏な呼び声が廊下から。

クラスの視線が集まる中、 シレッと瑞樹が言った。

瑞樹

図書室。
今日、当番っつったろ、
俺が

あ、図書委員の瑞樹のお手伝いが。 前に約束して(させられて)いたね。

果歩

あー、アイスおごりで引き受けた、書架の整理のお手伝い、ですね?

と、わざと大きめの声で答える。

瑞樹

?…そーだよ。早く来て。昼休み終わっちまうから

最近、普通のことなのに、 周りの視線が気になって疲れる。

もう、こーゆーのも、やめた方がいいのだろうか…

慎吾

あ、アイスつくなら、オレもー

と、慎吾が立ち上がる。

瑞樹

結構だ。お前が来ると、はかどらない

出た。黒い王子。

慎吾

なんだよ!案外オレも役に立つぜ?

そうだよ。多い方がいーじゃん

廊下に出ると、 『私たちも手伝います。瑞樹さま』 的な目をした女子が何人かいたけど、 瑞樹は全然、眼中にない様子。

マズイなー。慎吾来てよね?

振り返っても、慎吾は出てこない。 仕方なく瑞樹と図書室に向かう。

果歩

瑞樹さー?

瑞樹

なに

果歩

あの、手伝い、他の人でも…

瑞樹

…イヤなのか?

果歩

そうじゃないけど、瑞樹の手伝いなら、やりたい人、たくさんいるから

瑞樹

…そんなの、怖がられて終わりだ。面倒だから、果歩だけでいい

そーゆーことね

黒王子の自覚はあるらしい。

瑞樹

まず、この箱の中でラベルの順番に並べて

果歩

はーい

黙って作業する。

昼休みの図書室なんて、 食後の仮眠をとる生徒が少し居るくらいで、静かだ。

果歩

慎吾もいた方が、早かったんじゃない?

瑞樹

書架に戻す時は呼ぶよ。身長と力が必要だからな。今日は並べるのが主だから、あいつには向かねー

果歩

あ、そうだね。なるほど

瑞樹

…あいつは、果歩と俺が、2人でやるのが気になるんだな

果歩

え?なにそれ

瑞樹

あいつが、アイスなんかに釣られるかよ

果歩

あ、そっか、アイスとか、そんな好きじゃ…

瑞樹

…そろそろ

果歩

そろそろ?

瑞樹

…俺たちはカウントダウンに入ったが、果歩はまだみたいだな

果歩

何?カウントダウン?何か終わるの?

《ドン》

あれ? 壁ドン?まさか!

果歩

どうしたの?瑞樹?

目を見ないで、聞いた。

瑞樹

…朝、慎吾に手、引かれて、どうだった?

果歩

!あっ、アレはー、こっ転びそうになったから?

瑞樹

状況じゃねーよ。心境を聞いてんの

なんかコワイ…見てたんだ、瑞樹。

果歩

えっとー、あんまり覚えてないよね?その…慎吾はしょっちゅう、あーして…

瑞樹

最近、多くないか?あいつの暴走

果歩

暴走?ていうか、幼稚園のまんま?

瑞樹

…そうか。果歩はそう思うのか

果歩

だから、少しやめようって、そーゆーの。
この間、慎吾にも話したよ

瑞樹

…だから、暴走してんだな

だんだん、息苦しくなってきた。 瑞樹、近いしコワイ。

怒らせたの?なんで?

ちょっと泣きそうになる… 困ってきた。

《ドス》

瑞樹

なっ!あっ!お前!

瑞樹の背後に見えたのは、 見たことない、コワイ顔した慎吾だった。

慎吾

なーにやってるんスかー。王子様

スグにいつものフザけた顔に戻った。

瑞樹

…呼んでねーし

慎吾

そろそろ、高い場所にしまうかなーって。
本、重いし?

瑞樹は壁から離れると、 ブレザーを脱いだ。

あーあ、28.5㎝の慎吾の上履き跡が。

慎吾

こないだの、お返しのシルシ?

慎吾が勝ち誇ったようなドヤ顔で言う。

瑞樹

…結構、根に持つな、お前

瑞樹も、ナゼか不敵な微笑み。

仲間ハズレにされてるような、 でも、2人は楽しそう?な…

それから、3人で、 1区画の書架を片付け終わった。

帰りは、ナゼか瑞樹と慎吾で、 私にダブルアイスをおごってくれた。

中身は、言わなかったのに チョコミントとストロベリーだった。

それが恋だとわかるまで

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