「猫」カフェ

お前が俺の家族を壊した

ああ、ムカつく 出来ることなら殴ってやりたい

付いて行くんじゃなかった…

裏路地の建物の地下に猫カフェなる物は有り

ドアを開けた瞬間、視界にたくさんの猫どもが入り俺の気は滅入る

客は5人ほど

俺はおかしなことに気づいた

店内に居る20匹ほどの猫は皆首輪をしており、全身に擦り傷や切り傷がある

俺から見て右の手前に座っている客が鞄からカッターを取りだした

そして傍らにいる猫に無造作にカッターの刃を突き刺した

のたうち回る猫に更にカッターの刃を突き刺す。2回、3回…

見れば店内にいる客全員が何らかの手段で猫をいたぶっていた ある者はバールで殴打し、ある者はライターで火傷を負わせている

「当店には猫好きのお客様はいらっしゃいませんよ」 横でセールスマンが言った

心臓の鼓動が早くなる。興奮しているのだ、と悟った

セールスマンはそんな俺の顔を覗きこんだ 「皆あなたと同じです」

「あなたはすぐ常連になりますよ」

動物が人間様に勝てるわけないだろ

この店で払う対価は3000円

店の入り口に立っている係員に3000円を渡す

すると、ジュースが入ったガラス瓶が渡される。

店に入る前に、必ずこれを飲まないといけない 俺も初めて来た時飲まされた

週3の3000円の出費も全然痛くない。最高のストレス発散が出来るからな

劣等感も無力感もこの店にいる間は忘れられる

俺は他人に迷惑をかけるストレス発散しかできない馬鹿とは違う

例えば今俺の前を横切った薄汚い野良猫

捕まえて 紐で首を締める

それだけでストレス発散になる

あの店でしか猫と触れ合わないなんて、そんなもったいないことするかよ。人間の方がコイツらより強いんだから

俺が動かなくなった野良猫を道路の隅に追いやると 後ろに誰か立つ気配がした

お前は可愛さ故に人を惹き付け、可愛さ故に人を狂わせる

最終電車ニ揺ラレテル様主催 「ユラレコンテスト」#猫

注：作者は猫嫌いじゃないです