おばみつ短編
現パロ注意(生まれ変わり) 蜜璃ちゃん以外の隊士は記憶戻ってるけど蜜璃ちゃんだけ前世の記憶はなし
あの時の願いを一度でも忘れたことはない
愛おしいあの瞳に向けて「好き」と伝える日まで 絶対に見つけてみせる この世の中にいるはずなんだ
宇髄
しのぶ
まあ、この世界で初めて会った時からボーッとしてましたけど
伊黒
どこぞの塵と違って俺はボーッとしていない
しのぶ
目の焦点が合ってませんよ
宇髄
甘露寺蜜璃
俺が前世─── 大正時代、に生きていた時の同僚だ 彼女には辛い思いをさせた
「失いたくない」と言っていたのに… 彼女を置いて俺は行ってしまった 他人事だ、自分でもそう思う そうでもしなくては耐えられなかった 彼女を置いて行った自分への絶望と悲しみ その償いのように 俺はずっと彼女を探している
しのぶ
変な期待をさせる発言しないでください
伊黒
見つかる前に諦めるのは屑のする事だ
宇髄
伊黒
貴様もその派手好きをどうにかしろ
宇髄
ガヤガヤ
伊黒
しのぶ
宇髄
俺らと違ってサークル仲間と仲がいいみたいでよ
しのぶ
煉獄さんも寂しがっていましたよ
宇髄
しのぶ
宇髄
しのぶ
炭治郎くんと錆兎くんが迷惑がってました
伊黒
昔からそうだろう
しのぶ
柱合会議に出席しなかったこともありましたしね
伊黒
あんな奴がいるから人間は進歩しないのだ
そもそも昔の鬼殺隊と顔ぶれがほぼ同じというのはどういうことなんだ
しのぶ
誰かが仕掛けたわけないじゃないですか
顧問がお館様なわけですし、集まるのも当然といえます
宇髄
伊黒
伊黒
美術部の玉壺、保健医の珠世…それに校長が鬼舞辻無惨というのはどういう意味だ
説明しろ 宇髄
宇髄
ロマンチックで派手にいいじゃねぇか
伊黒
今の俺たちは同い年で…
ドンッ
???
怪我はないですか?
伊黒
貴様の目はどこについているんだ
飾りなの…
伊黒
蜜璃
もしかして知り合いでした!?すいません 覚えてなくて…
お名前、教えてもらってもいいですか?
伊黒
伊黒
蜜璃
ドキリと胸が大きくなった気がした 胸の鼓動と早すぎる血流の音が邪魔で甘露寺の声が聞こえない 覚えてない?本当にか? 他の柱や鬼殺隊員、鬼まで記憶があるのに…
男
蜜璃
蜜璃
連絡先だけ教えていただけないですか?
伊黒
蜜璃
じゃあ、また今度!
タタタッ
しのぶ
宇髄
伊黒
しのぶ
伊黒
我ながらすごい自信のない声だ こんな声、初めて出た 甘露寺に彼氏がいるとなった瞬間にこんなことになるとは… 前の俺だったら間違いなくあの男を叩き斬っているだろう だが今の甘露寺に前世の記憶はない 今あの男を叩き斬っても甘露寺が悲しむだけだ
宇髄
胡蝶の発言を制するように宇髄が胡蝶の名を呼ぶ 胡蝶らしからぬ発言だった あいつもあいつで同様しているのだろう
タッタッ
男
宇髄
男
そう 君に話があるんだけど
伊黒
男
伊黒
男
あいつ、俺の彼女なんだ
「彼女」の一言で頭の中は真っ黒になった 頭をぶん殴られたような、胸が張り裂けそうだった 男が話してくる言葉も、単語も、文字も宙に浮かんで読めなかった ただただ、つらつらと話し続ける男の声を聞き流しながら
男
あいつ、誰でも過剰に親しくするする癖があって…
「過剰に」親しくする癖
甘露寺は普通だ 髪の色も、大食いも、筋肉の密度も 甘露寺にとっての「普通」だ 俺たちの「普通」を押し付けるべきではない 俺たちの「普通」という尺でで甘露寺を図るな
思いが溢れ出てくる 無意識のうちに俺は男を素通りし、甘露寺の前に立っていた
蜜璃
伊黒
伊黒
伊黒
そして俺の記憶は途絶えた
宇髄
しのぶ
元気出してください
伊黒
宇髄
「柱として不甲斐なし!穴があったら入りたい!!」つってよ
現世でも前世でも柱としての自覚がすげぇよなぁ、煉獄は
しのぶ
伊黒
宇髄
伊黒
伊黒
伊黒
俺が覚えている 甘露寺の事を忘れるわけがない
来世も、その次も、その次も 甘露寺の事は忘れない
彼女の笑顔が絶えないなら、俺はどんな立場でもいいんだ
伊黒
あの男に甘露寺を預けた方が…
そんなわけでないじゃないですか!!
蜜璃
伊黒
蜜璃
蜜璃
でも周りには沢山の女学生がいて…
いつもしのぶちゃんが隣にいたから
あぁ、現世で伊黒さんの隣にいられるのはしのぶちゃんなんだなって
私の入る隙はないんだなって 思っちゃったんです
蜜璃
あんな覚えていないような口ぶりをしちゃったんです…
蜜璃
でも今私には彼氏がいるから…
伊黒さんと出かけることもできない
前のように一緒に甘味処に行ったり、うどん屋に行ったりもできない
蜜璃
ずっと忘れないように ずっと忘れられないように
ずっと…好きでいられるように
伊黒
蜜璃
男
ずっと探してたんだぞ?
男
蜜璃
男
いい加減にしてくれません?
人の彼女に手出してそんなに楽しいですか
蜜璃
男
男
蜜璃
伊黒
甘露寺が嫌がっているだろう
男
一時の感情に流されちゃダメなんですよ
そのうち忘れるんだから
蜜璃
蜜璃
伊黒
伊黒
俺はまた 彼女を探す
「好き」としっかり伝えられるまで