一覧ページ

意味怖

第1話 - 意味怖

2021年12月04日

#意味が分かると怖い話

セレネ☀️⚡️💫

湧大

(俺が住むマンションではエレベーターが1基しかない)

湧大

(それもなんだか薄暗いし定員は5人までだ)

湧大

(しかも3人乗ると窮屈に感じるような手狭なのだ)

湧大

(だから気持ちは分かるが他の住人と乗り合わせる時に、嫌な顔されたり、舌打ちされたし、それはどうなんだろうって思う)

湧大

(俺が内心狙ってる清楚な感じの女の子がいる彼女なんかドアが開いて俺が中に入って来るときずくと、すごい顔で見てくる｡)

湧大

(俺がなにか悪いことでもしたか？　と聞きたくなるが、視界にも入れたくないとばかりにこっちに背を向けてしまう。)

湧大

(毎回、足早に降りる彼女の背中を見送るたびに、俺がそんなに気に食わないならエレベーターを使わなきゃ良いのに……と思うのだが、10階の住人である彼女としてはそうもいかないのだろう。)

湧大

(俺は心に決めていた。いつか、ちゃんと彼女に声をかけよう。話しかけて、会話を交わせばきっかけになる。経験から分かっていた。)

湧大

(その日は、3階に住むカップルと7階の老夫婦と一緒だった。彼女も二人きりでなければ良いのか、こちらを睨むようなことはなかった。)

彼女

…

おじさん

…

おばあちゃん

…

湧大

！

おじさん

じァ降りようか

おばあちゃん

えぇ

彼女

…

湧大

(彼女は、自分が住む最上階まで乗らず、夫婦の後を追うように7階で降りてしまった。)

湧大

(俺は思わずそれを追いかける)

非常階段を上る彼女に、下から声をかける

湧大

「なんでそんなに僕を避けるんですか？」

湧大

「ねえ、あなたと仲良くなりたいんです」

彼女

………

湧大

「僕が何かしましたか？」

湧大

「聞いてくださいよ。見えてるんでしょ？」

結局彼女は、俺と会話を交わしてはくれなかった

なんだルールを知ってるのか…

主

答え合わせ

主

最上階に住む彼女がエレベーターを下りていく背中を見送っている＝「俺」が最上階まで上ったエレベーターから降りていないこと、「定員5人」のエレベーターに「彼女」「カップル」「老夫婦」と乗っても定員オーバーになっていないことから、「俺」がこの世のモノではないことはすぐに分かります。

　ポイントは、「俺」がそれを自覚しているということ。死んだことに気づいていないのではなく、意図して「彼女」をこちら側に引きずり込もうとしていると、最後の一行で分かります。つまり「怪異と会話を交わしてしまうことが、引き込まれるきっかけになる」というルール。彼は自身が怪異の呼びかけに応えてしまった経験から、それを知っていたのでしょう。

主

どうでしたか？

主

また意味怖します…