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朝の光が差し込む教室。 早乙女悠斗は、いつものように机に肘をつきながら笑っていた。
悠斗
窓の外を指さす悠斗の声は、空の青さと同じくらい明るい。
神宮寺颯人は、少しだけ目を向けて小さくうなずいた。
颯人
それだけ。 でも悠斗は満足そうに笑った。
颯人は、その横顔を盗み見る。 光を受けた髪が金色に透け、まるで本当に太陽の子みたいだと思った。
颯人
用事もなく、話しながらただ隣にいる。 それだけで胸の奥があたたかくなる。
だけど、言葉にしたら壊れてしまいそうで。颯人はただ、外の空を眺めた。
そのとき、悠斗がふとつぶやいた。
悠斗
悠斗
颯人
悠斗
悠斗はそう言って、屈託のない笑顔を見せた。
颯人の胸が、強く鳴る。 太陽みたいな悠斗にそんなふうに言われて、どうして心がざわつくのか——
自分でも分からなかった。
教室の窓に、ふたりの影が並ぶ。 光と影が、少しだけ重なって見えた。
昼休み、教室のざわめきの中。 悠斗は机を寄せて、颯人の弁当をのぞいた
悠斗
颯人
悠斗
悠斗の声に、周りの友達が笑う。 颯人は少しだけ目を細めて、箸を止めた。
悠斗が自分の作った弁当を覗き込む距離――あまりにも近い。 その近さに、心臓の音がうるさくなる。
悠斗は気づかない。 無邪気な笑顔のまま、からあげを一つつまんで言った。
悠斗
颯人
悠斗
悠斗
そう言って頬張る悠斗の笑顔に、 颯人は小さく息を吐いた。
颯人
放課後、太陽が傾き始めたころ。 二人はいつものように並んで下校していた。
商店街のガラスに、オレンジの光が映る。 悠斗が歩くたび、その光が跳ねるように揺れて見えた。
悠斗
颯人
悠斗
颯人
悠斗
悠斗は少しだけ足を止め、颯人の方を見て、言った。
悠斗
颯人は目を瞬いた。
颯人
悠斗
そう言って笑う悠斗の顔は、夕陽の中で少し眩しかった。颯人は言葉を失い、ただその笑顔を見つめた。
ふたりの影が、ゆっくりと重なっていく。 ——まるで、太陽と月が同じ空で息をしているように。
夜。部屋の窓の外には、まんまるの月が浮かんでいた。
颯人は机に肘をつき、窓を開け静かに空を見上げる。昼間の悠斗の声が、まだ耳の奥に残っている。
「太陽と月って、同じ空にいることもあるんだぜ。」
たったその一言が、頭を離れない。 ぽす、と膝の上に温もりがのった。 小さな犬──ぽんずが、颯人の手に鼻先を寄せてくる。
颯人
ぽんず
ぽんずは小さく鳴いて、颯人の指をぺろりと舐めた。 その仕草に、少しだけ頬がゆるむ。
颯人
颯人はつぶやく
颯人
窓の外に浮かぶ月が、静かに光を投げる。 その光が部屋の中を照らし、ぽんずの毛を淡く染めた。
そのとき、スマホの画面がふっと光る。 メッセージの通知——差出人は「悠斗」。 そこにはたった一言。
悠斗
颯人
颯人は無意識に目が少し輝いている
月の下で、小さな笑みが夜に溶けていく。 そして“太陽”に照らされるように、眠りについた。