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Buccaneer Hearts ⸺バッカニアハーツ⸺

第5話 - 抑止力の手掛かり

2025年12月17日

#海賊

#ファンタジー

#SF

#ドラマ

カーリーKK

アイビーとハジャー

アイビー

足場が悪いな‥
移動は慎重に。

ハジャー

あぁ、しかし‥‥雰囲気がさっきとかなり違うな。

キャッスル・サドラの広大な内部各場所によってその雰囲気が大幅に異なっている。アイビーとハジャーが探索している場所は足場がかなり悪く、移動が困難な場所のようだ。

アイビー

ハジャー、あまり顔色がよろしくないようだな‥‥
ろくに寝れていないのではないか？

ハジャー

‥‥キャプテンは見抜いていたのか。

アイビー

こんな状況だ、探索しながら聞かせて貰えないだろうか？

アイビーはハジャーがろくに睡眠を取れていないことを見抜いていたようだった。ハジャーは自身が毎日の如く見る悪夢の話をしだす。

ハジャー

まだ、俺の中では終わっていないのだろうな‥
アンタに力を授かって前より強くなっても、あの時の敗戦に内心は納得がいっていないのか、何も出来なかった自分に悔いているのか‥‥

アイビー

君は他の者と違って元々軍人という経歴持っている。
故に精神力は段違いに高いことは容易に想像がつく。

アイビー

私から力を授かっても言動や性格、態度に殆ど変化が見られない唯一の仲間が君というわけだ。

アイビー

その高い精神力やプライドは評価に値するものだが、それは時に君自身にイタズラしてしまうこともある。

ハジャー

‥‥

アイビー

君に必要なのはほんの少しの遊び心だろう。
君は力が強い、だが残念ながら私には勝つことは無理だろう。
ほんの少しの遊び心が君には見られないからな。

ハジャー

遊び心‥‥か。

アイビー

堅くなりすぎず、羽を伸ばすことも必要だ。
それが出来て漸く1人前となる。

アイビー

この探索の後、私が手伝おう。
君が安心出来るように。
そうすれば、もう悪夢を見ることもないだろう‥‥

ハジャー

‥‥そうか、俺は堅くなりすぎていたのか。
キャプテン、アンタのお言葉に甘えても‥‥いいのか？

アイビー

いつでも待っている。
私と君は仲間であり家族なのだから。

アイビーの言葉にハジャーは少しだけ穏やかになった印象を受ける。

ほんの少しの遊び心。元軍人であり、精神力とプライドが高いハジャーにはそのほんの少しの遊び心が必要だとアイビーは言う。ハジャーはその遊び心を持つことが出来るだろうか？

ハジャー

キャプテン、何か落ちてるぞ。

アイビー

ん？これは‥

赤いデジタルキーと思しき物を拾う。

アイビー

何かの鍵か？

ハジャー

PIN:SOL882‥‥何かのパスワードだろうか？

アイビー

何処で使用できるものかわからないが、取り敢えず回収しておこう。

デジタルキーには「プロジェクトSOL882」と書かれている他、SOL882というPINコードも小さく書かれている。

アイビー

これ以上は何も無さそうだ。
一旦離れるとしよう。

ハジャー

了解。

謎のデジタルキーを回収した二人はその場を後にした。

ユナとカオリ

ユナ

これで終わり‥‥かな？

カオリ

そうね、漸く打ち止めね。

襲い掛かってきたアンドロイド5体を撃破した模様。

ユナ

別に強くはないけど、あまり相手にしたくはないわね‥コイツら。

そのまま二人は探索を継続する。

カオリ

‥‥行き止まりみたいよ。

ユナ

こっちは特に収穫なしってとこね。
引き上げましょうか。

特に何か鍵となるものもなく、その場を後にした。

ジムとジェーン

ジェーン＝ドゥ

天井が低いわね。
頭、ぶつけないようにね。

ジム

もう既にぶつけちゃった。

ジェーン＝ドゥ

‥‥何やってるのよ‥‥
貴方の方が経験豊富なんだからしっかりしなさい。

ジムとジェーンの探索場所は天井が低いらしく、ジムは既に頭をぶつけて涙目になっていた。

ジェーン＝ドゥ

ねぇ‥

ジム

何？

ジェーン＝ドゥ

貴方には私が年上に見えてるのかしら？

ジム

どうして？

ジェーン＝ドゥ

だって、お姉ちゃんって急に呼び出したから。

ジム

ん〜‥‥
ボクはまだ19歳だけど、君はボクよりずっと大人びているように見えたから、
だから、お姉ちゃんって呼んでる。

ジムは19歳である一方でジェーンは過去の記憶も経歴も消されてしまっている為、自分の年齢がよくわかっていない。

ジェーン＝ドゥ

私、今何歳なのかよくわからないの。
いつ生まれたのかも何もかも過去の記憶はあのナイトメアによって抹消されたから‥‥
貴方は自分の年齢がわかっている。
もしかしたら、私の方が最悪年下の可能性だってある。
それでも、今のままお姉ちゃんなんて呼べるかしら？

ジム

うん、ボクはそれでも平気だよ。
お姉ちゃんはお姉ちゃんだから。

ジムの一言でジェーンは少し穏やかな笑みを浮かべた。

ジェーン＝ドゥ

ジム、貴方は器が大きくて優しいのね。
血の気の多い私にはそんなこと出来ないわ‥‥
寧ろ、私が貴方をお兄ちゃんと‥‥そう呼びたくなる程に。

ジム

えへへ。
ボクはそんなお姉ちゃんのことが大好きだよ。

ジェーン＝ドゥ

も、もう‥‥止めてよね。

二人の距離はかなり縮まった様子。すると、ジムが何か見つけ出した。

ジム

何だろ？コレ

ジェーン＝ドゥ

極秘って書いてあるわね。
かなり汚れてボロボロだけど。

謎の極秘資料を発見した。劣化が激しく、一部は読めない状態の様子。

ジェーン＝ドゥ

そもそもプロジェクトSOL882って何なのかしら？

ジム

待って、左上のこのマークって‥‥

ジムがボロボロの資料の左上に目を向ける

ジェーン＝ドゥ

これ、世界規律安定機構のマークよね‥‥

ジム

W.D.S.Cと何か関連があるみたいだね。

これ、念の為持ってお母さんに報告しよう。

ジェーン＝ドゥ

そうね、それにこの資料以外特に何も無さそうだし。
引き上げね。

謎の極秘資料を持って二人はこの場を立ち去った。

ジム

イタっ、また頭ぶつけた。

アイビー向けに通信が入る。

RB-001

キャプテン・アイビー、遠方より未確認の艦艇がこちらへ接近中だ。

アイビー

未確認艦艇の詳細を頼む。

RB-001にこちらへ接近中の未確認艦艇のスキャンを依頼する。

RB-001

未確認艦艇の正体がわかった。
世界規律安定機構の艦艇だ。

アイビー

何‥‥？
こちらに気付いたのか。
RB-001、大至急敵のレーダーに写らないようカモフラージュをかけろ。

RB-001

了解。

キャッスル・サドラの外

世界規律安定機構

こちらは世界規律安定機構。
規律を乱す海賊、最終通達を発出する。
抑止力の強奪及び計画を直ちに中止せよ。
もし我々の通達に従わず、世の規律の更なる悪化を促進させた場合、実力行使に出るものとする。

RB-001

キャプテン・アイビー、奴らはこちらには気付いていない模様。

アイビー

あぁ‥‥しかし。奴らも艦艇を率いて警告しに来るとは‥‥

ハジャー

何をしようと言うんだ。
W.D.S.C‥‥

世界規律安定機構の巨大な艦艇はキャッスル・サドラをゆっくり通過し、そのまま反対方向へと進んでいく。どこへ向かっているのかはわからかった。

ユナ

必死よね。あんな実力行使に出ようとするなんて‥‥

カオリ

でも、何だか嫌な予感はするわ。

世界規律安定機構の不可思議な動向により警戒する一同は、キャッスル・サドラから出ることにした。

アイビー

抑止力に関するデータは少ないものだが、見つけることはできた。
これよりここを後にする。

アイビーの号令でロードライトガーネットは動き出し、そのまま出向した。

星が綺麗に輝く夜各々は休息に入る。

ジェーン＝ドゥ

探索中々過酷だったわ。
もう身体がクタクタ‥‥

ジム

ボクも‥‥眠気が‥‥

ジェーン＝ドゥ

ジム、部屋で寝なさい。

ジム

うぅ‥‥うん。

ジェーンとジムは相当疲労が溜まっている様子。いの一番に自部屋に戻っていく。

ユナ

あたしたちも行こっか。

カオリ

えぇ、今の内に身体休めないとね。

ユナとカオリも部屋に戻っていく。

ハジャー

俺も次に備えて休んでおくか。

アイビー

RB-001、周囲の警戒を頼む。

RB-001

了解した。

各々は部屋に戻り休息に入る。

ハジャーの部屋

ハジャー

寝付けないな‥‥また、同じ夢。

またも寝付けないハジャー。同じ夢を繰り返し見てしまうらしい。

ハジャー

遊び心‥‥俺にそんなこと‥‥

すると扉が開き、誰かが入ってくる。

アイビー

中々寝付けないか？

ハジャー

キャプテンか‥‥
あぁ、また同じ夢だ。

アイビー

先の探索で言ったこと、覚えてるかな？

ハジャー

あぁ、だが‥‥
俺にそんなこと可能だろうか？

アイビー

すぐにすぐっていうのは難しいかもしれないが、少しずつ意識を高めて慣れていくことだろうな。

ハジャー

そうか‥‥少しずつか。

アイビー

あまり今の状態が続くと何れは心身共に壊れ始めてしまう。
少しの間、私が何とかしよう。
存分に甘えてくれても構わない。

ハジャー

気遣い感謝する。
だが、そんなこと出来るのか？

アイビー

ふっ、私を信じて欲しい。

アイビーはハジャーに微笑む。

ハジャーとアイビーの二人は身を寄せ合っている。

アイビー

まるで冷え固まった氷のように固く、冷たいな‥‥君の身体は。

ハジャー

やはり、キャプテンにはそう感じるのだな。

アイビー

過酷な道をずっと渡り歩いていた者の身体は皆君のように冷え固まった身体をしている。

ハジャー

一人の軍人として戦地へ赴いていた人間の性なのだろうか‥‥？

ハジャーの一言にアイビーは微笑み、口付けをする。

アイビー

心配の必要はない。
私が君の側にいる。
だから今は肩の力を抜いて、リラックスをするといい。

アイビー

さすれば、君の身体は次第に温かくなり、自らを縛る雑念が君から離れていく。

身体を寄せ合い、優しく抱き合う二人。

ハジャー

キャプテン、アンタの身体はどうしてこんなにも優しくて温かいのだろうか？

アイビー

何故だろうな‥‥
私はこれが当たり前だと思って生きてきたから何も不思議に思ったことはないな。

ハジャー

そうか‥‥

ハジャーの表情が少しずつ穏やかになり始めてきている。

アイビー

君の冷え固まっていた身体が少しずつだが温かくなり始めている。
あと少しもすれば、より気持ちよくなだろう。

ハジャーの身体から黄金色の湯気のようなオーラが立ち昇っていく。

ハジャー

そうか、これが今の俺に必要だったものなんだな。

アイビー

自分で気付けるようになったようだな。

はぁ‥‥もう、何も心配はいらないだろう。君を縛り付ける雑念は消えかえている。とても今は私も気持ちいいと感じている。

二人の素肌が触れ合う。アイビーの表情が恍惚としだす。

ハジャー

キャプテン‥‥アンタのお陰だ‥‥

アイビー

温かで十分過ぎる程に凄く気持ちがいい。
もう、君の心配は必要なさそうだ‥‥

アイビーはハジャーにキスをし、そのまま眠りに付く。

同時刻、ユナとカオリの部屋にて

ユナ

ねぇ、カオリあたし‥‥貴方が今の姿になってから貴方のことばかりずっと考えてたの。
凄く可愛くて、凄く貴方に寄り添いたい‥‥

カオリ

ユナ‥‥あたしは前のユナも好きだった。
でも今のユナはもっと好きよ。
色気が増してて、身をもって触れ合いたい程抱きしめたい。

二人は互いに素肌を晒して優しく抱き合っている。

ユナ

カオリの身体、こうしていると温かいのね。

カオリ

ユナ、貴方の身体も凄く温かい。

ユナ

温かいだけじゃない。
凄く気持ちがいいの‥

カオリ

ユナの身体も凄く気持ちいい。

ユナ

あたし‥ずっとカオリとこうしたかった。

カオリ

ユナ、あたしも貴方とこうしていっぱい抱いて‥いっぱいキスしたかったの‥

お互いがお互いを求め合い、そして口付けを交わす。

二人は幼馴染の関係よりも更に深い関係にいつの間にかなっていた。

ユナ

カオリ‥‥

カオリ

ユナ‥‥

顔を赤らめながら見つめ合う二人。身体が触れ合い、求め合う。

ユナ

カオリ、愛してる‥

カオリ

あたしも‥ユナのこと、愛してるよ‥

幼馴染から恋人の関係になっていた二人は素肌を寄せ合いながら眠りに付いた。

満足そうに眠る二人の身体からじんわりと白い煙のようなオーラが立ち昇っていく。

？？？

気付いたようですね‥‥
どこの誰かは敢えて伏せておきますが。

秘書と思しき人物

どうしますか？
こちらも迎え撃った方が‥

？？？

いいえ、その必要はありません。
その方々とは近い将来顔を合わせることになるのは明確なのですから。

何やら偉いであろう人物とその秘書と思しき人物が会話をしている。

？？？

抑止力、哀れな海賊には渡してはならないものです。
特に‥‥

秘書と思しき人物

特に？

？？？

あの、レッド・バッカニアのアイビーには‥‥

女性の口からアイビーの名前が出る。

秘書と思しき人物

総長、一体抑止力とは‥‥具体的に何なんでしょう？

？？？

そうですね‥‥端的に言ってしまえば大いなる力の源といったところでしょうか。
ですが、その実態は謎が多く、何を仕出かすのか不明瞭なものといった表現が正しいのかもしれません。

秘書と思しき人物

さ、左様でございますか。

？？？

直接見ると驚くものでしょう。
何故なら‥‥

総長と呼ばれる女性は抑止力のことを知っている様子の口ぶりだった。

？？？

もうすぐですよ。もうすぐ‥‥

この謎の女性とアイビーは何処で対面することになるのだろうか？

？？？

抑止力はこの、世界規律安定機構事務総長であるこの私
石割メロコの物よ‥‥

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