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五十嵐
八乙女
伊集院
優希編 #凍りついたメトローム
桜宮大学病院に、世界的バイオリニスト・不破(ふわ)が担ぎ込まれる。彼は15年前、優希が「おじさん」と呼び、父のように慕っていた師匠の親友だった。だが不破は、自分の名声を守るために師匠を裏切り、偽りの証言をした過去がある。
優希はいつもの笑顔で診察するが、 不破は傲慢に言い放つ。
不破
優希は微笑みを崩さない。
五十嵐
その夜、太陽は誰もいない礼拝堂で、優希が古いメトロノームを見つめているのを見つける。ネジを巻いても、針はピクリとも動かない。
五十嵐
日向
五十嵐
いつも明るい優希の口から漏れた、絶望的な孤独。太陽は何も言えず、その背中を見つめることしかできなかった。
オペが始まる。優希は“あえて”、15年前に師匠が「失敗した」とされた最高難度の術式を選択する。
伊集院
五十嵐
優希の手技は、もはや神の領域を超えていた。だが、過去のトラウマがフラッシュバックし、優希の視界が歪む。
お前の師匠は人殺しだ。 ――15年前の野次馬たちの声が耳に響く。 メスを持つ手が初めて震え出す。 その時 八乙女が優希の手を強く。痛いほど 握りしめる。
八乙女
優奈の叱咤と、モニター越しに聞こえる 太陽の「優希先生、走れ!!」という根拠のない、けれど必死な叫び。
五十嵐の目に光が差す
優希は、完璧な「旋律」を奏でるようにオペを完遂した。不破の心臓は救われ、同時に「師匠の術式が正しかったこと」が医学的に証明された。 執刀を終えた優希は、不破の耳元で冷たく囁く。
五十嵐
五十嵐
オペ室を出た優希は、そのまま崩れ落ちるように屋上へ向かう。 降りしきる雨の中、一人で泣いている優希。そこに、太陽が傘を差して現れる。
日向
日向が差し出したのは、無理やりゼンマイを直したあのメトロノーム。不格好に、でも力強く、一定のリズムを刻み始める。
日向
五十嵐
優希は初めて、仮面ではない「本当の顔」で泣き崩れ、太陽の胸に顔を埋める。
五十嵐
太陽は、震える天才外科医の背中を ただ黙ってさすり続ける
翌日。屋上で太陽が差し出したのは、激苦の「ビターチョコ」
五十嵐
日向
伊集院
八乙女
八乙女は優希を見て
八乙女
4人の笑い声が、少しだけ桜宮大学病院の空気を温かく変えていく。 だが、その様子を遠くから見つめる九条冴子の横には、ついに「黒幕」の影が忍び寄っていた__。