第1話「放課後の屋上で」
桜庭 澪
ねえ、遥くん。どうしてそんなに屋上が好きなの?
藤咲 遥
んー、なんか落ち着くんだよな。風が気持ちいいし。
桜庭 澪
でも、先生に見つかったら怒られるよ。
藤咲 遥
平気。桜庭が見張ってくれてるだろ?
桜庭 澪
え、私そんなつもりじゃ……!
藤咲 遥
(笑)冗談だよ。けど——ありがとうな。いつも付き合ってくれて。
桜庭 澪
……別に。私がここに来たいだけ。
藤咲 遥
ふーん。じゃあ、俺がいなくても来るの?
桜庭 澪
……たぶん、来ない。
藤咲 遥
そっか。……それ、ちょっと嬉しいかも。
(沈黙。風が吹く音だけが響く)
桜庭 澪
ねえ、遥くん。卒業しても、ここに来るの?
藤咲 遥
どうだろう。桜庭がいないなら、もう意味ないかもな。
桜庭 澪
……そんなこと言わないでよ。
藤咲 遥
ごめん。……でも、本当のこと。
(放課後の光が二人の間を染める)
どうしてこんなに胸が苦しいんだろう。 この時間が、永遠じゃないって、知ってるから——。






