鬼神丸
この付近は大通りと比べて武具店が多く見られるな
鬼神丸
もしかするとこのお店の中に蓮爺の話す知り合いが居たりするのかな
武士
武士
おいそこのお前止まれ
鬼神丸
?
武士
貴様ここが何処か分かっているのか?
鬼神丸
楓ノ里ですよね?
武士
ほぉ分かってんじゃないか
武士
なら、尚更ここにいるべきでは無いな
鬼神丸
なぜ?
武士
おいおい自分の姿を見た事ないのかァ?
武士
その額に生えてるそれは角だろぉ?
鬼神丸
それのなにが?
武士
今の世の中は人と妖の戦争中だ
武士
楓ノ里は種族による差別はねぇが
武士
それでもやはり里の中に異端児が居ると
武士
みんな不安になるんだよ
鬼神丸
つまり僕はこの場にふさわしくないと?
武士
その通りだ
鬼神丸
でも、今あなたは楓ノ里は種族による差別はないと話しました
鬼神丸
里の方針なら僕はあなたの指示で里の外に出る理由にはならないですよね?
武士
あくまで形式上の話だ
武士
現にそのルールを作ってから今日まで異種族は現れなかった
鬼神丸
なんにせよ僕がこの場に居るのが目障りなんですね
武士
そういうことだ
鬼神丸
だとしても僕はここに居させてもらいます
鬼神丸
お話はそれだけでしたら僕はこれで……
武士
俺は用があるんだよ
武士
武士
妖は敵である以上死んでもらう!
鬼神丸
民衆の前で刀を振るう気か!?
大きく一歩踏み出し鞘から刀を引き抜いて鬼神丸に斬り掛かる
鬼神丸
くっ……!?
武士
ほぉ〜?
武士
今のを避けるとはやはり化け物だな
鬼神丸
刀を収めてください
鬼神丸
この場でやり合えば無関係な人も巻き込まれます
武士
収めて欲しいなら里から消えろ!
鬼神丸
あなたの独断で決めれる問題ではない!
武士
なっ!?
武士
ぼ、木刀で俺の刀を…!
鬼神丸
もう一度言います
鬼神丸
刀を収めてください
武士
人間を……
鬼神丸
なに?
武士
人間をなめるなぁァァァ!!
鬼神丸の木刀を跳ね除け、その勢いのまま鬼神丸を斬りつける
斬られる瞬間後ろに下がったとは言え身につけていた愛用していた鎧を壊し生身に浅い傷をつける
鬼神丸
ぐっ…!?
武士
人の姿に化けて内部から壊そうと言う魂胆だろ?
武士
お前ら妖の汚いやり方は俺らが一番よく知っている!!
鬼神丸
はぁ…はぁ……
鬼神丸
(傷は深くないが血が止まらない…)
鬼神丸
(それにこれ以上長引けば蓮爺に迷惑が…)
鬼神丸
(いや、何より無関係な人達もきっと巻き込まれる)
鬼神丸
うぐっ………
鬼神丸
(落ち着け…落ち着くんだ僕………)
鬼神丸
(相手を殺しては行けない…)
鬼神丸
(あくまで無力化するんだ僕……)
鬼神丸
(ここで僕が彼を殺めればより妖の印象が悪くなる…)
鬼神丸
(僕が犠牲になる分には構わないが)
鬼神丸
(彼が犠牲になると人間陣営の指揮が大きく上がってしまい)
鬼神丸
(さらに争いを激化させてしまう…)
鬼神丸
(それだけは避けなければ……)
武士
おいおいおい……
武士
鬼様はこの程度かァ?
武士
こんなのしか居ないなら俺一人で妖陣営を葬り去ることができるんじゃねぇのかァ?
鬼神丸
フー……フー………
武士
息も荒くなっておしまいだなこりゃあよぉ?
鬼神丸
(被害者を出しては……)
二人を取り囲むように群衆が集まる中その輪を掻き分けて現れた一人の男
神無月
神無月
暴れずよく耐えたな若いの
鬼神丸
!!
鬼神丸の方に近づき彼にだけ聞こえる声で『良く耐えた若いの』とそう伝えると彼は武士の方にと歩を進める
神無月
君かな?
神無月
こんな騒ぎを起こしたのは
武士
はぁ?
武士
俺は正義を示してるんだ
武士
妖は討伐すべき対象だ
武士
だからそれを遂行するために……
神無月
楓ノ里は種族による差別はない
神無月
誰であろうと受け入れるのがこの里の方針だ
神無月
この里に住むものならみな知ってるはずだが
神無月
君はそれを知らないのか?
武士
その方針も今となっては形骸化している
武士
現にその方針が決まってから今日まで
武士
人間以外の種族は現れなかった
武士
もうその他種族を受け入れる方針は消えたも同然
神無月
神無月
やれやれ……
神無月
いつか現れると思っていたが
神無月
いざ目の当たりにすると心苦しいねぇ
武士
はぁ?
神無月
すまないが君はこの里にふさわしくない
神無月
君の意思で出て行ってくれるなら
神無月
この件は無かったことにしよう
神無月
これを受け入れられないのなら
神無月
やむを得ない
神無月
身を呈して民衆を守ってくれた彼の代わりに
神無月
私が君を裁く
武士
上等だゴラァ!
神無月
君の木刀を貸してくれないか?
鬼神丸
鬼神丸
えっ?あっ……はい
神無月
投げてくれて構わないよ
彼の手元に木刀が来る前に武士による先制攻撃が行われるが表情一つ変えずに避ける
武士
なっ!?
神無月
太刀筋が甘いよ
神無月
それでも君武士なの?
その後腹に一蹴り入れて投げ渡された木刀で容赦なく刀を持つ手を叩く
武士
がはっ……!!?
神無月
この刀は没収だね
神無月
武士の誇りである刀を奪われ君は何者でもなくなってしまった
神無月
強いてあげるなら里に仇なす裏切り者かな?
武士
く、くそっ……
武士
クソがァァ!
諦めの悪い武士はすぐに立ち上がり男に殴りかかりに行く
武士
くたばれやァァ!
武士と男の間に割って入り武士の拳を片手で受け止めていた
鬼神丸
鬼神丸
もう決着は着きました
鬼神丸
あなたの負けです
神無月
(おやおや……)
神無月
(傷が浅いとはいえ私たちの元まで瞬時に近づくとは)
神無月
(彼のいた場所から少なくとも3mは離れてました)
神無月
(驚くべき身体能力ですね)
武士
はぁ…はぁ………
神無月
そういうことですので
神無月
あなたの処罰はすぐに決まりますから
神無月
ここでお待ちください
そう言って木刀を鬼神丸に返しまた人混みの中にと彼は姿を消した
鬼神丸
あの人は一体……
蓮爺
蓮爺
彼は神無月
鬼神丸
!?
鬼神丸
いつからここに?
蓮爺
お主とあの輩が言い合いしてる時からだ
鬼神丸
そうですか
鬼神丸
して、その神無月さんは何者で?
蓮爺
ワシの友人の息子じゃったかな?
蓮爺
今何をしてるかは分からないが
蓮爺
聞いた話ではこの楓ノ里の里長と同格の職に就いてると聞いたのぉ
鬼神丸
あの人も飛んだ強さを持っていた…
蓮爺
彼は才能と言うよりは努力の人じゃな
蓮爺
あの強さは彼の努力の賜物なんじゃよ
蓮爺
なんにせよやはり変な事に巻き込まれたな
鬼神丸
す、すいません…
蓮爺
なぁに謝ることは無い
蓮爺
お主も言っていただろ?
蓮爺
人の弱さが故に見せる行動だと
鬼神丸
…えぇ
蓮爺
ドタバタに巻き込まれたとはいえ疲れたろ?
蓮爺
ワシと共にまずは腹ごしらえでもするか
鬼神丸
は、はぁ……