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ボクはキミに恋をした

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ボクはキミに恋をした

第15話 - 桜花

80

2022年10月28日

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#BL

かえで🍁✒️

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80

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真冬

出来た……

自分の思いを全部ひっくり返して、夢中になって書いていたら、あっという間に出来上がってしまって

部屋の時計を見ると、まだ1時間しか経っていなかった

ボクのパソコンの中には、デモ段階の音源として、ボカロのミクに歌わせているものがある

♪〜

一度最初から再生してみて…… 気づいた

──これ、1人じゃ歌えない

サビの途中でボーカルを重ねてしまったせいで、1人で歌うのが不可能になっている

真冬

どうしよう……。

真冬

……あ

なんとなく、ディスコードでそらるさんに通話をかけてみる

そらる

『もしもし？』

数秒後、ヘッドホン越しにそらるさんの声が聞こえた

まふまふ

あ、そらるさん。今作ってる曲のことなんですけど……

まふまふ

……というわけで……

そらるさんに相談をすると、聞かせてよ、と言われた

さっき出来たばかりのデモ音源を送って、聴き終わるのを待つ

そらる

『……オレ、こういう曲好きかも。』

そらる

『オレが好きな曲調なんだけど、まふまふらしさもあるって言うか』

まふまふ

えっ、あ、ありがとうございます

予想外のコメントに驚きつつ、お礼を言う

まふまふ

（褒められちゃった……）

そらる

『曲名なんて言うの？』

それは、仮で使っていたものがある

まふまふ

えっと……。

まふまふ

『桜花ニ月夜ト袖シグレ』です

我ながら良い名前をつけたなと、心の中で自画自賛する

そらる

『へぇ……。』

そらる

『それで本題は、1人で歌えないって話だったよな』

まふまふ

はい。聞いてもらった通り、サビが重なっちゃってて

そらる

『……なら、オレも一緒に歌って良い？』

まふまふ

えっ？

そらる

『っていうよりも、一緒に歌ってみたい』

一緒に歌いたい……

まふまふ

（この曲、ボクからそらるさんに向けて書いた曲なんだけどなぁ）

その相手も一緒に歌うって、普通に考えるとおかしいし、なんだか変な感じだ

まふまふ

（でもこの曲は……この恋は、普通じゃないんだよね）

それに多分だけど、ボクも一緒に歌いたくて、そらるさんに電話したんだと思う

まふまふ

ボクも、そらるさんと歌いたいです。

まふまふ

……あ、あともう一つ、相談良いですか？

そらる

『うん、何？』

たった今、思いついた相談だけど

まふまふ

せっかくだから、この曲をAfter the Rainの最初の曲にしたいなって思って

これは、僕の我が儘でしかないけど

これを、After the Rain名義の最初の曲にしたい

そらる

『良いよ。っていうか、オレもそれ言おうと思ってた』

どうやらボクらは、ことごとく気が合うらしい

話は順調に進んでいって、一先ず、それぞれが歌うパートを決めた

そらる

『MIXはオレがするよ。ここまで全部お前がやってくれたし、次はオレの番』

続けて、後輩に全部任せるわけにはいかないし、と言ったそらるさん

まふまふ

じゃあ、お願いします。録音できたら送りますね

ここはお言葉に甘えて、先輩に頼ることにしよう

まふまふ

（それに、MIXの技術はそらるさんの方が高いし、ボクがやるより良いものができそう）

そらる

『ん。じゃ、また明日学校で』

まふまふ

はいっ、また明日

ティロン、と音がして、通話が切れた

ヘッドホンを外して、椅子の背もたれに寄りかかって、一息つく

ぐぅ〜

真冬

あ……

気を抜いたところで、思いっきりお腹の音が鳴った

そういえば、曲作りに夢中になってて忘れてたけど、夕飯まだだったっけ

時計を見ると、8時を指していた

っていうことは、ちょうど夕飯の時間だ

パソコンの電源を落として、椅子から立ち上がって部屋を出る

その足でリビングに行くと、美味しそうな匂いが漂っていた

キッチンに行くと、姉さんもいる

真夏

あっ、真冬！　今日の夕飯ね──