魔法使いは何を唱う？ ー7つの音色ー

あれから何日も 結界に慣れる訓練をしていた

けど、成果は全く出ず

魔法空間に行っても、少ししたら 元いた家に戻されてしまうだけ

何も考えずに頑張っても、 意味がないような気がしてきた

だから今、何かしらの作戦を 考えようと思ってんだけど……

天月君が、前に何かよく分からない ことを言ってたような

前はまともに取り合わなかったけど、 可能性がちょっとでもあるなら、 やってみる価値はある……？

早速作戦を試すために、 目を瞑って魔法空間に来る

するといつも通り、体に負荷が来て、 ガクッと床に片膝をついた

そしたら、さっきの作戦実行だ……！

いつもより結界を意識しながら、 訴えかけるように感じてみる

そう思ったのも束の間、 何故か体が軽くなっていって、 普通に立てるようになる

思った以上にあっさり成功して、 思わず失笑がこぼれた

まさか、本当に結界と以心伝心が 取っ掛かりになるとは……

不意に背後から呼びかけられたと 思ったら、まふ月の2人がいた

俺の様子を見て気づいたのか、 天月君にそう聞かれる

って、天月君の前の以心伝心発言は 体験談だったのか

そう思いつつ、一旦困惑中の まふ君に軽く説明をする

2人と会話を会話をしていたら、 突然不意打ちで結界の作用に 床に叩きつけられる

なるほど、無意識でも結界と 以心伝心しろってことか……

次の日

昨日の夜天月君に言われた通り、 まずは結界に完全に慣れる為、 空間の端で止まることに意識する

訓練とやらの休憩中、珍しく そらるさんが褒めてきた

と、何がツボったのかは分からない けど、笑いながらそう言うまふ君

ガチャッ

空間にある扉が開いて、 小さな男の子が入ってくる

確かあの子は、ノアさんの 孫のテオ君だっけ？

そこはもう、俺の脳には分からない から、深く考えないことにした

テオ君に続いて、もう1人 男の人も入ってきた

この人は……ノアさんの父親で、 兄貴がお世話になったアデルさん？

2人のことはみんなから話を 聞いただけだけど、兄貴の この様子だと間違いなさそうだ

そらるさん達のやりとりを 見ていると、突然テオ君に 話しかけられる

魔法界の偉い人の家系って こともあって、接し方が難しい

みんな結構フランクに話してるけど、 俺もそれでいいのかな

〜真冬 side〜

ノアさんから話を聞いていたのか、 ずっとなるせ君を見て、 目をキラキラさせるテオ君

それにしても、人との会話で たじたじになってるなるせ君も珍しい

逆に、テオ君がここまで何かに 興味を示してるのも珍しいけど

何かを言いかけて、 慌てて誤魔化したテオ君

“ぼくのおと──”って、 何を言いかけたんだろう……？

こっちはこっちで、 相変わらず言葉に棘がある

ってアデルさん、それ普通に 頷いちゃうんだ……？？

僕もテオ君の方を見ると、 何故かなるせ君が首にかけている ネックレスを見つめていた

そういえばあのネックレスも、 天ちゃんの耳飾りみたいに、 会う度かけてるのを目にするような

ぱあっと明るくなったと思ったら、 次は気まずそうに表情を固めたテオ君

あぁ、なるほど、アデルさんが カマかけてたのか……

……それはそれで、子供相手に ちょっと大人気ない気もするけど