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Buccaneer Hearts ⸺バッカニアハーツ⸺

第6話 - 器たる少女と都市破壊工作

2025年12月17日

#海賊

#ファンタジー

#SF

#ドラマ

カーリーKK

朝、空は快晴で皆が暫くの休息から戻り、甲板へと集まる。

アイビー

ハジャー、昨夜はしっかり休息が取れていたようだったな。

ハジャー

あぁ、アンタのお陰だ。

ジェーン＝ドゥ

何だか顔色が良くなった気がするわ。

ジム

あれ？ユナちゃんとカオリちゃんは？

ユナとカオリがまだ来ていない様子だ。

ハジャー

そろそろ来るだろう。
ま、先の探索で皆身体に疲労が溜まっていたから多少遅れてくるのも仕方ないだろう。

そんな話をしていると二人がこちらへ向かってくる。

ジェーン＝ドゥ

え‥何だか雰囲気変わってない？

ジム

どうしたの？黒から白になっちゃって。

ハジャー

カオリの目の色と髪色も以前と違うような‥‥

ユナとカオリは揃って白を基調としたコスチュームに変わっており、カオリに限っては目と髪のインナーカラーが青からピンク色に変化している。

ジェーン＝ドゥ

ママ、新たに力を与えたりしたの？

アイビー

いや？私は何もしていない。

ジェーンの質問にアイビーは何もしていないと否定する。

アイビー

お互いの気持ちに素直になり、より距離が縮まった。
それがこうして形として現れた。
そうだろう？

ユナ

そうよ。

カオリ

えぇ、その通り。

アイビー

ふっ、私の力なくここまでに至るとは‥‥
流石だ。それでこそ我が船団の一員だ。

ユナ

もうあたしとカオリは幼馴染だけの関係じゃないわ。

カオリ

もっと深い、切っても切れない関係よ。

二人は両手の指を絡ませて見つめ合っている。

ハジャー

お前たちがまさかそっちの気があるとは‥‥以外だな。

ユナ

何？いけないの？

カオリ

あたしたち女同士の相思相愛にケチつけるつもりかしら？

ハジャー

おっと‥‥コイツは失敬。

ジェーン＝ドゥ

でも良かったわね二人とも。
距離がそれだけ縮まったなら‥‥その‥何でもないわ。

カオリ

何？はっきり言ったら？

二人の関係について談笑が続く。

アイビー

全員揃ったようだから先のキャッスル・サドラでの探索結果について打ち合わせを行う。
一同は指令室へ集合するように。

アイビーの号令で皆は指令室へと足踏み揃えて向かった。

ロードライトガーネット指令室

アイビー

先のキャッスル・サドラの探索にて3つに別れて探索を行ったが、私とハジャーの探索箇所では抑止力に関連すると思われる鍵を入手した。

ジム

お母さん、ボクとお姉ちゃんが探索したところにも何やら気になる資料が落ちてたよ。

ユナ

あたしたちのところは何もなかったわ。
強いて言うならアンドロイド5体と遭遇したぐらいなもの‥‥

アイビー

わかった。ジム、君が入手した資料をこちらへ。

ジム

は〜い。

ジムはボロボロの資料をアイビーに渡すとアイビーの顔付きが急変する。

アイビー

この資料にもプロジェクトSOL882の文字が‥‥それに‥‥

ユナ

どうして、世界規律安定機構のロゴがあるのかしら？

アイビー

この鍵とこの資料、間違いなく関連性があるものだと推測できる。
ユナ、この鍵を分析出来るだろうか？
流石にこちらで使用できるものとは到底思えない代物だが‥‥

ユナ

‥‥

ユナがデジタルキーを吟味する。

ユナ

これでいけるかしら？

ユナが人差し指と薬指の爪の先からレーザーを射出する。

アイビー

ほう、新しい能力か。

ユナ

あたしも初めて使う能力だからどこまで出来るのかわからないけど、試してみる。

分析を始めるユナ。暫くするとデジタルキーから謎の音声が響き出す。

デジタルキーの音声

コード、ＨＡＵ

カオリ

何のことかしら？

ユナ

分析が終わったわ。
この鍵に書かれているPINコードのSOL882は部外者が安易に開けないようにする為のダミーコードってとこみたいね。

アイビー

確かに、よくよく考えればプロジェクトの名前をそのままコードにするのはあまりに脇が甘いやり方ではある。

ユナ

更に深いところまで解析を進めるわ。

更にユナは解析を始める。ユナは新たな能力として対象物にレーザーを当てることで解析し、詳細を脳内に入れこんで自身の肉眼で閲覧できるという能力が備わった模様。

ユナ

解析完了。
皆に見えるようにビジョンを映すわ。

ユナは手のひらから自身が閲覧した情報を皆に見えるように出力した。

ユナ

PINコードを入力するわよ。

そのままユナはPINコードを入力すると‥‥

アイビー

これは‥‥

一同はデジタルキーの内部のデータに映る謎の少女と思しき写真に驚愕する。

カオリ

この娘は‥‥一体？

ハジャー

抑止力と何か深い関連があるのは間違いないだろう。

ジム

でも、この娘の行方がわからない以上は断定はできないよね。

アイビー

もう目覚めているのか、或いはまだ眠ったままなのか私たちは真相を探る必要がありそうだ。

ユナ

この資料も目を通さないとね。

アイビー

あぁ、しかしかなり劣化しているな。

ジェーン＝ドゥ

所々字も潰れてるし大変そうだわ。

一同は資料に目を通す。

ハジャー

あのデジタルキーのデータにあった少女のことも書かれているな。

ハジャー

何、「器たる少女の起動は3人以上で実施すること」
「器たる少女の目を離すことは固く禁ずる」
「器たる少女の例外的行動無きよう警戒態勢を強化せよ」

ジム

器たる少女っていうのがこの娘のことなのかな？
でもどうして“器たる”なんだろう？

資料では少女のことは一貫して「器たる少女」とのみ表記されており、詳細もやや中途半端なものだった。

カオリ

あんまりこの資料は参考にならないわね。

アイビー

とにかくこの少女の居場所を見つけ出す必要はありそうだ。長期に渡る探索になる可能性がある。
皆最後までよろしく頼む。

アイビーは皆にかしこまると、通信が入る。

RB-001

RB-001、キャプテン・アイビー、本船の直下の都市にて破壊活動を行う謎の勢力が確認出来た。

アイビー

先のW.D.S.Cのことといい、きな臭くなってきているな‥‥
RB-001、我々は都市部へ降りる。
都市に被害を与える哀れな勢力を我が手で撃退する。

RB-001

了解。遠隔にて本船の軌道修正を行う。
都市への着陸態勢準備を実施する。

アイビー

異論はないな？

ユナ

当たり前じゃない。

カオリ

罪のない人たちに危害を与えるような奴らを放って置くのは性に合わないわ。

ハジャー

愚かな奴らに慈悲は与えない主義だ。
俺はアンタに着いていくぞ。キャプテン。

ジム

ボクの剣がまた疼いているよ。

ジェーン＝ドゥ

ママ、私はいつでも準備万端だから！

アイビー

皆、ありがとう。

皆アイビーに強く同意し、戦闘準備に入りだす。ロードライトガーネットは真下の都市に向かって着陸態勢に入りだす。

アイビー

行くぞ。哀れな奴らに誅伐を与える。

都市へと着陸。建物は所々半壊が見られる状態。

ハジャー

派手にやってるなこれは‥

ジム

誰かこっちに来るよ。

謎の人影が2つ、こちらに向かってくる。

男と女の姿をしたアンドロイドと思しき人物が武器を持ってこちらへ来た。

攻撃型アンドロイド男型　

我々の邪魔立てをするつもりか？

攻撃型アンドロイド女型

どういうつもりかはわからけど、貴方たちもここで果ててもらう。

男型は槍を構え、女型はバズーカを構えだす。

カオリ

目的は何なの？

攻撃型アンドロイド女型

回答を拒否するわ。

ユナ

アンタたち、こんなことしてるとW.D.S.Cが黙っちゃいないわよ？

攻撃型アンドロイド男型　

常世界規律安定機構から目を付けられている海賊が何をほざくか。

攻撃型アンドロイド女型

それに貴方たちは勘違いしている。

ユナ

勘違い？

攻撃型アンドロイド男型　

我々はW.D.S.Cの命により都市への破壊活動を行っている。

攻撃型アンドロイド女型

目標物がここに逃げ込んでいる以上は破壊を厭わないということ。

アイビー

なるほど‥‥そこまで腐りだしたか。

アンドロイドの都市への破壊活動は世界規律安定機構からの命令によるものだと言う。

ジム

ねぇ、この人たちの言ってることって信憑性あるのかな？

アイビー

アンドロイドは私たち人間と違って嘘を付くことができない。
よってコイツらの言っていることは概ね事実と見て良いだろう。

攻撃型アンドロイド男型　

取り敢えず目に付いた人間たちもいくつかは殺しておいた。

攻撃型アンドロイド女型

世界規律安定機構から都市に住む人間は殺しても構わないって言ってるからね。

アンドロイドたちのその一言でカオリとユナが特に怒りを露わにしだした。

ユナ

ねぇ、キャプテン‥‥
コイツら、ぶっ壊してもいいよね？

カオリ

性根が腐ってるわ‥‥コイツら。
跡形もなく消さないと気がすまないわ‥

アイビー

ここは君たちに任せる‥‥
無理だけはしないようにな。

攻撃型アンドロイド男型　

お前たちが我々の相手をするのか？

攻撃型アンドロイド女型

貴方たちじゃ勝てないと思うけれど、まぁいいわ。
可愛がってあげる。

ジム

ボクたちは安全の確保に移ろう。

ハジャー

住民を避難させるぞ。

ユナ

そっちは任せるわ。

カオリ

覚悟しなさい。あたしたちを本気で怒らせたわね。

二人のアンドロイドに本気で怒り心頭のユナとカオリ。今まさに戦闘が始まろうとしていた。

戦闘は激化する一方。ユナが女型のアンドロイドを狙い、カオリが男型のアンドロイドを狙う。

ユナ

しぶといわね‥‥
こっちも遠距離攻撃を混ぜ合わせないと体力が消耗する一方だわ。

ユナはもう一つの新たな能力である手から放つ火球をアンドロイド目掛けて発射する。

攻撃型アンドロイド女型

このバズーカより速い弾速‥‥
へぇ、少しはやるようね。

カオリ

ガトリングの弾幕を走って避けるなんて‥‥
こうなったらこっちも別の手を使うしかないわね。

カオリは新たな能力としてこれまで生成不可能だったプラズマ砲を生成し、アンドロイドに照準を合わせ、発射する。

攻撃型アンドロイド男型　

ほう、触れたらひとたまりもない物まで使用してくるか‥‥

ユナ、カオリ対アンドロイド二人の戦い。予想以上の強敵に新たな能力を使って応戦を始める。勝機は訪れるのだろうか？

その頃4人は安全確保と避難誘導を行っている。

ジェーン＝ドゥ

さぁ、早くこっちへ。

ハジャー

急ぐんだ！

一部建物の倒壊も始まる。事態は一刻を争うほどの状況だ。

アイビー

二人は上手くやれているだろうか‥‥？

二人の安否が気になるアイビーは

アイビー

すまない、やはり二人のことが心配だ。
一旦この場を離れさせてもらう。

ジム

こっちは任せて。お母さん。

ジェーン＝ドゥ

ママは二人の元へ！

アイビー

本当にすまない。

ハジャー

謝る必要はない。行ってやってくれ。

アイビーの背中を3人が押し、二人の元へ走っていった。

二人の元へと走っているアイビー

アイビー

これで迎え撃ってみよう‥‥

アイビーは長い刀身の日本刀と短剣を生成して再び走り出す。

アイビー

どうか私がそちらへ向かうまで無事で。

二人の安否を祈って走り出すアイビーに目を向ける気配が突如現れる。

アイビー

ん‥‥？何だこの感じは。

ボロボロの包帯と布を纏った少女が力なく座り込んでいた。

アイビー

誰だ。
いや‥‥待てまさかこれは‥‥

そこに座り込む少女はあのデジタルキーに映っていた少女によく似ている見た目をしていた。

アイビー

二人の居場所に向かう最中だというのに‥‥これは‥‥

アイビーは少女の元へとゆっくりと近づいて行く。

アイビー

どうしたものか‥‥

アイビーは二人の元へ向かうか、この少女を連れて行くのか迷っている。

アイビー

ここは危険だ‥‥この場から離れた方がいい。

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