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志賀先生
志賀先生
志賀先生
ぼそりと呟かれた担任の一言に、セイヤは妙な違和感を抱いた。
セイヤ
ハカセ
ハカセ
志賀先生
志賀先生
ふと、教壇のほうに視線を移す担任。つられて教壇のほうに視線をやったセイヤは、背筋が冷たくなるのを感じた。
志賀先生
志賀先生
志賀先生
教壇の上に残っていた1本の瓶。
これは由々しき事態だった。
すでに自分も解毒薬を飲んだが、忘れていたふりをして飲んでしまうか。
そうでなければ、全員が解毒薬を飲むというルールが守られないことになる。
セイヤ
そこでセイヤはある疑問を抱く。
それは小さく、しかしセイヤの胸の奥底に芽生えた疑念だった。
志賀先生
志賀先生
志賀先生
セイヤは大きく胸をなでおろす。
担任はというと、腕時計に視線を落とした。
志賀先生
志賀先生
志賀先生
志賀先生
志賀先生
志賀先生
志賀先生
担任の言葉を遮るようにして、誰かが咳き込んだ。
そちらのほうに視線をやると、口に手を当てたミナミの姿があった。
ミナミ
みんなの視線が集まるのを待っていたかように、口をおさえたミナミの指の隙間から、真っ赤な血が溢れ出た。
ミナミ
志賀先生
志賀先生
ミナミ
時間は少しばかりさかのぼる。
――昼食のパンとお茶が配られた時分。
パンの包装紙に包まるようにして、折り畳まれたメモをミナミは見つけた。
恐る恐るとメモを開くと、そこには信じられないような文言が書いてあったのだった。
これを読んだ者へ 次の課題では、人数分ある瓶の中に1本だけ毒薬が混じっていて、それを1人ずつ飲んでもらうことになる。 しかし、誰かが先陣をきって飲まなければ、状況が停滞してしまう恐れがある。 そこで、これを読んだ者にお願いだ。 きっかけとして、誰よりも先にそれを飲んで欲しい。 もちろん、無償でやってくれというわけじゃない。 代わりに毒が確実に入っていない瓶がどれなのかを教えよう。 瓶は2列に並べられるから、向かって左側、手前の瓶を飲んで欲しい。 それは毒の入っていない瓶だ。 協力するのか、しないのか。 その判断は君にゆだねよう。 では、よろしく頼む。 担任 志賀
ミナミは誰にも見られぬように、メモを制服のポケットへと忍ばせた。
ミナミ
うわごとのように繰り返すと、その場に崩れ落ち、もう一度耳障りの悪い咳をしたミナミ。
口から大量の血を吐き出すと、その場に倒れてしまった。
ツヨシ
ヨウタ
ツヨシとヨウタが駆け寄るが、しかしミナミは最後の悪あがきとばかりに激しく痙攣したのち、今度はぴくりとも動かなくなってしまった。
志賀先生
志賀先生
志賀先生
志賀先生
ツヨシ
ツヨシ
セイヤ
せっかくツヨシが庇ってくれたというのに、セイヤはそんなことをぽつりと漏らした。
セイヤ
ミナミの最後の言葉を聞く限りでは、ミナミが担任に騙されたような印象が強い。
志賀先生
セイヤ
ハカセ
ハカセがセイヤのことを諭そうとした時のこと。
廊下からいつくかの足音が聞こえてきた。
しばらくすると、教室の扉が開かれ、スーツ姿の男が顔を覗かせた。
スーツ姿の男は両手を挙げ、その後ろには猟銃をスーツの男に突きつけるフルフェイス達の姿が。
フルフェイスA
フルフェイスB
ハカセ
セイヤ
志賀先生
志賀先生
ハカセ
フルフェイス達に連行されて現れたスーツの男。
それは、ハカセの父親であった。