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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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長い長い階段をやっとの思いで登りきり、一番近くのゲートをくぐれば、そこは上段と呼ばれるスタンド席だった。

颯斗

うわ、すげぇ

広い会場内を見渡せば、 所々でスタッフさんの声が聞こえて、 一生懸命動いてくれている。

永玖

颯斗ー

永玖

なにしてんの

一瞬気を取られていた俺に、 呼びかける声。

その声の方に目を向けると、 少し高い位置に永玖は居て 天井を眺めたり、 遠くにあるステージを見つめていたり、

見惚れてしまうくらい様になっていて 髪型も、ラフな服装も。 全てが俺の好み。

ライブが始まったら、 永玖はみんなの永玖。

……いつもいつも、常に、 俺だけの永玖、になってほしい。

颯斗

めっちゃ探した

永玖

よくわかったね

颯斗

スタッフさんが教えてくれた

声が届く距離まで近付き、 永玖の横に並ぶ。

颯斗

なんでここにいんの?

永玖

ここのお客さんが、
俺らのことどう見えてるのか気になって

颯斗

……遠いね

永玖

うん、

永玖

なんかそれでも、
会いに来てくれるんだよ

永玖

ありがたいよね

そう言って、 永玖は俺を見て優しく微笑んだ。

その永玖の笑顔が眩しくて、 その横顔からも目が離せなくて、

思わず、永玖が避ける隙も与えず、 頬にキスをする。

永玖

っ、お前

永玖

誰が見てるかわからないでしょ

颯斗

大丈夫だって、
絶対見えてないよこんな広かったら

颯斗

…でも今のは永玖ちゃんが悪いよ

永玖

なんでだよ笑

颯斗

なんかキュンってすんだもん、ほんと

永玖

なにそれ笑

またその顔で見てくる。

颯斗

だから、その顔!!!

永玖

いや、普通だろ!笑

永玖ファンは この顔にやられてんだろうな。

颯斗

…でも真面目に

颯斗

独り占めしたくなる。
永玖のこと、

声のトーンで本気さを現して。 今更永玖の顔は見れなくて。

でも永玖がこっちに視線を向けているのは視野に感じる。

颯斗

(なんか喋ってよ、、)

颯斗

好きすぎんの……

颯斗

永玖がいなかったら探すし、

颯斗

誰かといんのかなとか、
いらないこと考えちゃうし、

颯斗

だから今もこうやって探しに来た

永玖

……

颯斗

、、なんか言ってよ笑

続けて俺が言ったことも全部、 黙って聞いてるから、 急に恥ずかしくなってきて。

俺は永玖の背後に回り、 顔を見られないよう背中に抱き着いた。

すると、 永玖がそのまま静かに俺の右手を取り、自分の胸のところに持っていく。

そして俺の手の上に 自分の手のひらを重ねた。

颯斗

(心臓、鳴ってる……)

永玖

わかる?

永玖

……俺、颯斗の言動にいちいちドキドキしてるから

永玖

…颯斗が意識させんの

颯斗

…うん

永玖

今もこうやって颯斗が恥ずかしいこと言うし、くっついてくるから、こんなことなってんだけど

颯斗

……

どうしようもなく永玖が愛しくて 抱き締める腕をキツくする。

永玖

わかってくれたなら、
恥ずかしいから離れて笑

永玖

見られるってほんと笑

腕を剥がそうとしてくる永玖に、 今度は後ろから頬にキスをした。

颯斗

ねぇ永玖、あっち行こ

見られないところに行きたい。

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