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朝。カーテンのすき間から差し込む光が、悠斗の頬を照らす。まぶたの裏が明るくなって、うっすら目を開けた。
悠斗
寝ぼけ声のままベッドの上で伸びをして、制服に袖を通す。
外では、鳥の声と遠くの登校チャイム。 今日も、いつもと同じ朝――のはずだった。
けれど、なぜか胸の奥がそわそわしていた。昨日、颯人が笑った顔が頭から離れない。
ほんの一瞬だけだったのに、なんだか、見たことない表情だった。静かで、でも優しくて……ちっちゃい頃から一緒に居たけどあんな颯人初めて見た…
悠斗
苦笑いして、リュックを背負う。
家を出ると、すぐ近くの角で颯人が立っていた。相変わらず無表情だけど、その隣にちょこんと――
悠斗
悠斗の声に、犬のぽんずが耳をぴょこんと立てて悠斗の方に駆け寄る。
颯人
悠斗
颯人
悠斗は笑って、ぽんずの頭をなでる。
悠斗
颯人
けど、その言葉のあと、颯人の口元が少しだけゆるんだ。その笑みを見た瞬間、悠斗の胸がまた“きゅっ”と鳴る。
なんだろう、この感じ。 ずっと一緒にいるのに、最近、颯人を見るたびに何か違って見える。 でも、それがなんなのか、まだ名前がつけられなかった。
朝の光が二人の影を伸ばす。 太陽と月―― また、同じ空の下で歩き出す。
放課後の教室は、まだ夕陽が差し込んでいた。窓際の席に座る颯人は、ノートに視線を落としながらも、耳だけは自然とある方向へ向いていた。
クラスの女子A
悠斗
悠斗の声。 そして、その隣で笑う女子の声。
颯人
胸の奥がざわつく。 それは、初めて感じる感情だった。 言葉にできない。でも確かに、心の奥で何かが焦げるように疼いている。
悠斗が笑うたび、他の誰かの名前を呼ぶたび、颯人の心臓が小さく音を立てた。
悠斗
名前を呼ばれて顔を上げると、悠斗が手を振っていた。
悠斗
その声に、ざわめいていた心が一瞬で静まる。
颯人
颯人
短く答えて立ち上がると、悠斗がにっと笑った。その笑顔はまるで太陽。 見上げるたび、目が眩むほどに。
颯人はため息をついて、机の上に残る光を見つめた。
颯人
放課後の教室。 カーテンが風に揺れて、オレンジの光が差し込んでいた。
放課後の帰り道。 校舎を出た瞬間、オレンジ色の光が二人の影を長く伸ばした。
悠斗
前を歩く悠斗が振り返りながら、笑顔を向けてくる。
颯人
悠斗
颯人は小さく息を吐いた。けれど断る気配はない。悠斗が来ると、ぽんずが本当に嬉しそうにする。それを見ていると、悪い気はしなかった。
家に着くと、玄関から小さな足音が駆けてくる。
ぽんず
悠斗
悠斗が勢いよく抱き上げると、ぽんずは尻尾をぶんぶん振って頬を舐めた。
悠斗
颯人
悠斗
颯人
淡々と返しながらも、颯人の口元がわずかに緩む。リビングでぽんずを挟んで並んで座る。悠斗がぽんずの耳を撫でながら、無邪気に笑う。
悠斗
颯人
悠斗
不意に言われて、颯人の手が止まる。 悠斗は気づかないふりをして、ぽんずの頭をなで続けた。
でも、颯人の頬がほんのり赤くなったのを、ちゃんと見ていた。
夜。悠斗が帰ったあと、颯人はベッドの上でぽんずを抱きしめる。
ぽんず
ぽんずが小さく鳴いた
颯人
けれどその声はどこか優しくて、目を閉じると、悠斗の笑い声が静かな部屋に残っていた。