くろと
くろと
くろと
※注意※ 微BL(健全) 切ない…感じにしたつもりです 僅かに怪我表現あり 年齢変更(高校生) 屋台での行事に対する解釈違いあり 長いです 赤くんと青くんから桃くんが愛されます 地雷様・純オタ様は見ないことをお勧めします ご本人様とは一切関係ありません
くろと
-hotoke-
りうら
初兎
-hotoke-
わいわいと騒ぐ3人と、それを見て思わず笑みが浮かぶ俺とまろとアニキ。
終業式の前日。ようやく、持って帰る物を整理し終えたところだった。
-hotoke-
初兎
悠佑
ないこ
あらかじめ考えていた言葉を発する。
いむしょーほど行きたいわけでもない。人混み多いし。 まあ、もう高校生だからってのもあるけど。
行ったら行ったで楽しむし。
悠佑
If
急に幼児退行したまろが俺に抱き着いた。
りうら
If
りうら
If
りうらを煽るように手を振るまろ。 りうらの拳がわなわなと震える。
ないこ
悠佑
いむしょー
さっきまで二人の喧嘩を笑ってたいむしょーが声をそろえて反抗する。
初兎
-hotoke-
ないこ
りうら
If
悠佑
りうら
If
ないこ
If
りうら
ないこ
__って言ってたのが先週のこと。
橙色から紺色に変わる空の下、桜の小花柄の浴衣を着ている俺は、絶賛遅刻中の二人を待っていた。
遅い。マジでアイツら何してんだ。
りうら
If
ふと横から聞こえてくる聞きなれた声。
顔を上げると、自身の髪色と同じ色の浴衣を着た二人。
二人のイメージに合った柄で、いつもよりかっこよく見える。
ないこ
If
りうら
ないこ
そう言うと、りうらは僅かに笑みを浮かべた。
りうら
急に意識するようなことを言われて顔が熱くなる。
ないこ
If
負けじとまろも続く。
こいつらマジで…!//
ないこ
If
りうら
ニヤニヤする二人を殴りそうになる。 誰のせいだと思ってんだ。
りうら
何か気になる物を見つけたようで、りうらが声を上げる。
If
屋台に置かれた色とりどりの花たち。種類も豊富で、即席の屋台が綺麗に着飾られているように見える。
ないこ
りうら・If
りうら
If
ないこ
屋台の人
選んだのは、サクラソウような花びらの小さな花と、ボタンのような花びらの大きな花。
小さな花は青色の花と赤色の花。大きな花は青色と赤色の混色。
それを受け取り、青く小さな花は俺より背の高い彼の髪に。 赤く小さな花は俺より背の低い彼の髪に挿す。
さっきよりよっぽどかわいさが増した姿に思わず笑ってしまった。
ないこ
If
りうら
ピク、と二人の眉が動くのですら面白い。
If
りうら
そう言って俺の髪に小さな花を挿した。
りうら
持っていた大きな花も取られて、俺の髪に挿される。
If
ないこ
If
ないこ
りうら
ないこ
If
なんだか 絆された気がしながらも、一歩前を歩くりうらについて行った。
りうら
屋台の人
渡された釣るための 針付きのこよりと器を持ち、早速ヨーヨーを釣る。
もちろん狙う色は桃色。しかし、真ん中に寄っていてなかなか取れない。
苦戦する数分間。
ないこ
りうら
りうらは既にヨーヨーを取ることが出来たようで、赤色のヨーヨーを持っている。
ないこ
りうら
なにが「おっけー」なのか。 そう聞く前に 桃色のヨーヨーを針に引っ掛けるりうら。
そしてそれが俺の手に収まる。
りうら
にこ、と優しく微笑むりうらに顔が熱くなる。
ないこ
りうら
ないこ
きゃっきゃと二人で盛り上がっていたら、まろが不服そうな声を上げた。
If
ないこ
まるで幼児のような姿に笑ってしまう。
If
りうら
屋台の人
屋台の人が遠慮がちに口を挟むのがまた面白い。
ないこ
If
その後は特に何もなく俺と同じ柄の青いヨーヨーを釣れたようで、まろがすごく嬉しそうにしてたけど。
たくさん遊んで、空も真っ黒に染まる頃。
休憩、と言って神社の階段の端によって三人座っていた。 もちろん俺は真ん中。
にぎわう少し先の道を眺めながら息を吐く。
ないこ
りうら
If
ないこ
If
りうら
ないこ
茶化し程度に言った言葉がりうらとまろの心に引っかかったようで。
りうら
ないこ
りうらが俺の腕を掴む。
ないこ
まろに助けを求めようと左を向いたが、彼は俺を助ける気なんかないようで。
If
”どっちと付き合うか。”
今度はその言葉が俺の心を引っかいた。
さっきとは全く違う空気。
幼馴染二人から言い寄られるなんて展開、少女漫画ではときめくようなものだと思うが、俺からしたら恐怖でしかなかった。
なんだか嫌な予感がして、手が震える。
りうら
ないこ
りうらの手を振り払って駆けだした。
If
行く当てもなく走る。
人混みを避けて、さっきの出来事から逃げるように ただ数分間。
でも慣れない下駄で走るのは無理があったようで、右足の親指と人差し指の間が擦り切れてしまった。
ないこ
痛みが邪魔して立てなくなり、その場に座り込む。
浴衣がはだけてだらしない。 感じる周囲からの視線。 涙で視界がぼやける。
このまま泣き崩れてしまおうか。そう思ったとき、
If
聞きなれた優しい声がすぐそばで聞こえた。
”まろ、神主さん家入れてくれるって!”
続いて聞こえる機械ごしの声。
If
顔をのぞかれてまた俯く。 少し見えたまろの表情は 悲しそうで優しかった。
If
高校生にもなっておぶられるなんて恥ずかしいが、”嫌だ”と断れるわけもなく、大人しくまろの背に身を委ねた。
身体に伝わる畳の冷たさ。
すっかりはだけた浴衣を着付け直すのも面倒で、だらしなく肌を見せたままぼーっとする。
まろとりうらはここにはいない。 絆創膏を買うと言って先程部屋を出ていった。
擦り切れたままの傷は痛むが、今はそこまで気にならなかった。
ないこ
小さく呟いた言葉が空っぽの心に沁み込む。
風に乗って、どこかから桃色の花びらが部屋に入って来た。
そして俺の手元に落ちる。
続いて 風の波に乗って再び俺の手元に落ちる二枚の花びら。 次は青色のものと赤色のものだった。
二人から預かったヨーヨーを自分のそばに置く。
まるで二人がそばにいるように感じて、
”好きな子にはあんま頼りたくないじゃん?” ”俺だって好きな子と長く一緒にいたい”
数時間前の言葉を思い出して、顔を紅く染める。
そんな自分に嫌気が差して、腕で目元を隠した。
ないこ
”幼馴染”だったあの頃には。
どっちも好きなのに、”どっちか選べ”なんて。
ヨーヨーはいずれ割れる。 染花はいずれ彩をなくす。 この楽しい祭りはいずれ終わる。 __そして、この関係も。
だから、だから、
ないこ
呟いた願いは、夏の湿った空気に溶けていった。
コメント
4件
切なくてステキなストーリーだと思いました(*´ `*)