LAN
あれ明るいな
さっきまで暗闇だったのに
その前に炎が───
…… だめだ そんな鮮明に覚えていない
見慣れない天井
動けない体
目を動かして確認する
起きたばかりで少し重い瞼
窓から差し込む日は清々しい
暖房のかかった部屋
しんとしている
横にあるサイドテーブルには桃色のシクラメンが飾ってある
1人はにかむ俺
もう少し 寝ていたかった
でも 嫌な夢を見そう
誰かそばにいて欲しい
人肌が恋しい
いるま
聞き覚えのある声
安心する声
恋した人の声
LAN
あれ ッ
声が出ないな
涙は出るのにッ
溢れ出る涙
頬についた涙を拭ってくれる君
優しく微笑む君
その目は不安な目だった
でも 嬉しそうな目に変わっていた